抹茶のカレーパン
駅から数分歩いたアーケード
1階はおいしいパンやさん
階段をのぼると文房具やさんで
3階はキャラクターグッズのお店
閉店は夜の8時20分
ふと目が覚めれば布団の中で
悪夢でもないのにひどく息苦しい
そんな場所はどこにもないし知らないのにな
ありありと思い出して記憶の中に居座っている
ここではないどこかに行きたくてしょうがないな
逃げ出せない檻の中で
腹が裂けるまで情報を注ぎ込まれる
僕らはまるでフォアグラのようだ
僕らはまるでフォアグラのようだ
僕らはまるでフォアグラのようだ
風邪薬胃薬頭痛薬
クスリ漬けのやつらを笑えない
ビタミンはBとCをサプリでたっぷり飲んでおけ
震えているのは寒さのせいじゃない
なんなんだろうな
空を飛べたらいいのになって
子供の頃は落ちる夢ばかり見ていたんだ
いつからか落ちても落ちられなくなってしまった
狂った物理法則は逃げ道に思えたが
やっぱりそれはどこまでも追いかけてくる
置き去りにされた結論が
いつも僕らを脅かしている
現実は変えられるんだなんてグラグラの土台は
目を閉じているのか開けているのかもわからなくさせるね
世界に貼られた壁紙が少し剥がれているだろう?
混信した電波のように
交わるほど増えていく情報量はまるでねずみ算
どおりでくらくらするほどおなかがいっぱいだ
震えているのは寒さのせいじゃない
神経が壊れているだけだ
剥がれた壁紙の向こうから
覗いているあいつの目が見えるかい
吹き込んだ息が小さな旋風を起こすんだ
くるくる舞う落ち葉を気にしないでいられるやつだけ
書き割りの月を信じていればいい
なんにも知らないで笑ったり怒ったり
しているやつらは滑稽だけれど
全部わかった上で同じように笑うことはなんて美しいんだ
どちらの笑顔に差異がないことを
誰が見たって判別つかないんだとしてもさ
食べたいなあ、あそこのパンやで売っていた
抹茶クリームでコーティングされたカレーパン
三日月のかたちできらきら星のトッピング
電気羊の夢さえ見られない僕らは
二度と手にすることのないそれに埋められていく
そんなことで空回りするような脳みそのシェイク
糸を入れないミシンを見ているようだ
僕は誰に食われるフォアグラなんだろう
震えているのは寒さのせいじゃない
やっとわかったよパソコンの起動音だ




