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偽りのホルス神

世界樹の森の中で精霊達が騒いでいる。

このところ世界樹の森には、

捕まえれば高値で売れる精霊を求める不届き者が

増えてきたため、セブン達と契約した精霊達も

仲間と協力するため、セブン達契約者から離れて

世界樹の森の守りを固めていた。


 『アルジ、セブン、タイヘンダ。

  ヤミノ セイレイガ クルシンデイル。

  ヤミデハナイ ヤミガ コノセカイノ

  ヤミヲ クラオウト シテイル。

  

  ヤミガ ナクナレバ ヒカリモ ナクナル。

  チカラヲ カシテホシイ。』


 『わかったよ、その闇ではない闇って

  何処にいるんだ?』


 『アルジ、セブン。

  キタノ サバク、

  マゾクノ クニノ チカクダ。

  ヤミノケンゾクモ ムカッテイル。

  デモ アレハ ヤミデハナイ。

  アレハ イカイノ チカラ。

  キヲツケテ、アルジ、セブン。』


 『あーちょうどそっちに向かっているところなんだ。

  やっぱり俺は戦いの中で生きるのが似合ってそうだ。

  全力で闘って生き残って帰るよ。

  待っててくれ。』


セブンはパティシエの街の拠点から

フル装備のフライングユニットを装着して

北の砂漠を目指して飛んでいた。

今回の同行者は意外にもクロだ。


拠点で北の砂漠に出現したピラミッドの

情報収集をしている間に、

ピラミッドから現れた黒い軍団が

進軍する途中で魔族の街を殲滅するのを確認したのだ。


急遽魔族の国の防衛戦に助力することを決めて、

対策を検討していた。


その時、むっくりと起き上がってきたクロが、

今回は審判の天秤を持って

同行したいと言い出したのだ。


神器を持ち出すあたり、

かなりヤバい相手なのだろうと思い、

フル装備のフライングユニットで

飛び立つことになったのだ。



その飛行中にセブンと契約した精霊から

先ほどの念話が届いたのだ。


 「闇ではない闇か。なんか引っかかるな。」


 「この世界の闇を乗っとるつもりらしいよ。」


 「そんなことして何になるんだ?」


 「闇を押さえれば、光も一緒に

  押さえられてしまうんだ。


  そうなると、この世界の闇と光の神の力も

  奪われてしまうんだ。」


 「おいおい、それって

  この世界の神様も黙っちゃいないだろ?」


 「うん、そうなんだけど、ちょっとこのところ

  いろいろな神様が地上に顕現し過ぎだと

  主神様からお叱りを受けて

  しばらくは見守るだけになるんだって。」


 「あー、そりゃそうだろうな。

  普通の世界であんなに毎日どんちゃん騒ぎする

  神様いないだろうし。


  これでしばらく平和が訪れるってことか。

 

  あー、もう少し早くそうなってて欲しかったな。

  お陰でサラの機嫌が悪いままなんだけど。」



北部に抜ける山脈を越えて、

セブン達はピラミッドを確認すると、

クロに防御シールドを張って、

高高度まで上昇していくのであった。





金色の輿に乗る長い半月刀を持つ男、クフ王を目掛けて

卜伝が飛び掛かったが、輿がスッと後ろに後退し、

卜伝の足元に黒い闇が口を開けたのだった。


薄い笑みを浮かべるクフ王に、

同じく笑みを返した卜伝は、

何もない空間を一蹴りして

クフ王の目の前に迫った。


 「むんっ!」


卜伝は裂帛の気合いと共に神刀を振り抜いた。


グニャリとした嫌な手応えがあり、

卜伝は砂地に着地すると同時に、

刀身の汚れを落とすかのように振り払った。


見ると、刀身にはこびりついた靄が、

いや、蠢く靄があった。 


卜伝が一気に後ろに飛び下がると、

その場には無数の黒い槍が生えてきた。


さらに先ほどの黒い闇から黒い犬人族のような戦士達が

再び湧き出てきていた。


後退して行く金色の輿に乗るクフ王の前には

耳の長い黒い犬が2頭、器用に両足で立ち上がり、

両手には先に小さな光を灯した杖を持っていた。


神刀の光の刃で黒い戦士達を屠りながら、

逃げるクフ王を追う卜伝の進み先々で黒い闇が生じ、

黒い戦士達が無限の如く現れ、襲いかかってくる。


卜伝が放つ神刀の光の刃は

徐々にその威力が落ち始めていた。


流石にまずいかと思い始めた時、

卜伝の影の中から出てきた影があった。


 「そのままではその剣は闇に喰われ

  使い物にならなくなる。


  こちらに刀身を。」


二つの影の姿のうち、大きい方の影から

頭に小さな巻角をつけた男が起き上がるように現れ、

そう言ってきた。


卜伝が刀身を男の前に晒すと、

男は指先を噛み切り、滴る血を糸のように扱い、

刀身に纏わり付かせた。


途端に蠢く黒い靄に血の糸が襲いかかり、

食らい尽くすと、後には光を放つ刀身が現れた。


 「かたじけない、お陰でまだまだ戦える。」


 「私も魔族の国で世話になる身。

  この機械仕掛けの軍勢の相手は

  私に任せていただきたい。


  あの逃げゆく愚か者の成敗をお願いしたい。」


 「うむ、任された。

  では、御免。」


卜伝は颯爽と逃げゆくクフ王の輿を追ってゆく。


いつの間にか両手の指先から血の糸を垂らしていたメフィストは

卜伝の行手を妨げようとする黒い戦士達に向けて

血の糸を走らせた、いや、血の糸そのものが

意志を持っているかのように蠢いて伸びてゆき、

絡みとり始めていた。


絡みとられた黒い戦士達は、ビクビクと痙攣をし始めた。

痙攣が止まると黒い戦士達の目は真っ赤な光を宿し、

赤い血のような槍を手に、仲間達を襲い始めたのだった。


襲われた者達も同じように痙攣し、赤い目を持つ戦士となって

卜伝の後を守るかのように進軍して行くのであった。


 「機械仕掛けの偽りのホルス神の軍勢か。

  呪いの正体がナノマシーンとはな。

  真の魔界の力、存分に味わって頂こう。

  紛い物には味はわからぬかな。」


砂の中に潜んでいたナノマシーンも

魔族の力を持つ者に書き換えながら、

卜伝の後を追うメフィストと一つの影があった。




 「目標確認。セット完了っと。

   プラネットブレイカー 発射!


  ピラミッドさん、さようならっと。」



静止衛星軌道上からピラミッドを跡形もなく

破壊できる惑星探査船で使用していた超重量弾頭を

世界遺産に向けて打ち出すセブンであった。

 

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