小さくとも頼れる相棒
北のダンジョンのフロア3に
展開していた魔物は、
当たった物を凍りつかせる
氷の針を放つ樹氷群だった。
背後からも打たれまくったセブンは
駆動部が軋み、動きが鈍くなっていた。
(ヤバいな、動け!動いてくれ!
これ以上食らったら
落とされるかもしれん。
バーニアの追加錬成して
高度上げるか?)
そう焦りながら考えていた時だった。
セブンのバックパックからフワフワと
小さな赤く光る玉が出てきた。
『アルジ、セブン。
コゴエテ コマッテ イルノカ?
ヒノ セイレイマホウ デ
アタタメテ アゲヨウ カ?』
精霊が片言で話すような感じで、
セブンの電脳内に語りかけてきた。
どうやら、小さな火の精霊が
手助けしてくるようだ。
彼らは攻撃系の精霊魔法は
持ち合わせていないのか、
使いたくないのか分からないが、
防御系や支援系の精霊魔法は
多種多様に使えるようだ。
魔法の効果は、精霊の大きさで
決まっているようなので、
今出てきたピンポン玉クラスの精霊だと、
かなり弱めの効果しか発揮できないのだ。
「すまないが、駆動部だけでいいから
動かせるように出来ればありがたい。
頼む、力を貸してくれ。」
『ウン!
ヤッテ ミルヨ!
タヨッテ クレテ アリガトウ。
アルジ、セブン。』
心なしか玉の色が強くなった気がした。
『セイレイマホウ!
ウォーム アップ!』
小さな精霊が力を込めて張り上げた声を聞くと
セブンの体も心も少し温まった感じがした。
(こんな小さな精霊も頑張ってくれるんだ。
っと、甘えてもいられないな。)
「サンキュー、あったまったぜ!
バーニア、火炎弾 錬成 !
火炎弾でもくらいやがれ!」
バーニアを吹かせて上昇しつつ、
樹氷群に向けて火炎弾をばら撒いた。
シュッ!シュッ!シュッ!
炸裂する前に氷の針で冷凍されてしまい、
起爆しなくなってしまった。
「チッ!やるな。
だが、お前達の魔石の位置は
特定できたぜ。
問題は腕のチタンブレードで
斬れるかどうかだな。」
『ソノ チタンブレード、
アタタメテ アゲヨウ カ?』
「頼めるか?
10分間くらいの間保てるか?」
『ガンバル!』
「すまん、頼む。
じゃあ行くぞ、相棒!
用意はいいか?」
『イイ ヨ!
ウォーム アップ!』
セブンの両腕のスペースチタンブレードが
淡く光り始めた。
バーニアとスラスターを全開で吹かせて、
樹氷群に突入していくセブンに
無数の氷の針が襲いかかって来た。
『ウォーム バリヤ!』
全部とはいかないが、半数くらいは
溶け落ちていく。
何発か小さな精霊にも当たったようで
表面が凍り付いてしまった。
「大丈夫か!?精霊さん!」
『シンパイ フヨウ。
アト デ マリョク
スコシ ワケテ。』
「ああ、遠慮するなよ相棒。
たっぷりあげるよ。」
セブンの金色の電子眼の光が強くなり、
さらに加速して樹氷群の魔石を
一刀のもとに斬り捨て始めた。
五分ほどでそのフロアにあった樹氷群の全てを
殲滅し終えたセブンに、次のフロアに行くときに生じる
グイッと引っ張られる感じが襲ってきた。
どこかのお寺の入り口のような門構えが見えていた。
両端に10mくらいの大きさの阿吽像のような雪像が
威嚇の姿勢で睨みをきかせていた。
「あー、これ門をくぐろうとすると
動き出すやつだな。
・・・お約束はいらないんですけど。
魔石の位置は特定できた。
斬らせてもらうか。
我が愛刀は魔物に遭えば魔物を斬り
仏に遭えば仏を・・斬ったらダメだな。
手を合わそうか。
お手合わせ願いますかっ!」
何となく左側の像の方から倒すことにしたセブンは
像の首元に仕込まれている魔石目掛けて
愛刀を煌めかせた。
すぐさま、右側の像にも斬りかかり、
2体とも崩れ落ちるように雪の中に消えて行った。
「ついに仏も斬ったか、我が愛刀は。
ムラマサブレードって名前に換えるかな?」
「下らぬ!
名などに何の意味がある?
ここで死ぬ貴様にはもう何も必要のないものだ。
よくぞ、ここまで参った、異邦人よ。
俺が玄武、
この世を冬の世界に閉じ込める神だ。
さぁ、かかってこい、異邦人!
終わらぬ冬の世界を見る前に
ここで果てるがいい!」
セブンの目の前には2m近い黒い大きな亀と蛇の
キメラのようなものが腕組みをして待ち構えていた。




