召喚されしもの
白い靄の中で動く気配があった。
「如何されました?ロキ様」
「あー、ちょっと気になる事があってね。
あの東の海底大陸の帝国だけど。
彼らって、魔法の中でも異界召喚が
得意というか好んでよく使うんだよね?」
「そうなのですわ。
おかげでこの世界の時間律まで
不鮮明になっていますの。」
「これは僕の予想だけど。
彼らが呼び寄せたい神、
いや、古の巨人に心当たりがあるんだ。
僕が回避した神と古の巨人の戦争を始めたのは
フリュムっていう霧氷の巨人なんだよ。
おそらくこの巨人を召喚して地上世界を
滅ぼすつもりじゃないかな。」
「混沌の巨人ですね。
異界から召喚されてくるものたちとの戦いは、
こちらの世界の尺度で彼らの強さを見ることが
出来ないので見通せないのです。
東の帝国への対抗策として、
私たちは異界の戦いの神の力を宿したものを
呼び寄せることにしたのです。
でも、彼の力で勝てるかどうかは
見通せないのですわ。
彼の宿した神の力の強さも
見ることが出来ないので。
彼が、彼らが滅びの運命から
生き残れる未来を切り開いてくれることを
ここから祈りながら見守っているだけなのですわ。」
「そうだね、神々の多大な干渉は
その世界に停滞しか生み出さないからねぇ。
見守るだけでも十分だと思うよ。
そうそう、もし古の巨人との戦いが始まったら、
ここにいるヘルと一緒に降りて戦うつもりだよ。
あの街の神殿を依り代にして降りるから、
その時が来てしまったら、よろしくね。
じゃあ、これで僕はいくよ。」
「はい、その時はスクルドと共にお願いしますわ。」
白い靄の中には、静寂に満ちていった。
「セブン、戻って早々だけど、
ギルドから討伐協力要請があるのだけれど。
南の海で巨大な魔物が出て困っているそうよ。
ダイビングユニットで向かう事をお勧めするわ。
カイの方で装備を準備しているところなのだけれど、
海中戦用に調整することを忘れないことね。」
「了解、じゃあ、ちょこっと引きこもってきますか。」
北のダンジョン攻略を終えて、拠点二階のカタパルトデッキに
戻ったセブンは、サラのそう話しかけられ、一階の
電脳兵専用調整ポッドに移動するのであった。
『武人、
この調整で新ボディになって欲しいのだけど。
いいかしら?』
(あ、スクルド様ですね。
いや、まだ戦闘力落としたくないんで、
この体のままでいたいんですが、だめですか?)
『稼働限界時間、寿命の問題もあるのよね。
何よりも、その旧型電脳兵の装備だと
新型の兵士達がたくさん押し寄せてきたら
戦い切れないと思うんだけど。。
変えちゃおうよ、この際。
ねっ?って言いながら実は変更中だったりする。」
(マジで?選択の余地なしですか?
うーん、出来れば腕のブレードの長さは
キープして欲しいんですけど。
指先の銃口もこのままが希望なんですけど。)
『うーん、腕のブレードはアイテムボックスの応用で
何とかなるとしても、指先は無理かも、ごめんね。
武人には少し人としての生き方もして欲しいの。
でも、今悩んでいるフラッシュバックは消せないわ。
それは武人の背負うと決めた業だから、
武人が自分自身を許さない限りどうにもできないわ。』
(指先は諦めます。
フラッシュバックは別にいいですよ、
今に始まったことじゃないし、慣れてますよとっくに。)
『うーん、違うのだけど、まぁ自分で乗り越えるのよ。
きっと出来るわ。
それと、今回はちょっとサービスしておくね。
お楽しみに~。』
(えっ?何をサービスされてしまうんでしょうか?
・・・スクルド様?
・・・スクルド様っ!? )
そんなやり取りを終えて、セブンは調整ポッドから
何となく嫌な感じを覚えながら出てくるのであった。
(うーん、あの女神さん、
俺に何をしたのやら。
ステータス見てみますか、怖いけど)
眼内モニターにセブンのステータスが表示された。
セブン(天道 武人)
種族:電脳化‘@+
年齢:110万時間
性別:男
職業:
テイマー ・バグドローンのマスター
・クロのマスター
・フェンリルのマスター
・白虎のマスター
狩人 ・ヒクイドリの討伐者
・トレントの討伐者
・ミスリルワイバーンの討伐者
・勇者の討伐者
・海神族王族の討伐者
・異界神の討伐者
・神獣の討伐者
暗殺者
召喚士
身長:175cm
体重:180kg(標準装備時)
攻撃力:Ex
生命力:Ex
魔力:Ex
俊敏性:SSS
耐久性:SSS
(・・・あれっ!?突っ込みどころがあるんですけど!
種族名バグってるし、年齢戻ってるし、性別あるし、・・・
ん?)
何となく自分の下半身を見たセブンは、絶句した。
と、同時に横からサラの絶叫が響いた。
「キャーッ!誰ですか、あなたは!!
服を着てください!
カイ、不審者が侵入しているのだわ!!」
「いや、俺なんだけど、セブンなんだけど。」
「どこがなの?セブンはそんな顔じゃないわ!
私の知ってる武人とは全く似ていないわ!」
「いや、そう言われても困るんだけど。
・・・顔?鏡あるかな?」
「その前に服を着てください!」
駆け付けたカイに追いやられ、
奥の部屋で一般兵用のアーミースーツを着たセブンは、
鏡の前でまた絶句していた。
鏡には、黒髪で金色の瞳をした浅黒い肌の
整った顔立ちの男の顔が映っていた。
「・・・誰?」




