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第4話 パイロット候補生は怒りだしたそうです

「へえ。リサの何人目の婚約者かしら、ここにも既に3人ほど居るよね。」


 中田教官が婚約者と言われていたのは知っているが他の2人もそうなんだ。そんなこと聞いてないよ。


「お姉ちゃん。嫉妬は醜いよ。止めておけばいいのに。」


「千春。貴女は黙ってなさい。」


「申し込まれたのは確かよ。でも1つも了承した覚えは無いわ。」


 申し込まれたことさえ知らなかった僕はどうしたらいいんだろう。イギリスの貴族とアメリカ州知事の孫がライバルか。たかだか旅館の跡取りじゃあ世間的に厳しいな。


「確か放置していたのよね。保留と言えばいいのかしら。それは余りにも身勝手過ぎじゃないかしら。」


 うんうん。確かにそうだ。せめて僕と肉体関係が出来たときには断って欲しかったな。


「そ・・・それは・・・。」


 リサが言葉に詰まる。リサは僕と結婚したくなかったのかな。イマイチ自信が無くなってきた。


「仕方が無いでしょ。婚約の申し込みが100万通以上あったのよ。そんなのをイチイチ正式に相手に断りの返事を出していたら、それだけで一生が終ってしまうわ。身内同然のウォルとジョージにはすぐに断りの返事を入れたわよ。」


 なんだそりゃ。


 でも当然と言えば当然かも。中田教官に側室を斡旋しようとする世の中なんだから、那須議長の娘が適齢期になったら、大量の婚約の申し込みがあっても不思議じゃないか。


「良かった。てっきり、リサの事情を知っていて、リサの心を救うためにこの場に現われたんだとばかり・・・。」


 拙い。思わず口を噤む。


「あゆむくん?」


 あっ。しまった。内緒だったんだ。リサの顔が歪んでいる。


「リサごめん。皆、今のは聞かなかったことにしてください。お願いします。」


 僕は最敬礼並みに頭を下げる。とりあえず肝心なところは誤魔化すしかない。


「あゆむくん大丈夫よ。リサがあの人の転生した姿だったいうのは、皆知っていることだから。」


「お姉ちゃん。それ私知らないよ。」


「あらそうだったかしら。でもあの人の身内同然の人々は皆知っているわ。」


「ど、どうしてよ! 不思議に思わないわけ!!」


「あの人が起きているときは、リサが意識を失っているのを皆見て知っているもの。それに新太郎様はズバリ聞いてきた人間には教えてくれたわよ。リサと同じで面倒だったんじゃないかしら。」


 まあ内緒にしようと思えば辻褄が合った理由が必要だ。1ヶ所でも綻びればすぐにバレてしまいそうな嘘になってしまうだろう。でも黙っているということも出来たはずだ。


「あの野郎・・・。」


「リ・・・リサ・・・。」


 あれだけ那須議長のすることを笑って許していたリサが怒りに燃えている。怒天髪突くような出来事だったらしい。僕、知らないっと。


「そ・・・そうだったのか。」


 ここで1人驚いているのは中田教官である。一番身近に居たはずなのに気付かなかったのか。


「ダメよ。あゆむくん。この男は初めから私のことなんて眼中に無かったんだから。前にも言ったけど12歳のときにから良く顔を見せるようになって16歳ときに同じ年の親友を孕ませたて奪ったのよ。ロリコンの何者でも無いでしょ。女性の敵よ。人類の敵よ。地球連邦の敵よ。」


 僕が余程、呆れた顔をしていたのだろう。既に火が付いていたリサに油を注ぐ結果となってしまい。ベラベラと饒舌になっていく。


「うぁっ。ひでぇ。中田教官って、そんなヤツだったのか。ヤバイ人間だったんですね。」


 そしてその火が周囲に伝染していった。それって秘密だったんじゃ・・・。


「ロリコン。紳士たる議長の側近として相応しくない。即刻、辞めるべきだ。」


「卑劣だわ。前から思っていたけど、なんて下劣なのかしら中田家の人々は。」


「ギルディ! 即刻、縛り首にすべきよ。」


 皆の心を1つにした中田教官はその場から逃げ去っていった。

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