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異世界転生の手引き


 気がつくと俺は、見覚えのないどこぞの森の中に立っていた。

 薄汚いスニーカーで、ぼこぼこの地面を踏みしめている。

 

 どうやら本当に異世界にやってきてしまったようだ。

 着の身着のまま、持ち物といえば本当にスマホぐらいしかない。 


 さて、どうするか……。

 あの幼女の言うとおりに頑張る気にもならんけど、とりあえず異世界転生の手引きとやらを入手してみるか。

 

 俺は神スキルストアを起動して、検索をする。

 するとすぐに目的のものが出てきた。


 ―――――――――――――――――――――


 スキル名 異世界転生の手引き(アルムスタッド編)

 作成者 ぜんちぜんのーのかみムツノさま


 

 概要

 異世界転生のヒントと、

 わたしが担当するアルムスタッドの知識がマンサイのスキルなのであーる。

 なので絶対落とすのである。

 

 300GP


 シークレットスキル

 課金あり


 ―――――――――――――――――――――



 これもアイツが作ったやつじゃねえか。

 なーにが全知全能の神だ、幼女研究所じゃなかったのか?

 あれは紳士を釣るための別名義かなんかか。とんだ罠だな。


 しかし勝手に異世界送っといて自分で作ったスキルを買わせるとか、このマッチポンプ感はどうにかならんのか。

 とはいえ右も左もわからんし、落とすしかない。


 結局300GP支払って購入する。

 すると、スマホのホーム画面の神スキルストアの横に、異世界転生の手引き(アルムスタッド編)というアイコンが表示された。

 タップして起動。

 新しいウィンドウが開き、ムダにポップなフォントで文字が表示される。


 ―――――――――――――――――――――


 異性界転生の手引き(アルムスタッド編)

 

 ここを押してスタート


 ――――――――――――――――――――― 


 いきなり誤字とか……。

 異性界ってなんだよ。

 

 スタートを押すと、画面が切り替わり、真っ白な背景にちょろっと文字が表示された。


 ―――――――――――――――――――――

 

 まずは言語スキルを獲得するのだ。

 アルムスタッド 標準言語 で検索なのだ。



 次へ 要50GP

 

 ―――――――――――――――――――――

 

 ……は? なんだこれ。


 これが一ページ目。

 二行で終わった。凄まじい手抜き具合。

 

 しかもページをめくるたびにGPを要求するらしい。

 次に進みたければ、いちいちGPを払えと。

 これはきたない。さすが幼女きたない。


 ていうか言語が必要とか、そんなもん言われんでもわかっとるわ。

 異世界転生もののお約束だろう。

 まさかこんな調子で続くんじゃないだろうな……。

 

 しぶしぶスキルストアに戻って、アルムスタッド 標準言語 で検索。

 スキルはすぐに見つかった。

 というか一つしか引っかからなかった。

 

 ―――――――――――――――――――――


 スキル名 アルムスタッド標準言語

 作成者 ぜんちぜんのーのかみムツノさま


 概要

 アルムスタッドの標準言語を身につけることができるのだ。

 やっつけで作ったがだいたい合ってるとおもう。


 500GP


 シークレットスキル


 ―――――――――――――――――――――


 またお前か。

 

 どうもうまく乗せられている気がするが、言葉がわからないのはどうしようもないので入手する。

 ラーニングが終わると、スキルは勝手に発動状態になったようだ。

 だが実際現地人と会ってみないと、効果のほどがどうなのかわからない。


 辺りを見回すが、ひたすら木とか草ばかりで人の影は全く見当たらない。

 半分お約束とはいえ、なにもこんな森の中からスタートしなくてもいいのに。


 生き返ったせいか、急に腹が減ってきた。

 周りを見た感じ、食えそうなものなんてなさそう。

 それになんか体が重いし、微妙に暑いし。

 さらに森林特有の緑臭さが鼻をつく。

 

 やっぱこれだったらあの天国? にいたほうがよかったなあ。

 あの幼女と入れ替わりで、俺があそこに住みたい。

 超ヌルそうなニート生活してそうだったし……。

 

 しかし神か……あんなんでいいなら、俺も神になりたいなあ。 

 これまでやりたいこともなりたいものもなかった俺にしては、珍しくしたいことが見つかった。

 

 したいことねえ……。

 ふと思い立ち、半分ノリでスキルを検索してみると……。


『神 なる方法』


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