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第8話 出会いもいろいろあるようです

やっと機体が出てきました。

申し訳ありません。

『亀のように遅い!』って突っ込まれそうですね。

「リサ。これに搭乗するのか?」


 リサが専用の機体を見せてくれるというので、付いていくとそこにはピンク色で塗装を施された『ミルキーウェイ』が4体も置いてあった。


「そうよ。可愛いでしょ。本当は真っ赤にするつもりだったんだけど、何故か止められてたのよ。これでも可愛いんだけどね。」


 真っ赤はダメだ。どう考えてもあの方専用機にしかみえない。


「標的にされないのかな。」


 他の個体は地球連邦の旗に合わせてあるのだろう。ホワイトをベースにブルーのラインが入っており、ブルーのラインの中に白い星が描かれているのだが、こんなドピンクの個体が1機居たら隊長機と認識されないのだろうか。


「塗装代金さえ払えばだけど、赤以外の色ならどんな色でも搭乗者の自由なの。だから全然目立たないわよ。」


 基本は1色だけど2色にすると若干高くなってフルカラーにすると物凄く高くなるらしい。印刷会社のオフセットかよ。


 きっと、痛ロボット兵器とか何処かの著作権に引っ掛かりそうな機体とかあるんだろうな。見たいような見たく無いような。


 僕だったらノーマルだな。戦いが終わった後に凱旋なんかした日には、後ろ指さされること請け合いだ。


「ピンクはリサの機体だけだよな。4体も使うのか?」


「違うわよ。隣のは、雅美・マーランド・中田さんのよ。」


 もう1機は予備機体らしい。機体の表面はオリハルコンでコーティングされているので大抵の攻撃では壊れないが内部の機器にダメージが溜まっていくらしい。この辺りはゲームの設定そのままだ。


 出撃中に内部の機器を交換整備することでダメージが無かったことにされるらしい。


「地球連邦広報官の中田さんのことだよな。」


 ()は代々芸能人を輩出する中田家の長男でアイドルグループのリーダーだった初代の中田雅美の名前を貰ったにも関わらず、地球連邦に入った変わり種だ。


 まあ初代の中田雅美もアイドルグループではMC担当だったというから、自分の血筋の才能を生かした職業に就いていると言えるに違いない。


 ボケ担当の那須議長と一緒に出てくると遠慮なしのツッコミを披露して、報道機関各社の担当者を煙に巻いてしまうのが恒例となっており、地球連邦の愛されキャラの1人である。


 しかし、あのスマートで格好良い中田広報官が『ミルキーウェイ』の搭乗者というだけでも驚きだがピンク色に塗装した機体の持ち主というのも意外すぎる。


「そうよ。私が火星基地に行くと知った彼が志願してくれたの。彼の機体の足元には黒猫の意匠が入っているのよ。可愛いでしょ。私の意匠は今考え中ね。」


 機体に意匠を入れるのは珍しく無い。昔の戦闘機乗りはビキニを着たセクシーな女性の意匠を入れていたという話だ。寒そうと思ったけど。


「しかし、あの中田広報官がピンク色なのか。やっぱりウケ狙いなのかな。」


 地球連邦の広報官として、大丈夫なのだろうかと思うくらい真面目な顔でおちゃらける時がある。時々、外しているけど。


「初代の中田雅美さんが好きな色だったというから真似しているらしいわ。」


「しかし、意外と小さいな。博物館に置いてあった銀河連邦製の『ミルキーウェイ』は全長140メートルと聞いていたけど、地球連邦製は全長18メートルだものな。」


 博物館と言っても野外に腰を折るようにしている。それでも機体の頭部は遥か上空にあってろくに見えない。


 まあ格納庫の鉄筋に支えられて立っている地球連邦製の『ミルキーウェイ』でも十分に大きいんだけど。


「博物館に置いてある『ミルキーウェイ』は占領作戦のためにワザと大きく作ってあるらしいの。銀河連邦製にもこの大きさの『ミルキーウェイ』があるのよ。この大きさは宇宙空間で戦うのに丁度良いらしいわ。」


「これがビームサーベルか?」


 本来、機体の腰につけられて居るはずの剣の柄のようなものが機体の足元に転がっていた。武器も僕に見せるために並べておいてくれたらしい。


「違うわよ。何で男の子って、これを見るとビームサーベルって言うのかしら。授業で教えてくれたでしょう。レイピアよ。」


 アニメやSF映画の影響だ。SF映画で人が使う武器だったそれは大抵のロボット兵器モノのアニメーションでも使用されるようになっている。


「ええっと確か。オリハルコンのギミックがオリハルコンとミスリルのロープに繋がっていて、一振りするとギミックが噛み合い一直線に並ぶんだっけ。」


 授業の内容を思い出しながら答える。


「そうよ。仕舞う時はロープが緩まり、柄の部分に入る仕組みよ。そもそも直線にしか移動しないレーザービーム光線が通った跡でしかない光で相手をキズつけられるわけが無いじゃない。相手をキズつけられるほど連続して光線を出し続けようとしたら、地球上の全ての発電所のエネルギーを足しても足らないわよ。」


 それは言ってはダメだ。お約束ってやつなんだから。


「こっちのビームライフルなら相手をキズつけられるんだろ。」


 僕はつい対抗心で隣に置いてあった筒状の兵器を指す。確かこれはビームライフルって名前だった覚えがある。


「本当に授業を聞いて無かったのね。レーザービーム光線がミスリルを貫通せずに押す力を利用して底のある筒状のミスリルの前にオリハルコン製の弾頭を付けた弾丸を打ち出すのよ。地球連邦製の戦艦もこの推進力を利用して動いているのよ。」


「全くリサちゃんは男のロマンが分からないなあ。」


 噂の男が現れた。中田広報官だ。


「マサヨシ! リサちゃんは止めてって、いつも言っているでしょ。」


「そっちこそ、マッミーって愛称で呼べよ。何年の付き合いになると思っているんだよ。」


「恋愛感情があるみたいに言わないで。あゆむくんに誤解されるでしょ。」


「誤解されねえよ。俺が愛妻家だってのは有名なんだ。君が服部くんか。大変だろ。ガサツ女のお守りなんてよ。」


 中田広報官はリサのガサツさを知っているみたい。身内って感じだ。


「恐妻家の間違いでしょ。この男、私の親友を取ったのよ。16歳なのに孕ませるなんて有り得ない。」


 40歳の時に幼妻を娶ったというのは有名な話だ。中田家は初代を含め、幼妻を娶ることで有名らしい。大抵十代の女性と結婚しているらしい。当時、リサの本命馬と言われた時期もあったらしいがそれはカモフラージュだったのだろう。


「中田さんこそ火星までリサのお守りご苦労様です。」


「本当は行きたく無いんだけどよ。嫁の命令なんで逆らえないんだ。」


 本当に恐妻家らしい。


「何かあっても子供共々引き取るから安心していいわよ。」


「安心できるかっ。」


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