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神スキルストアで楽々異世界ニート生活 ?  作者: 荒三水
一章

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32/87

俺様がダーツの神だZE☆


「お、おいレナ……」

「景品取って、今度は私がトウジにプレゼントするね!」


 などと意気込んで、止める間もなくレナはステージに向かう。

 俺とエミリは顔を見合わせながらも、その後をついてステージの最前列までやってきた。

 

「おおっと!? こいつぁべっぴんな姉ちゃんだ! こりゃいろんな意味で期待できるな!」


 司会の男が壇上に上るレナを迎えながら、大声ではやし立てた。

 それに応えるように、うおぉーっ、と周りで野太い声が上がる。

 

 誰だおっぱいおっぱい連呼してるバカは。俺みたいに心の中だけにしておけよ。


「トウジー! 私頑張るから、見ててねー!」


 レナが若干のぼせ気味の顔で、俺に手を振ってくる。

 とたんに、「チッ、野郎連れかよ」「ナチュラルに爆発しろ」「おっぱいおっぱい!」とこれみよがしに舌打ちやら罵倒? やらが飛んでくる。

 

 心なしかあちこちから殺気だった視線を感じるような……。 

 いやいや、俺なんも悪くないだろ……。


 レナが舞台袖から三本のダーツの矢を渡される。

 得点は、矢を的に三本投げた合計点によって決まるようだ。


「それじゃ第一投目、いってみようか!」


 わーっと拍手が起こった後、一気にレナに注目が集まる。

 レナは大きく一度深呼吸をした後、的に狙いを定めて、大きく振りかぶった。


 ……振りかぶった?


「えいっ!」


 まさかの渾身のオーバースローから放たれた第一投。

 勢いよく飛び出した矢は、大きく的からはずれ……。

 

「ぎゃあああっ!」


 観客席から汚い悲鳴が上がった。

 何事かと見ると、ハゲかけたおっさんが頭を押さえていた。

   

 頭に、脳天に矢が刺さっとるがな。

 どうやら投げる寸前で指からすっぽ抜けたようだ。

 

 すぐに周りで酔っ払い特有のバカでかい笑いが起こる。


「ぎゃははは、大当たり~!」

「おっぱいおっぱいうるせえからそうなんだよ、ぶはははっ!!」


 みんな酔っているから笑って見過ごされているが、ちょっとした無差別テロだろこれ。

 当のレナは「あれ?」と首をきょろきょろさせて、どこへ飛んだかわかっていない様子。


「ぶはは、個人的には点数を上げてえとこだが……一投目は0点! 残念、この時点で一等は……」


 と司会がしゃべっているのを無視して、レナは二本目の矢を振りかぶる。

 あの目つきはまだまだあきらめていないようだ。

 大きく腕を振って、二投目。


「あいだあああぁぁっ!」


 今度はステージの袖で、えらそうに腕組みをしていたオッサンの足のふとももに刺さった。

 ……すごい痛いところに。

 もう少し上にずれていたら大惨事だった。

 

 足を押さえてもだえるオッサンのよそに、レナは不思議そうに首をかしげる。


「あれえ……? ぜんぜん刺さらない……。でもだいじょうぶ、まだあと一本あるもんね!」

 

 なにが大丈夫なのかわからん。

 もうどうやってもエルフの得点は超えられんだろうに。

 あと一本でどっかのおっさんにとどめを刺す気か?

  

 またもレナが振りかぶると、悲鳴交じりのどよめきが上がる。

 さすがに三度目ともなると、みんなのんきに笑ってもいられなくなったようだ。


「ちょ、ストップ! お嬢ちゃんストップ!」

 

 被害を受けたのがお偉いさんだったのか、青い顔になって司会が必死に静止をかける。

 だがレナは謎の集中力を発揮しているのか、単純に酔っているのか、全く聞こえていないようだ。

 

 ……さすがにこれはちょっとまずいな。

 監督不行き届きで、景品どころかみんなから怒りをプレゼントされそう。


 俺は第三の被害者が出ないうちに、ステージに近づいてレナに声をかける。


「レナさん、ここまでにしましょう、皆さん怖がってるんで」

「ヤダ! トウジにプレゼントするの! 絶対!」

 

