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神スキルストアで楽々異世界ニート生活 ?  作者: 荒三水
二章

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魔王にケツバット

俺はその後、「神聖騎士を圧倒するような者がひょっこり現れて手助けしてくれないものか……」とレックにしつこくチラチラされたが、「あ~現れるといいっすねえ~」と第三者目線でうまくかわした。


 その結果、俺一人だけ残してみんないなくなった。

 なにやらホモホモしい予感のする兵士ルートにいかなくてすんだのはよかったが……どうすんだこれ? 


 このまま魔王に攻め込まれてエデン側が負けた場合、のんびりゲームどころかゲームオーバー……もしくは魔族の奴隷プレイが始まってしまう。

 クソ、魔王め……。


 だいたい、魔王のほうから攻めてくるとか全くお約束じゃない。

 普通は勇者が強くなるまでじっと出てこないで、さらに最強武器を自分の城の宝箱に丁寧にご用意して待ち構えているもんだろ。

 少しはドラ○エのボスを見習え。


 さすがに温厚な俺もイラッときているね。魔王の空気の読めなさ加減に。

 仕方ねえ、こうなったら……。

 

 俺はウィンドウを開き神世界にログインすると、ムツノにチャットを送る。

 向こうは万年インしてやがるので応答は速い。


「……アダマント鉱石、一つ3000GPで」

「む? いきなりどういう風の吹き回しだ?」

「いや、別に。ちょっと入り用で」

「ふぅん、まあどうでもいい。あ~でも3000か~、今の相場で言うと、せいぜい2500までしか出せんなぁ~」


 ぐっ……このがめつい幼女めが。

 足元見られた。


 結局俺は、アダマント鉱石ほか、いくつかのレア素材をムツノに売り払って、13000GPを捻出する。

 これで使えるのは15000GPか……。


 お前残り2000GPしかなかったのかよ、とかいう突っ込みはなしだ。

 これは言うなれば、後にこうやってレアアイテムをGPで交換して稼ぐための、初期投資のようなものだ。

 決して熱くなってガチャを回しまくってGPを浪費した、とかいうことではない。


 さて肝心のスキルだが……。

 色々と検索をしてみたが、さすがに魔王を倒す、だとかそういう安易な神スキルは存在しないようだ。

 

 仮にあったとしても相手が魔王となると、近づいてスキルを使う前に、魔法か何かであっさりやられそうな雰囲気。


 手下もわんさかいるだろうし、今の俺のレベルだとちょっとした流れ弾が当たっただけでも、お亡くなりになってしまいそうな勢いだ。

 

 真面目に考えるとすれば、無敵結界とあわせて突っ込んで例の聖剣の必殺技、とかになるのかもしれないが……。

 それで倒せる保証はないし、なによりもそんなリスクを冒したくない。

 

 なんかこう、ものすごい遠くからでも攻撃できるようなものはないのか。

 別に倒せなくても、追い払えればそれでいいんだし。


『魔王 遠くから 攻撃 いやがらせ』 

 

 ―――――――――――――――――――――

 

 スキル名 魔王にケツバット


 作成者 一芸の神

 

 概要

 

 どんどん埋もれた才能を発掘していくぜ!


 今回はケツバットに命を懸けた男だ。

 

 一億回の素振りを経て、ついにバットは音を置き去りにした。


 だがこの男、なぜ素振りを始めたのか、忘れちまったらしい。


 バットを持たせないとただの耄碌ジジイなんだ。

  

 このままだとスキル審査に通らねえから、標的はとりあえず魔王で。


 魔王とはまったく絡みはないけど、ネームバリューだな。


 みんなダウンロードよろしく!



 3000GP


 アクティブスキル

 クールタイム10分


 ―――――――――――――――――――――


 

 スキル名 魔王にタイキック


 作成者  一芸の神


 概要

 

 今回の一芸野郎は、三度の飯よりタイキックが好きな男だ。

 

 以下本人のコメント、やる気満点だ。



 シュッ、シュッ!!

 

 ヒザガックガクにしてやんぜ!


 特に魔王に恨みはないけど、キメるならやっぱ魔王っしょ!



 2000GP


 アクティブスキル

 クールタイム10分


 ―――――――――――――――――――――

 

 

 こんなものか……。

 さすが魔王、大人気だな。

 いろんな人から目の敵にされている。悪い奴だよ本当。

 

 魔王にこんな罰ゲームみたいなものが効くのかわからんが……物は試しだ。

 

 それぞれ落として発動を選択。

 どうやらスキル発動中になったみたいだが……。


 何も起こらないぞ。

 なんだ? ハズレスキルか?

 もしくは、今頃魔王のケツをシバいてるということなのだろうか。


 しばらく待っていると、スキルがクールタイムに入った。

 どうやら終わったらしい。

 

 効果はどうなんだろうな……?

 ただクールタイムは10分と結構短いため、10分後にまた発動できる。

 ならば数で押すか。

 

 物理的にあまり効いてなくても、10分ごとにケツバットとタイキックは相当ウザイだろう。

 これはいい精神攻撃。

 

 どちらも音声認識スキル対応なので、声に出すだけで発動ができる。

 ウィンドウを開く必要もいじる必要もないので、これはやはり便利だ。


「魔王にケツバット……魔王にタイキック……」

 

 一度家に戻ることにした俺は、ぶつぶつ呟きながら、他のスキルを探しつつ街を歩く。

 何かないか、魔王から逃げる……魔王に謝る……魔王の怒りを鎮める……?


 ワードを変えて検索しながら、曲がり角を折れた。

 その時、ちょうど反対から走ってくる人影に気づく。


「危なっ!」


 とっさによけようと身をかわすが、どういうわけか向こうが軌道修正したため、よけきれず激しく衝突した。


「きゃあっ!」


 という悲鳴と共に、体当たり気味にぶつかられ地面に倒される。

 すかさずえらく柔らかい重みが、俺の体に覆いかぶさってきた。

 

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