魔法の指輪
すいません、後半部分を丸々変更したので投稿しなおします。
前の展開はもうちょっと先にします。
「やったねトウジ! 魔族を追い払って聖剣も手に入れたし、これで依頼達成だね!」
レナが笑顔でぐっと握りこぶしを作る。
なんやかんやでなんとかなったな。
相手がバカだったために多少救われた感はあるが。
「それにしても、なんでトウジって聖剣を装備できたの? ジョブは無職のはずなのに……」
「ああそれは、これが神スキルってやつの効果だよ」
「へえ~、それがそうなんだ……。よくわからないけどすごいね。だって聖剣を装備できる人なんて、エデンティラ、ううん、世界でもほんの一握りなんだよ?」
へえ、そんなに少ないんだ、と今度はこっちが感心する。
本来なら、勇者だとか神聖騎士でないと装備できないらしいからな。
どうやったらなれるのか知らんけど、勇者っていうジョブがあるのもちょっと驚きだ。
「ところでレナは大丈夫? なんか色々言われてたけど」
「え? 私? 私は大丈夫、ぜんぜん大丈夫から気にしないで」
聖剣女……とかなんとか、騒がれていたが。
レナも聖剣と同じように、聖属性的な力を持っているということなのだろうか?
だが例によってそのあたり、レナはあまり突っ込まれたくないようだ。
話をそらすようにして、すぐに話題を変えてきた。
「あ、あーっと、その、それって、なんだったの?」
興味津々に俺の手元を覗き込んでくる。
アムリルからもらった指輪だ。
ぜひお納めくださいと押し付けられたのはいいが……。
「指輪みたいだけど、どういう効果があるんだろうな……」
まさか呪いのアイテムとかじゃないだろうな。
とりあえず鑑定してみるか。
―――――――――――――――――――――
叡智の紅玉
種別 指輪
ランク ???(鑑定レベル不足)
MAXMP+20%
MP自動回復(大)
???
―――――――――――――――――――――
?が出てきてしまった。
鑑定レベルが低くて判別できないのか。
だけどこれは普通にレアアイテムっぽい。
試しに指にはめてみると、わっかの部分が勝手にすぼまってジャストサイズになった。
一瞬驚いたが、引っ張ると指輪は普通に抜けた。
「キレイだね~。いいなぁ~」
レナがじーっと指輪に視線を注ぐ。
やっぱり女の子ってこういうの好きなのかね。
俺が身につけたところで元からMP0だし、あんまり意味がないんだよな。
それにこんな指輪してたら、キザ男みたいでなんか嫌だし。
「これ、レナにあげるよ」
「えっ?」
はっと目を丸くして固まるレナ。
まさかもらえると思ってなかったのだろう。
俺ってそんなケチに見えるかねぇ。
まあ確かに、女の子にプレゼントなんて、生まれてこの方したことないけど。
おもむろに指輪を差し出すが、レナは動揺しているのか視線を泳がせるばかりで、なかなか受け取ろうとしない。
「え、ええっと、まだ知り合ったばっかりだし、さすがにちょっと、それは早いかなって……」
「あれ、別にいらなかった?」
「う、ううん、もらう! 受け取ります!」
レナは大げさなしぐさで指輪を手に取った。
そして改めて顔の前で指輪を透かし見るようにした後、ぱぁっと笑顔を輝かせる。
「ありがとうトウジ! 私すっごくうれしい!」
「そりゃよかった」
「うん!」
クク……。
時代はMPよりもGPなんだよ。
レナよ、せいぜい俺に感謝するがいい。
「わぁ~、うれしいなぁ~」
とまあそんな打算もちょっとはあったけど、これほどまでに喜んでくれているのを見ると、素直にこっちもうれしくなってくる。
やっぱりあげてよかったな。
そういえばGPの収支はどうなったかとウィンドウを開くと、ほっぺたにかすかに柔らかい感触がした。
えっ、今のって……。
一瞬硬直した後振り向くと、すぐ近くでレナが恥ずかしそうにはにかんでみせた。
そして照れ隠しをするように、腕を絡めてくる。
「えへへ」
……ヤバイ可愛い。これはにやにやが止まらん。
もう十分満足だわ。GPなんていらんわ。
それにしてもレナとのフラグがガン立ちしてて困ってしまうな。
こりゃあ今日にでも、いけるとこまでいけるんじゃないかとすら思うね。
とまあそんな感じにいちゃつきながら、俺たちはエデンの町まで戻ってきた。
もう陽が落ちて、あたりは徐々に薄暗くなりつつある。
さてクエストの報告に行くか、というところで、ふと疑問が浮かぶ。
「ギルドってまだやってんのかな?」
「うーんわかんない。どっちみち今の時間は混んでるかもね」
たしかに、今日の成果を報告する人が殺到しそうではある。
にしても腹減ったな。
食い物はクエストを受けて森に出かける前に、道端の露天で謎の具の入った中華まんのようなものを口にしたきりだ。
ギルドは町のほぼど真ん中に位置しているため、入り口からは少し距離がある。
今から行ったとして、そこでもまた空腹のまま待たされるのはちょっとなあ。
「お腹減らない?」
「うん、もうペコペコ」
「とりあえずメシにしよう。報告は明日でいいか」
レナも同じ考えだったのだろう、異論を挟むことなくうなづいた。
そのまま町に入ってすぐの大きな宿へ入り、一度部屋に戻る。
レナの鎧なんかもそのまま置きっぱなしで、チェックアウトはしていない。
後で本当に料金を払えるのかどうか知らんが、メシは朝夜とついてくるので、それ目当てで戻ってきたのだが。
「う~ん……。この剣どうすっかな。部屋に置いていっても大丈夫かな?」
「大丈夫じゃない?」
あっけらかんと返されるが、レナに言われると逆に不安になる。
迷った末、結局持っていくことにした。
剣全体に適当にぐるぐると布を巻いて、紐をつるして腰に下げる。
こうしておけば、これがまさか聖剣だと誰も思うまい。
「さて、食堂に行くか」
「あ、これ……」
レナが腰をかがめて、紙切れを拾い上げた。
ドア下の隙間に挟まるようにして、落ちていたようだ。
レナが広げた紙を横からのぞきこんでみると、
「本日、まんぶく亭にて毎月恒例のエデンターキーパーティ開催! トマリギ『大樹』以上のお部屋をご利用の方への特別無料招待券」
との文字が。
トマリギはこの宿の名前だ。
「パーティだって! けどまんぶく亭? って?」
「ああ、たしか向かいのでかい酒場だっけか。これ持ってけば、無料で参加できるっぽいな」
「へえ~。エデンターキーってどんなのだろうね? 私行ってみたい! ねえ、行こうよ行こうよ!」
レナがはしゃぎながらせかしてくる。
正直言うと歩きどうしで疲れたから、飯ぐらいゆっくり静かに食いたかったけど。
まあせっかくだから行ってみるか。




