表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

その道具の名称はおかしい!!


 けたたましい金属のぶつかり合う音に目が覚めた。はっきりしない意識の中、手探りで音源を見つけ頂点にあるスイッチを押し込んだ。


 …………。

 ………………。

 ……………………Zzz。


 って、寝ちゃだめだ。

 眠気を強引に振り切り上体を起こす。今日は土曜日、学生は休日だが部活動などある為学校は開いている。何が言いたいかといえば生徒会もあるってこと。正確には提出期限が近いものを片付けるために集まるだけの一時的なものなのd…………Zzz。

 ってだからだめだって! これはいけない、早く顔洗おう。


 顔を洗い、歯磨きしていると正面の鏡に妹の凛が写った。

「ひん、ほはほお」

「おはようございますお兄様。ですが歯磨きの途中で口を開くのははしたないですよ?」

「ふはんふはん」

 口をゆすぎ、振り返る。

「凛、おはよう」

「はい、おはようございます。お兄様今日は休日ですよ。お早いのはどうしてですか?」

「生徒会に入ったんだよ。お前わかって聞いてるだろ、痕跡ちょくちょく学校で見つけてるんだぞ。」

「存じてますとも、好きなものからトイレの回数までバッチリ記憶していますよ」

「それはキモい」

「愛のなせる技です」

「家族愛かな?」

「もちろん夫婦愛です」

 なにがどうなればもちろんになるのか……。


「まぁそんなわけで俺は今から学校なんだが、凛はどうするんだ?」

「凛は少し気になることがありまして、それを調べてまいります」

 いつになく真剣な表情の凛に若干気圧される。こんな目のこいつは絶対目標を逃さない。いったいどこの誰がここまで凛を本気にさせてしまったのか。

「そうか。けどつい最近怪我したばかりなんだ無理はするなよ?」

 まぁ、こいつに怪我をさせたきゃ大型バスとかトラックとか持ってこいって話なんだがな。

「お兄様が凛の心配を・・・あぁ……ん♡ ふぅ、下を取り替えきます」

 もうやだこの妹。真面目な話してるかと思えばこれだ。

 まぁ、何するかわからないけど本当に無理だけはしてほしくないな。どんなに強くても怪我しにくくても俺には大切な家族に変わりないんだから。

 変態気質なのはNGだがな。





「いってきまーす」

「はい、いってらっしゃいませ」

 朝食を食べて着替え終えた俺は玄関を開ける。


「あの……お兄様?」

「ん? どうした」

 当たり前のように凛は俺の見送りをするが、しかし今日はなぜだか呼び止められた。忘れ物したっけな?


「いってきますのキッスを……」

「昼飯はいらないからなー」

 外に出てドアを閉めた。しっかり施錠もする。

「さーて、今日も一日頑張るかー」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! お兄様お慈悲をぉぉぉぉ」

 今日はやけに鳥たちがうるさいと感じました、まる。








 生徒会室のドアを横に引くと、既に香さんと祐希がいた。二人とも書類を確認しながら談笑していたが、ドアの音に気が付きこっちを向いた。

「おはようございます」

「おはよう。君もずいぶん早いな」

 言われて時計を見るが、だいたい平日の登校時刻と変わらない。


「そうですか? いつもこのくらいですけど」

「ボクもさっき聞いたんだけど土曜日の部活は九時集合がメジャーらしくて、八時前に登校する人はまれなんだってさ」

 へーそうなのか。今度は少し余裕を持って出てこようかな。まぁ今度がないに越したことはないけど。

 近くの椅子に腰掛け、数多い書類や資料の一部を手に取る。最初から比べると残り二割弱の紙の山。なんだかんだで相当な量を片付けたんだなーと、教室内をしみじみと見渡す。


「ボクたち頑張ったもんねー」

「しれっと思考を詠まれた気がする」

「悠哉は顔に出やすいからな」

 香さんに言われて頬に手を当てた。はて、そんなに顔に出るものか。


「悠哉くんは結構分かりやすいね。なんなら今考えてることを当ててあげよう」

「お、やるか? どうせなら何か賭けをしようじゃないか」

「んふふー、いいよやろうか。ボク今日のお昼買ってきてないし負けた人がご飯を奢るとかどう?」

「その勝負乗った!」


「少し待ってくれ、その勝負に丁度いいものがあってな」

 席を離れた香さんは机椅子が乱雑に積み重ねられた場所の端を抜け、室内に一つだけあるロッカーを開ける。教室であるところのいわゆる掃除用具入れだ。

 そこ危ないでしょ……というか今までそこにロッカーあるのに気がつかなかった。それほど机椅子がごった返しているということなんだけど。……いつか雪崩を起こしそうで怖いな。今度片付けよう、今度。

 ごそごそ何かを探していた香さんがトランシーバーのようなものを取り出して戻ってきた。


「如月さん、それなーに?」

「うむ、これは嘘発見器だ」

「は?」

 いやいやいや、しれっとなにいってるんですかねぇ、この会長さんは。


「正式名称は『「この髪の毛誰のよ!!」「あ、ああ友達を家に上げたんだよ。ロン毛の男友達さ」「この嘘つき! フェイクキラーのブザーがその証拠よ」』というらしいのだが、まぁ嘘発見器で間違っていない」

 なんで正式名称が会話の一文になってんだよ! しかも浮気してる夫を問い詰める妻っていう生々しさあるし。ってかこれの名前みたいなの出てきたよね!? フェイクキラーって出てきてたよね!!


「流石にさっきのルールだと祐希が不利になるからな」

 さっきのルールって……あ、俺が嘘を認めなければ負けることがないじゃん。すごい大きな穴を見過ごしてた。


「私は別に悠哉を信用してない訳ではないが、あいつからテストを頼まれていたのを思い出してな。ついでと言うわけだ」

「あいつ?」

「あぁこの嘘発見器を作った本人だよ。機械科にいる友人で、少し変わっているが面白いやつだぞ。彼女はなかなかユニークだ」

 香さんが言うユニークって俺の物差しで言う破天荒とかそんなレベルになってそう。会いたくねー……。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