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1 新婚生活はカオス

 吾輩のあだ名はジェームスである。由来はまだない。

 そんな私は、ようやく見慣れてきた我が家に奇跡的に帰ることができたのだった。

 込み上げる達成感とともに玄関の扉を開けると、すぐに妻が笑顔で迎えてくれた。

 私たち夫婦は先月結婚したばかりのラブラブカップルだ。多分私はこの世で一番幸せな状況下にいると思う。うらやましいか? そうだろう。

「おかえりジェームス。今日は帰ってこられたのね」

「ああ、なんとかね」

「連絡してくれれば迎えに行ったのに」

「それじゃあ君に悪いじゃないか」

 ところで私はどちらかというと、わりと方向感覚のない部類の人間に属している。昨日は会社を終えて帰ろうとしたものの、東西南北上下、どこへ向かえばいいのか皆目見当がつかなかった。仕方なく近くにあった公園で睡眠をし、翌日(つまり今日)そのまま会社へ向かい、そして帰ってきた。と言っても前述した通り、家に帰ることが出来たのは本当に偶然の出来事で、さつまいもを売ってるトラックを発見して、買おうと思って走って追いかけたのが良かった。結局追いつけず諦めたのだが、そこで立ち止まっていたところ、目の前に私の住むアパートがあったのに気付いたのだ。本当に私は運がいい。

「もう、今度からはちゃんと連絡してよね。そんなことより、ご飯にする? お風呂にする。……それとも、あ・た――」

「一日ぶりの我が家だ。ゆっくりご飯を食べたいかな」

「……分かったわ」

 妻はなんとなく気落ちした様子で台所へ向かっていった。

 それもそのはずである。私は妻の気分に添えられず、ご飯にすると言ってしまったのだから。ちなみに『お風呂にする?』というのは『お湯に頭を突っ込まれ苦しみもがきたい?』と同等の意味で、さっきの『あ・た』は『アタッシュケースの角に小指を思い切りぶつけて苦しみもがきたい?』というのを言いかけたものであった。しかし、どちらも疲れている私には少し荷が重かった。今日は妻には我慢んしてもらうことにしよう。

「ねえジェームス。あなたのために卵焼きを作ろうと思ったんだけど、卵が1つも無いの。ちょっと近くのコンビニで買ってきてくれない?」

 今帰ってきたばかりなのに、などとは思わなかった。自分の妻が困っていたらそれを助けるのが夫ってものだ。

「ああ、いいよ」

 私は快く引き受け、颯爽と家を飛び出していった。

 そして、ジェームスが家に帰ってきたのは3日後のことであった。

どうもこんにちは。一度この『小説家になろう』から姿を消した者です。……が、なんとなく戻ってきました。今回は特に変な文学思想とかは取り入れないつもりです。どこまで奇妙な物語を書けるかが今の目標です。きまぐれな私ですが(すみません)、このお話はしばらく更新すると思いますので、気分の向いた方はどうぞこのジェームス等にお付き合いください。

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