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忍び寄る影

電脳兵のセブンは長年慣れ親しんだ戦闘特化ボディから

一般兵と見分けのつかない新型ボディに戸惑っていた。


世界樹のもとで精神修行を行った結果、

やはりこれまで通りの生き方が合っていると結論を出し、

装備類を揃えて今までの見た目とあまり代わり映えのしない、

フルアーミー装備で全身を覆い、露出しているのは

顔の表面だけという状態になると気分もいつも通りに

落ち着いてきたようであった。



迎えにきたサラとパイロにはその姿を見て

がっかりしたのだが、当の本人は音信不通だったので、

無事に見つかって脱力されたのかな、

心配かけたな くらいにしか、思わないのであった。



 「そうだ、これはお礼だな。

   天空の瀑布 」


軽く神気を混ぜた弱めの 天空の瀑布 を行使して

心地よいスコールのような雨を降らせたセブンは、

心身ともに完全にリフレッシュできたようだ。


 「ありがとう、世界樹。

  世界樹の精霊もありがとうな。

  また来るよ。」


 「いつでも歓迎するよ、セブン。

  神水も降らせてくれてありがとう、

  世界樹も喜んでいるよ。

  生きたいように生きればいいと思うよ。」


フワフワと浮かぶ精霊に手を振って別れを告げた。


世界樹の結界をぬけた後、セブンは

拠点に戻るサラ達とは別行動をとり、

ギルドからの魔物討伐依頼の対応に

向かうのであった。


*****************************


 「オン マリシエイ ソワカ」


セブンの背中の方から八方に閃光が疾った。

途端にセブンの体は残像を残してその場から加速していった。


神気を使いこなせるようになりつつあるセブンは、

修行も兼ねて、高位の陰陽術を行使してみることにした。


今は巨大なクラーケンに対して、摩利支天の神光の力を借りて、

凄まじい速さで移動しつつ、腕から繰り出した

スペースチタンブレードで一刀両断に斬り捨てたところだ。

あまりの速さで全身が燃えるような熱を身に纏ったようだった。


 (やっぱり速度が上がると破壊力も上がるか。

  うん、体の調子もいいみたいだ。

  もうちょっと魔物討伐してからギルドによって

  帰るとするかな。)


それからしばらくして、

付近にいた魔物の討伐をやり終えたセブンは、

拠点に向けて飛び立っていった。


*****************************



東の海底のアトランティス帝国では、

精霊封じの魔道具で鹵獲された青龍を媒体に、

異界の神を召喚しようとしていた。


 「クックックック、このような怪しげな術もまた、

  興味深いものですね。

  魔剣レーヴァティン、世界を焼き尽くすという

  炎の剣とか。

  滅ぶ世界にふさわしい名剣ですね。」


狂気の色を濃く秘めた金色の瞳に、

魔法陣の輝きを映したプロフェッサーは、

とても楽しげに見物していた。


 (この召喚がどうなろうと、

  この世界を蹂躙できうる

  電脳魚人兵が揃っているんですよ。

  ついでに仕込みの方もパーフェクトですよ。)



