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神スキルストアで楽々異世界ニート生活 ?  作者: 荒三水
二章

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59/87

ターゲット選定


 そんな調子で結局、俺はアムと共に家に戻ってきた。

 

 これまで俺が何か外から持ち帰ると言ったらゴミぐらいのもんだ。

 ゴミは持ち帰りましょうと言われるままにね。


 だが今回は、まさかの美少女お持ち帰り。


 そりゃ俺が前世から、出会ったばかりの子をガンガンお持ち帰りしている超絶イケメンだったら、この状況を特に変に思わないのかもしれないが……。

 悲しいかな、今メチャクチャ疑わしい。


 出会って○秒で合体とかそういうのはね、九割やらせですから。

 とにかく今は気を抜かずに相手の体を観察……いや注意を払おうと思う。


「わ~ここがトージ様のおうちですかぁ。おっきーい」


 家に入るなり、アムはテレビ番組のグルメリポーターのようにわざとらしい感嘆の声を上げる。


 ここに来るまでもそうだったがこの女、大きい、の言い方一つとっても響きが卑猥である。

 

 居間までやってくると、アムは密着していた俺の体からぱっと離れ、きょろきょろと辺りを物色し始めた。

 まるで何か探しているような素振りだ。

 

「……アム? どうかした?」

「え? なんですか? どうかしたんですか?」


 いやこっちが聞いてるんだが。

 

 アムは俺のことを半分無視して、フラフラと歩きながら部屋のあちこちに視線を走らせている。

 なんなんだ一体、にしても……。 


「ところで、足は大丈夫……」

「あっ」


 俺がそう口にしたとたん、アムは我に返ったようにその場にうずくまって、左の足首を押さえはじめた。


「いたた……すいません、私、ついはしゃいじゃって……」

「……あれ? さっき右足押さえてなかったっけ?」

「えっ? い、いやいや、そんなことないですよぉ」

「いや右だったよ」

「だから違いますって……え、ていうかなんなんですか? 右とか左とか、この際関係なくないですか?」

「いや大いにあると思うが……」

「あ、違います思い出しました、そういえば私、両足ともひねったんですけど? あーイタイイタイ」


 ……う~んあやしい。


 なんで若干逆ギレ気味なんだよ。

 これにはさすがの俺も、のんびり様子見、というわけにはいかなくなってきた。


 あまりマナーはよくないが、ここは身の安全を確かめるため一度見破りスキルを使わせてもらう。

 使うのは、チャラ神イケメソから落とした「ターゲット選定」というスキルだ。

 

 このスキルは種族が人間の相手にしか使えず、見られるステータスも少し偏ったものだが……ないよりはマシだ。

 最初のころ落とした丸安印の魔物鑑定は広告がウザイし、なにより魔物にしか使えない。

  

 見破り系は思っていた以上にレアスキルらしく、まともそうなのは異様に要求GPが高いのだ。


 決してこのスキルを見つけた瞬間、即落としたというわけではない。

 他にコスパのいい見破りスキルが見つからなかったので、仕方なくだ。仕方なく。


 もちろんこの状況で音声認識を使うわけにはいかず、俺はこっそりウィンドウを起動し、仕方なくスキルを発動する。

  

 ―――――――――――――――――――――


 名前 ???

 年齢 ???

 

 身長 159cm

 体重 ヒ・ミ・ツ

 

 B72

 W56

 H86

 

 経験人数 ?


 評点 S


 マジパネェっす。

 焼き土下座してでも連絡先を交換すべき。

 おっぱいさえあれば殿堂入りあったな。

  

 ―――――――――――――――――――――

 

 でた、?マーク。

 なぜそこがわからんのだ。

 

 向こうがステータスを見られないようにできるスキルか何かを使っている可能性はあるが……。


 とりあえずこのスキルが使えたということは、実は魔物でしたなんていうオチはなくれっきとした人間らしい。

 

