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今日から学校と仕事、始まります。②莞

暴力系ヒロインの苦悩

作者: 孤独

『あ、あんたの事なんか、べ、べ、別に好きじゃないんだからねっ!!クッキー、作りすぎただけだし!食べて欲しい……じゃなくて、食べさせてあげるーみたいな!か、か、感じだから!勘違いしないで!』


ツンデレがある。

ツンツンした言葉からによる、デレデレとした行動。ツンツンした行動からデレデレな言葉もまた良い。

一般的にも人気のある性格キャラだろう。まぁ、ちょっと古いかもしれない。

その進化系にしてはイマイチ違うとの評価がある性格キャラもある。

それが、…………


バヂィィッ


「ふざけんのも大概にしなっ!!」


暴力系ヒロインである。人気がないのが、少し残念。

女性が男性に向かって、暴力を与える。そんな印象もあるのかもしれないが、こんなにも直接的に男に触れてくれる。愛の鞭だ。

飛び蹴りと共に今日はあなたの好きな柄のパンツを魅せる、華麗なパンチラを筆頭に。ドッキリキスを予想させての残念な頭突き。胸を触るよりも難しい太ももの感触を、直に顔面に伝えてくれる蹴り。倒しちゃった男性を起こすまで、膝枕してあげるデレのある行動。男性の大切なき○玉も蹴り飛ばしてくれるのさ。



ザクッ



「包丁でその指切り落としてやろうか?」

「こ、怖いんで!もう止めてください!」



まぁ、暴力系もまた進化や工夫を遂げて。肝心な男性との接触を避けるだけでなく、歪んだその姿を魅せてくれるようになった。ヤンデレと混ざる事で、殺したいほど愛しちゃうのだ。



「瀬戸~~。あんた、ホントに。いい加減にしなさいよ」

「ご、ごめんって言ったじゃん!職場の空気変えようと、セクハラ談義を始めたのは悪かったよ!!」


ホントに悪いよ!!


「ふんっ。あたし達の前でしばらく、喋らないでね!ホントにあんたはっ……」


工藤友は暴力系女子である。まぁ、瀬戸博への制裁係だ。

低身長の社会人。見かけは子供、中身は変態。瀬戸が喋れば、『おっぱいおっぱい、巨乳サイコー、美乳サイコー、女性の体は素晴らしい』と下品な事しか言わない。ないチチの友ちゃんにとっては、瀬戸は存在と言動共に腹立たしい事ばかりである。


黙らせるならやはり暴力と共に注意である。

なぜに注意されるのか、考える力は誰にでも必要だし。優しい助言もしないとね。



「まったく」



しているかどうかは分からないが。友ちゃんは、そんな瀬戸にちゃんと構ってあげてる。

注意であり、暴力であり。


「友ちゃんって優しいね」

「なによ、安西……」

「瀬戸くんがセクハラ発言と行動するのって、欲求不満なだけだからさ。付き合ってるの、偉いなー」

「そーいうあんたも言葉選びなさい」


ただの嫌悪、ただの嫌悪。

そー言い聞かせるみたいな、表情に見えた。


「私はその時のノリで構うけど、友ちゃんはちゃーんとすぐに瀬戸くんに声をかけるよね?」

「だからなによ?」

「嫌いじゃないって伝わるの。ツンデレみたいな?」

「は、はぁっ?」


んなわけあるかっ。


「ないわよ。あいつはいつも馬鹿だから!口を閉じてやろうと、殴って蹴って、死ねと言い聞かせて!くたばっていいのよ!あんな馬鹿っ!ホントっ、馬鹿じゃない!」

「理由があんまりない……。具体的にならない嫌いは、仲間だからだもん」

「ぐ、具体的って何よっ!嫌いな理由を並べるの、好きよりも難しいじゃない!口開ければ、胸の話しやら男性から見た女性への意見とか、理不尽も良いとこ!」



な、なに?あたしと瀬戸ってそんな感じに思われているわけ?

安西から見たら、あたしってそーいう風に見えるの?

そりゃ瀬戸の馬鹿に付き合ってるけど、あいつより優れたグラフィッカーなんてそういないし、気まぐれで変態なのを除けば、ただの男。それがあるから



「き、嫌いよ!あんな奴!」

「ふーん。私も瀬戸くんは好きじゃない。好みのタイプじゃないって、意味だけど」

「あたしは嫌いなの!!」



でも、もしかして。あたしは、あいつのこと。

好きなタイプなのかな?


「言動が好きじゃないだけっ!エロい事ばっかり。嫌いなんだから!そーいうところから直せばさ、……ちょっとはモテると思うのにさ。身長がなんなのよ。バーカ、丸出し……男はロクな奴がいないわ」

「……………」


こー言ってはなんだけど。友ちゃん、瀬戸くんの事。好きなタイプにしてるの、偉いなぁ。

私は絶対に好きになれない。

見た目もあるけど、元気だし、馬鹿なのは変わりないから。


「そーだ!言ってやろ!瀬戸ーーっ」

「な、なに。今、裸の女性を描いているのに忙しいんだよ!」

「同人活動は後にしろ!職場ですんな!」


安西の毒舌思考の最中。友ちゃんは、瀬戸に助言してあげる。

本人なりのデレだと気付かず。



「あんたねぇっ!願望ばっかり言ってないで、ちょっとは行動や考えを見直しなさい!少しはあんたの見方、変わると思われるわ!」



そんなことまで言うのか、友ちゃん。無意識なんだろうが、凄い。

だが、残念。相手は瀬戸なんだよなぁ。


「友ちゃんこそ、内面を磨きなよ!胸が貧相だからキレやすいんだよ!牛乳を飲むんだよ!!お乳がないと、モテないよ!」

「んだとコラァッ!人の親切や優しさをムダにしやがって!!」

「…………やれやれ」


それでもたぶん、瀬戸も友ちゃんの事。嫌いじゃないんだろうな。



安西はそー思っている。2人はそう思っていないだろうけど。






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