巨大大陸の各地には体内に広域殲滅魔法を仕込まれた

子供型の電脳魚人兵が送り込まれている。


彼らの無垢な瞳が映す情報は、

帝国内に設置された情報センターに集約され、

最適な爆破地点の割り出しに役立てられていた。



さらに暗殺仕様の電脳魚人兵部隊によって、

密かに巨人族の移民船の強奪に成功していた。


ステルスモードのままで音を立てることなく暗殺を繰り返し、

船内の船員、戦闘員、一般人の区別なく、皆殺しにされた。

数百万人の遺体は船内から跡形もなく消えていた。


船内には電脳魚人兵が乗り込んで操船準備を進めている。

電脳魚人兵は今や百万人弱の兵数となっている。



帝国内にあった電脳兵調整ポッドは、

この移民船内に移され、さらに大きめに改造され、

ここで電脳兵の製造を継続しているようだ。




異界召喚が完了するまでまだ時間がかかるようなので、

プロフェッサーは強奪した移民船に移動することにした。


 「楽しみですね。戦術核があんなに手に入るとは。

  作った兵器は使うためにありますからね。

  ありがたく使わせて頂きましょう。


  大陸弾道ミサイル用に改造すれば、

  もっと楽しくなりますね。」


楽しそうに移動するプロフェッサーの眼内モニターには

大きめの電脳兵専用調整ポッドから出てきた、

目が3つある大きめの電脳兵の姿が映っていた。


***************************


拠点に戻ったセブンは1階に降りていくと

テーブルモニターの周りを囲むように

サラとカイが座って待っていた。

西の街の獣王ドゥルガーと魔族の国の女王カミュールと

サラ達がバグドローン経由で話をするところだったそうだ。


 『さて、始めから話すとしようか。

  ここにおる天翼族のヤバルが人族の王都に

  行っておったのだが、そこでアトランティス帝国の

  商人がやっている店に入ったのだが、

  そこの者達の瞳の色が気になったのだそうだ。


  ほとんどのものが緑色の瞳で

  まれに青色の瞳のものがいるくらいだと

  聞き及んでいたんだが、

  その者達は皆金色の瞳だったそうだ。


  今思えば、セブンの瞳に似ていたような気がすると

  いうのだ。


  これをどう見る?』


 「あの帝国では頻繁に異界召喚を行っているようですから、

  この場合、セブン様と同じような電脳兵がいたとしても

  不思議ではありませんし、作り出せる者が

  召喚されて電脳兵化をしている可能性も考えられます。」


 「そうね、うわべでは仲良くしているようでも、

  水面下では何を考えているかなんてわからないのだわ。

  静かに侵略を始めている可能性も考慮するべきね。」


 「なるほど、アトランティスは海底の国だから、

  水面下か。。」


 「セブン、黙ってなさい。」


 「あーまぁ、とりあえず、そのアトランティスのところに

  潜入調査して来ようか?」


 「まずは皆さんのお話を聞いてから検討しましょう。

  ドゥルガー様からはもうよろしいですか?」


 『いや、セブンが男前に変身したと聞いている。

  一度味見・・・ゲフン、一度遊びに来てくれないか、

  サラと一緒に泊まりがけで。』


 「それも後ほどにしましょう、獣王様。

  では、カミュールさん、どうぞ。」


 

 『うむ、とても気分の悪くなる話だが、

  よいか?特にセブン、そなたにはキツイ話だ。

  覚悟はよいか?


  わらわ達が海辺に作った街を見て回っていた時にな、

  ちょっと気になる子供がいたのだ。


  魚人族にしては頭が大きめでな、瞳の色も金色だ。

  愛想よく近寄ってくる子供でな、つい過去視で

  視てしまったのだ。


  ・・・人の手で作られた自爆魔法が仕込まれた、

  電脳化された子供であったのだ。

  作り出されて早々にこの街に送り込まれたようだ。


  問題はその時作り出された時に見えた光景なのだが、

  そこの拠点で見た調整ポッドとかいう箱と

  同じものが数十万の数で並んでおったのだ。


  奴らは確実に仕掛けてくると見ておる。

  そなたらはどうだ?』


 『あいつら、どこまで外道なのだ!!

  断じて許せぬ!』


 「そうですね、先ほどのお話と繋がります。

  まず、侵略は確実にしてくる、

  いえ、静かに始まっているとみるべきでしょう。

  子供型の自爆攻撃は私達のいた世界でも使う手です。

  すでにこの大陸中の街に仕込まれていると考えます。

  彼らの自爆攻撃を皮切りに

  一斉に攻め込んでくるでしょう。」


 「そうね、その可能性が高くて、進攻の狼煙に使うつもりだと

  思うのだわ。」


 「その魔法、無効化できないかな?」


 『やれなくはないが、その子供は死ぬことになる。

  魔石を抜き取るのが確実な方法だ。』


 「それは却下だな。他にないかな?」


 『その自爆の洗脳を解くことはできんのか?』


 「電脳兵であれば、強力なプログラムで制御されていると

  思われますわ。初期化するのが確実なのですけど、

  ここの調整ポッドに入れないとできないのだわ。」


 「それも罠の可能性が考えられます。

  セブン様にはキツイかもしれませんが、

  彼らは悪意を持たない無差別殺戮兵器です。

  守るためには無力化するしか道はありません。」


 「分かっているよ、この骨身に染みてよーくわかってるさ。

  敵の調整ポッドだけでも破壊してくるかな。」


 「まぁ待ちなさい、セブン。

  シヴァ様からもお話があるのよ。」


 「よいかぇ?

  私と共にこの世界にきた巨人族との念話が

  全く通じんのじゃ。

  出来れば調べて欲しいのじゃ。


  あの船には猛毒の破壊爆弾があるのじゃ。

  あれが奪われでもしたら、

  この世界も人が住めなくなるのじゃ。


  その爆弾の回収も頼むのじゃ。」


 「すっごい嫌な予感がする。

  じゃあ、巨人族の移民船に行ってみるよ。」


 「そうね、移民船、帝国本土の順で

  調査をお願いするのだわ。」


その後もしばらく話をした後、

セブンは決意を込めた目で

フライングユニットを見るのであった。

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