 ヤダって、子供かよ。

 まあ気持ちはうれしいけど、もうちょっと時と場所をわきまえてだな……。


 ダダをこね始めたレナに困惑していると、素早く司会のおっさんが下りてきて、俺に耳打ちしてきた。

  

「……オイ兄ちゃん、こうなったら代わりにアンタが投げてくれ、これ以上荒らされちゃかなわねえ」

「え? 俺?」

「頼むよ、こっちもこのまま変な空気で終わりにできねえんだよ。支配人にどやされちまうよ」


 腕を引かれて、無理やりステージ上に連れて行かれる。

 そして押し付けられるように、矢を三本持たされた。

 これでよしと、司会の男が勢いよくまくしたてていく。

 

「さあここで、新たなる挑戦者の登場だ! 俺がカタキをうってやると意気込んで現れたのは、なにやら怪しそうな関係のこの男!」

 

 そんなこと一言も言ってねえ。

 うわなにこの感じ、勝手におかしなことになってるよ。

 すごく帰りたいんですけど。

 

「さあ兄ちゃん! カノジョの前でカッコいいとこ、見せてやらねえとな!」


 バンと司会のオッサンが俺の背中を叩くと、観衆がやたら活気付く。

 たしかに盛り上がってはいるが、ここで俺もひどい結果になったら、それこそメチャクチャお寒いことになりそう。


「トウジが……私のカタキを……」

 

 レナがなにやら期待するまなざしを向けてくる。

 カタキもなにも、あんた勝手に自滅してるだけだからな。元気そうだし。


 どうやら逃げ道はなくなったようだ。

 しかしダーツか……。

 しょうがない、ちょっと探してみるか。

 スキルストアを起動し検索。


『ダーツ』


 ―――――――――――――――――――――

 

 スキル名 俺様がダーツの神だZE☆

 作成者  (未入力)

 

 概要

 神ダーツでかわい子ちゃんのハートを射止めちゃおう!

 ズッキューン!

 


 1000GP

 

 アクティブスキル

 クールタイム10秒

 

 ―――――――――――――――――――――


 こんなのしかなかった。

 ふざけた名前だが、おおかた間違えてスキル名に作成者を入れたんだろう。

 これだけでも十分ウザさが伝わってくるのはある種の才能だ。

 

 それにアクティブスキルってことは、技能系ではなくいちいち発動させるタイプだ。

 本当にダーツを投げる時にしか役にたたなそう。

 

 こんなアホそうな奴にGPを落としたくないが……背に腹はかえられない。


「おおっと、なんかのおまじないかぁ!? こいつぁ期待大!」


 おまじないではねえよ。

 ウィンドウの操作で不審な手の動きをしていることは否定しないけど。


 スキルを落として、発動。

 するとウィンドウに文字が表示された。


『ダーツを手に持って構えてちょ』


 この口調腹立つわ。

 

 渡された矢を手に持つ。

 棒状の木にそのまま針が差してあるだけの、簡素なつくりだ。

 それっぽく構えてから、改めてスキル発動。 


『的を入れてくんろ』


 画面の中に捉えろということらしい。

 スマホのままだったら、片手がふさがるしこの操作かなりタルいな。

 

 的を正面にして体の向きを変える。

 結構遠い。一般的なダーツよりはるかに距離がある。

 

『んじゃダーツを当てたい位置に、エッチ、スケッチ、ワンタッチ!』


 このスキル作った奴絶対おっさんだろ。

 俺はこれが終わったらこのスキルは消すと決心した。


 狙うのはもちろん的の中心。

 画面にズームアップされた的の真ん中をタッチする。

 周りからは、かなり奇妙な動きをしているように見えるだろうな。

 

「……む」


 するとひじから先をかすかに前後させるように、手が勝手に動き出す。

 自分の腕だけど自分のじゃないような不思議な感覚に、思わず声が漏れる。

 少し気持ち悪い。


 本当にこのスキル、大丈夫なんだろうな……。

 そう疑問が頭をよぎった瞬間、前に振りだした手の中から矢が放たれた。

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