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神スキルストアで楽々異世界ニート生活 ?  作者: 荒三水
一章

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41/87

犯人かつリーダーの男


『標的を選択 自動・手動』


 スキルを発動すると、すぐにウィンドウに文字が表示された。

 自動というのも少し怖いので、手動をタッチ。


『スキル発動』


 今度こそスキル発動ボタンが表示される。

 どうやら画面が向いている正面に、スキルが炸裂する仕組みのようだが……。


 標的はどうしようかな。

 目の前の怖いお兄さんにしてもいいんだが、後で文句を言われるのも嫌だし。


「オイなんのつもりだよその手の動きは? なんも起こらねえじゃねえかよ? 早く見せてみろや」

「謝るんなら今のうちだぞ? そしたらこの後中でじっくりハナシ聞いてやるからよ」


 これってトチったらそのまま拉致られて廃屋の中でアーッな感じ?

 そんな大きな聖剣入りませんらめぇって、そりゃいかんでしょ。

 

 でもおかげで、ちょうどいいターゲットを見つけた。

 

「じゃ、行きますよー」


 そう言って、ポチっと『スキル発動』を押した俺の人差し指の先。

 そこから、ちょろっと小さな火の玉が飛び出した。

 フラフラと漂うように、ゆっくり建物に向かっていく。


「ぎゃはは! なんじゃありゃファイアボールか? あんなんがユニークスキルだぁ?」

「おい笑わせんな、初級火魔法スキルだってアレよりマシだろ」


 見ているこっちもつい頑張れしたくなるような頼りなさ。

 もしやこりゃハズレスキルか? 

 火神(笑)カグツチ(笑)とかってイジメられてるのかもしれない。

 

「さて、このホラ吹き野郎をシメるとするか。おい、逃がすんじゃねえぞ」

「おうよ」


 いよいよ雲行きが怪しくなってくる。

 さて、こちらも逃げるとするか。どの道こいつらにもう用はないし。


 と、俺が事前に落としておいた、何かすごい嫌なにおいを撒き散らして逃げるというスキルを発動しようとしたその時。


 ――ズゴォォォォオオッ!!


 にじり寄ってくるならず者たちの背後で、強烈な爆炎が巻き起こった。

 激しい勢いで燃え盛る炎が、一瞬にして館を包んでいだ。


「なっ……!?」

 

 異変に気づいた男二人が振り返るが、あまりの光景に俺たちは三人揃って息をのんだ。

 燃えている。メラメラと館が。

 なんていうか、火って、怖いんだなって思った。

 

 これはちょっとやりすぎか……。

 けど、まさかここまでの威力とは思わなかった。

 カグツチさんマジパねぇっす。


 お兄さん二人が、呆然と燃える館を眺めたままずっと固まっているので、仕方なく伺いを立てる。


「えっと、それでどうすか? その試験は、合格っすか?」

「ひっ……」

「ひ?」

「ひ、火、火ぃぃぃっ!! は、早く、早く消せーーーっ!!」


 やっと我に返ったのか、あたふたと動き始めた。

  

 あー無理だなこりゃ。めっさ燃えてるし、ちょっと水かけたぐらいじゃどうしようもない。


 二人がものすごいテンパっているので少し悪い気がしないでもないけど、いやでも、スキルを見せてみろって言うから。

 

 さて、どの道ここにはレナはいないみたいだし、一旦帰るか。


「おっ、オイテメエ待て! 逃げる気か!」

「えっ、あ、もしかして今のもう一回見せたほうがいいっすか?」

「いっ!? や、やめろ! それはやめてマジで!」

「なんかアジト燃えちゃったみたいなんで、僕、脱退します。それじゃ」

 

 チンピラ達は何か言いたそうだったが、また適当にスキルを発動するようなフリをしてみせると、悲鳴を上げながらアッサリ引き下がった。


 そして慌てふためきながら、消火活動を始める二人を放って、俺は来た道を戻る。


 しかしよく燃えてるなぁ。

 まあ、付近に引火はしなそうだから大丈夫だろう。

 多分、ターゲットを燃やし尽くしたら消える的なものなんじゃないかと思う。

  

 などと考えつつ、時折振り返りながら火の元から遠ざかっていくと、

 

「待てぇぇーい!!」


 どこからか、ものすごい大声で誰かを呼び止める声が。

 俺はもちろん無視して歩く。


「そこの黒髪の男~!」


 ……やっぱり俺かよ。

 立ち止まると、脇の細い通路からガシャガシャと音を立てながら、行く手に人影が飛び出してきた。

 そして俺の前に立ちはだかったのは、さっきの白い鎧を身につけた騎士だった。


「何か?」


 ついさっき放火してきたけどそんなことは知らんという顔で俺は尋ねる。


「シラをきる気か!? 私は一部始終、見ていたぞ! 何かものすごい勢いで火が上がっているのは貴殿のせいだろう!」

「いやあれね、試験なんすよ。燃やせるもんなら燃やしてみろって言われたんで」

「よくぞやってくれた、感謝する……ではない、もとい、よくもやってくれたな!」

「何を言って……だいたいアンタ、さっきからなんなの?」

「それはな……何を隠そう、実は私こそがヤツらのリーダーなのだ!」

「はぁ?」

「貴様、よくも! このままでは済まさんぞ! さぁ、剣を抜け、勝負だ!」


 そう叫ぶと、鎧の男はギラリと腰の剣を抜き放った。

 えぇ……なにこの人。いきなりやる気満点じゃん……。

 

「いやちょっと待った。まだ理解が追いついてないんだが。色々おかしいだろう、なんで……」

「何もおかしいことなどない。ふっ、安心しろ。私に勝ったら、さらった女の居場所を教えてやる」

「さらった女……? それを知ってるってことは、マジでお前が犯人か?」

「だから私が犯人かつリーダーであると言っておろうが!」


 犯人かつリーダーってなんだよその言い方。

 全然、人攫いとかしそうな感じじゃないんだが……。

 むしろ助けに行く側に見える。


 だがこのキチガイ具合は確かに何かやらかしそうな雰囲気もある。

 つまりよくわからんということだ。


「本当にお前がリーダーのツェガロって奴か?」

「さよう。我が名は、レックハルト・レジャスティ・エデンティラ! さあいざ尋常に勝負!」

「全然違うじゃねーかよ! 謎の肯定すんな!」


 ダメだこいつ、馬鹿だ。

 こういう意味不明な輩とは関わらないに限る。


「さあさあさあ! 私と戦わなければ、レナハートの命はないぞ! 剣を抜け、いざ正々堂々と!」

「さらっておいてなにが正々堂々だ!」


 暑苦しいわコイツ。

 本来ならシカトしたいところだが、やっぱコイツ何か知っているな。

 

 いまいち腑に落ちないが、コイツを締め上げればなんとか解決しそうな気はする。

 俺は仕方なく腰元の聖剣に巻きつけてある布を解いて、手に構える。


 聖剣装備効果か知らないが、すぐさま刀身が輝き出す。

 すると、レックハルトという騎士がそれを見て目を丸くした。


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