ちょっとだけ無敵結界
マスターゴブリン
レベル３８
ＨＰ ３７９０／４１００
ＭＰ ６４毎度おなじみ、丸安印の新作スキル！ 詳細はコチラ！
ゲっ、なんだこいつメチャ強いぞ！？
ていうかいきなりなんだこの文字、邪魔だ。
数字隠れちゃってるし。なんだよこれ広告か？
「ちょっとそんな、カードいじってる場合じゃ……って違う？ あれ、なにそれなにそれ？」
「あっ、ちょ、ちょっと！」
いきなりレナがおっぱいを押し付けてきた。
無理やりスマホを覗き込もうとしてくる。
「ねえなんで隠すの？ ちょっとそれ見せて見せて！」
「だっ、ちょ、待って！ 来てるから、魔物！」
「へ？ あっ、ホントだ、また見つかっちゃった！ どうしよう！」
今度はあたふたとおっぱいを揺らしだした。
その反応からしても、かなりヤバイ敵だというのはわかる。
まだ距離はあるけどＭＰがあるっぽいし、魔法なんか食らったらシャレにならない。
とりあえず、なんか防御系のスキルないかな。
『バリア 無敵』
で検索。
色々出てきたが、ここで死んだら残りＧＰもクソもないので、糸目をつけずに探す。
―――――――――――――――――――――
スキル名 ちょっとだけ無敵結界
作成者 無念の神＠マゾゲー好き
概要
今回の無念な方は、魔道研究士シリウスさんです。
研究に研究を重ね、長い年月を経て最強のバリアを完成させたシリウスさん。
ついに発動したバリアは、外界からのあらゆる攻撃を完全に防ぎました。
ですが効果は３０秒だけだったのです。
３０秒後、彼はあっさりやられちゃいました。ああ、残念無念。
バリアを発動するためには、毎回おおがかりな準備が必要だったようです。
１５００ＧＰ
アクティブスキル
クールタイム ２００時間
初回即時発動特典有り
―――――――――――――――――――――
ちんたらやってられないし、これでいいや。
ざっと見た感じ、なんか３０秒は無敵らしいし。
そうと決まればさっさとダウンロードだ。
アクティブスキル枠が足りませんだの、入れ替えますかだの色々出てきたが、
とにかくＯＫを連打してスキル発動。
すると俺の体を中心に、薄い光の壁が三角錐状に展開した。
「なにこの光……？ あ、ねえ！ アイツほんとーにヤバイから、早く逃げないと！」
「いや、動かないほうがいいかも。この中にいれば大丈夫……だと思う」
その時、ゴブリンが手を振りかざすのが見えた。
同時に発生した、黒い気の塊のようなものが飛んでくる。
「きゃっ、魔法！？」
レナがしがみついてくる。
だがゴブリンの魔法は、目の前の壁に弾かれて霧散した。
「わぁ、すごいこれ、魔法バリア？」
俺はそれには答えずに、スマホに視線を落とす。
確かに無敵っぽいが、時間制限があるからそんな余裕こいてられない。
とりあえずさっきのファイアボールを放とうとするが、なぜか発動ができない。
代わりにホーム画面にアクティブスキル管理、というアイコンが追加されていることに今さら気づく。
起動すると現在セット中のスキル、というものが表示された。
丸安印の魔物鑑定
ファイア・ボール（エネルギー５０％カット）
インスタント無敵結界
現在セット中のものはこの三つらしい。
スキル名の下に、ゲージが伸びていてそれがじわじわと進んでいる。
なるほどクールタイムとはこれのことか。
俺がゲーマーじゃなかったら、気づかずテンパってたかもしれない。
すぐにゲージは満タンになった。
同時にファイアボールをタップして、ターゲットを指定して発動。
飛び出した火の玉が、魔物に直撃した。
だが、敵はわずかにひるんだだけだった。
ＨＰ ３５９０／４１００
全然減ってないんだが……。
こいつガチで強い奴じゃん。
魔法に続いて、ゴブリンはナタのような武器を振りかぶって、投げつけてきた。
だが光の壁が投げつけられた凶器を弾き返す。
このバリア、本当に無敵のようだ。
が、このままだとまずい。
なんとかして、撃退できるスキルを探さないと。
ええと、相手がゴブリンとなると……。
『マスターゴブリン 倒す』
いくつか出てきた検索結果に目を走らせて、直感でその中の一つを選ぶ。
―――――――――――――――――――――
スキル名 ゴブリン殺し
作成者 復讐の神アベンジャー
概要
昔あるところに、一人の男がいた。
彼は平凡ながらも、美しい妻を得て子宝にも恵まれ、幸福だった。
だが、ある日、不運にもゴブリン達の襲撃によって妻子の命を奪われ、家を焼かれ……。
すべてを失った男は、復讐を果たすべく、限界まで己を鍛え上げた。
そして男は残りの人生を、ひたすら全てのゴブリンを殺すためだけに捧げた……。
そんな彼を、召喚スキルにしてみました☆
よければ評価お願いします！
―――――――――――――――――――――
なんだよこれ重いわ。
と思ったら軽いわ。
バリアの有効時間がそろそろ切れる。
もたもたしている余裕はない。
俺は適当に読み飛ばしてさっさと画面をスクロールして、スキルを入手し発動した。