 ちなみに体重がヒミツになっているのはスキルの仕様だ。

 こういうお寒いことをしやがるから、神スキルというものはいざという時信頼できない。


 大体お前の主観バリバリのくだらない評点なんかいらねえんだよ。

 こっそりレナに使った時は「おっぱいでかすぎ、もう少し控えめだったら百パー殿堂入り」とか抜かしてやがったくせに。


 ……おっと、口が滑った。

 それも効果を確認するため、やむを得ずだ。

 

 俺がデータの正確性をチェックするためじーっと目を光らせていると、どうしたわけかアムは突然足から手を離して、すっくと立ち上がった。

 そして大げさに首を傾げてみせる。


「あら? というより、もう意外と大丈夫かもしれません」


 いきなり治っちゃったよ。

 意外とってどういうことやねん。


 さっきの鑑定で一応人間だということは判明したが、言動が怪しいということに変わりはない。

 少しばかりもったいない気がしないでもないが、厄介事はご免だ。


 もう大丈夫だというのなら、ここは丁重にお帰りを……ああ、でも逃げてきたんだっけ。

 とすると……。

 

 どうするか迷っていると、アムは自分の汚れた手足を見ながら言った。

 

「足は大丈夫なんですけど……、できたらお湯をお借りしたいんですが。このままだと、お部屋を汚してしまいそうなので」

「はいはいお湯ね。いいよいいよ」


 やはり汚れたまま放り出すのもかわいそうだ。


 誤解しないで欲しいのは、なにかエロハプニングがあるかもとかいう、下心から承諾したわけではない。

 アムは「ありがとうございます」とお辞儀をした後、身につけた衣服に手をかけた。


「って待て待て! なぜ今ここで脱ぎ始める!?」

「あれ? ダメでしたか?」

「いやダメってことはないんだけども……」


 心の準備ができていないというか……そうやってグイグイこられると逆に引いてしまうというか。

 とにかくここで脱がれても困るので、しかるべき場所でしてもらおう。

 

 さすが元貴族の家というだけはあって、この家にはそこそこに大きい浴室が存在する。

 そこで洗うなり何なりしてもらえばいいだろう。


「と、とりあえず、案内するから」

「はぁい」


 ヤバイな……返事すらエロく聞こえてきた。


 居間を出て通路を進む間、アムはぴったりすぐ後ろをついてくる。

 背後に立たれるとどうも落ち着かない……。


 妙なプレッシャーを感じながらも、風呂場へ続く脱衣所へやってくる。

 準備をすべく浴室への木製の扉をがらっと開けると、いきなり中からもわっと熱風が吹き付けてきた。


 どういうわけか、すでに中では大量の湯気が発生していた。

 

 げっ、これは……。

 

 嫌な予感がするのと同時に、湯煙の中からかすかに小さな人影――肌色のシルエットが視界に飛び込んできた。

 俺は反射的に扉を閉めて、後ろを振り返る。


「ごめん、今ちょっと風呂が壊れてるみたいだから戻ろう」

「壊れてる? 今の湯気って熱気ツボですよね?」

「そう、熱気ツボとは一見ただの壷であるがこれに別売りのさまざまな石を放り込むことによって蒸気で風呂を一瞬でサウナ状に温めたり熱水を出して湯船にお湯を張ったりすることができるそこそこ高価な魔法アイテムなのだ」

「知ってます。湯気が出てるなら別に壊れてないみたいですけど、中に誰かいるんですか?」

「さ、さあ? いないと思うけど……」

 

 一気に説明してごまかそうとしたがあっさりかわされた。

 気をそらすどころかアムは閉まった扉をじっと見つめて、小さく何事かつぶやいた。

 

「そうか、さてはここに隠して……」

「ん?」

「いえなんでもないです。早く入りましょ?」

「いや風呂はまた今度で……」


 俺はあせりつつも、扉に手を伸ばすアムの前に立ちふさがる。

 ここはなんとしても死守である。


「どうしてですかここまで来て。じゃあほら、トージ様も一緒に……」


 そう言うなりアムはばっと身に着けているものを脱ぎ捨てた。

 うわっ、と俺が白い裸体から目をそらすと、その隙を突いてアムは扉を勢いよく開いた。

 

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