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神スキルストアで楽々異世界ニート生活 ?  作者: 荒三水
一章

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聖剣装備

「くくく……このアムリル様の邪魔をしたこと、冥土の土産に後悔させてやろう」


 アムリルというチビ魔族はいまいち意味不明な決め台詞を吐くと、ぱっと腕を振りあげた。

 その手に、徐々に黒い光の炎が集まっていく。

  

 魔法でも使うつもりだろうか。

 すかさず対抗するように、レナが俺に剣を渡してきた。


「トウジ、はい!」

「え、俺?」

「だって私、今は装備できないもの」

「いやいや装備してるじゃん!」

「ううん、これは持ってるだけだから」


 意味がわからん。

 なにが違うんだ?

 

 まあ、レナに任せてがんばえーするのも確かにちょっとかっこ悪いか。

 どうやらこの聖剣、魔族には効果てきめんらしいし。

 

 俺は聖剣を構えて、魔族をおどかしてみる。

 

「おらどうだ、聖剣だぞ」

「ひゃっひゃ、コイツバカでー!! そんなことしたって全然ビビらんぞ、装備できてないくせに!」


 だから装備するってなんだよ。

 どいつもこいつもメタい発言しやがって。

 

 アムリルは口では強がっているが、若干顔をしかめてやや及び腰になった。

 よほどこの剣に触りたくないようだ。


 すると後ろからやってきた男の魔族が、耳打ちをするようにアムリルにささやく。

 

「アムリル様。私によい考えがあります。その聖剣、そのままそのニンゲンに持たせて、運ばせていくというのはどうでしょう」

「……む? そーだニンゲン、おまえは荷物運びじゃ! 殺されたくなかったら、そのまま剣を持ってついてこい! いやーこれで労せずして聖剣を運べる。我ながら名案じゃ!」

「えっ、今のは私の……」

「なんじゃ? なんか文句あるか?」


 手柄を横取りしていくスタイル。

 しかしこのちびっこい方が偉そうっていうのもよくわからん。


 アムリルは手下を黙らせると、やや紫がかった黒目を見開いて、改めて俺の顔をまじまじと眺めてきた。

  

「ほう、お前……黒髪に黒目とは、ニンゲンにしては珍しい。よし、無事、魔族領まで聖剣を持ち帰れたら、お前をわらわの奴隷にしてやろう! 気高き我ら魔族に従えること、光栄に思うがよい、うひゃひゃひゃ!」

「それはよいですね、ちょうど、厠の掃除係が足りなかったところですし。クックック……」


 何か話が変な方向へ進んでいる。

 エロエロでナイスバディな美人のお姉さん魔族の奴隷だったら考えなくもないが、こんなクソガキの奴隷なぞまっぴらご免だ。

 

 とりあえず十年後出直して来い、と返そうとすると、後ろからいきなりレナが声を張り上げた。


「ダメ! トウジは私のなんだから! 私が先に目をつけたんだよ!」


 えっ、俺っていつの間にかレナの所有物になってる?

 にしても目をつけたとか、他に言い方なかったんですかねえ……。


「なんじゃこの小娘は。ムダにでかい乳しよってからに。今はわらわのような、小ぶりな美乳こそが流行なのだぞ。のう、マシューよ」

「え、ええ……」

「ん? 返事が小さいぞ?」

「はい、全くその通りでございます」


 今ひどいパワハラとセクハラを見た。

 レナが「そうなの?」と言わんばかりに視線を送ってくるが、いや知らんがな。

  

「いやーしかしニンゲンはアホじゃのー、まさか聖剣をこんなところに放り出すとは。これさえ奪ってしまえば、エデンティラが魔族の手に落ちるのも時間の問題じゃな。ふははは!」

「それに関しては全く同意見です。ただでさえ聖属性の加護を持つエデンティラは厄介だったところですし」


 そして二人揃って高笑いを始める。

 腹立つわー。特にあのガキの頭悪そうな顔。

 

 さてどうしたもんかね。


 イズナはいつの間にかどこかに逃げやがったし、レナはなにか期待するようなまなざしで、じっと俺を見ている。


 もちろんこのまま荷物持ちとして、魔族のお供になるつもりはない。

 

 なんだかよくわからんけど、要するに聖剣を装備できればいいわけだよな。

 

 俺はすっかり悦に入っている魔族たちを尻目に、『聖剣 装備』でスキルストアを探す。


 ―――――――――――――――――――――

 

 スキル名 聖剣装備

 作成者  ぶきやぼうぐはそうびしないといみがないぞ神

 

 

 概要

 ユニークジョブ「神聖騎士」「勇者」などが装備可能な

 剣カテゴリー5の武器を装備できるぞ。


 ぶきやぼうぐは持ってるだけじゃあ、だめだぞ。

 

 12000GP

 

 パッシブスキル


 ―――――――――――――――――――――

 

 なんかあった。


 ちと高いが、こうなったらもう落とすしかないか。

 他にパっと見て有用そうなスキルもなかったし。

 

 スキルを落としてラーニング。

 

 するとそのとたん、手に伝わる剣の感覚が、妙に温かくなる。

 と同時に刀身が、カっと光りだした。

  

「む、むぅっ? なんじゃこの光……」

「剣が……? おいニンゲン、貴様なにをした? ちょっと見せてみろ」


 男の魔族が剣に手を伸ばしてきた。

 見せろと言うので、そのまま剣を前に突き出してみた。

 


 サクッ。



「ぎ、ぎいいいやああぁっ!!??」


 聖剣が魔族の肩に刺さった。

 手ごたえを感じさせないこの切れ味。

 奥さん、一家にお一つどうですか。


「あ、失礼。ちょっと手が滑ったみたいで」

「あぎゃああ!! ぬ、抜いてぇええっ!!」


 剣をずぽっと引き抜くと、魔族は肩を押さえながら、声にならない声を上げて倒れこんだ。

 

「お、おい、どうしたマシュー!! ま、まさかこいつ、聖剣を装備しているじゃとっ!? そんなバカな!」

「あれ、お宅もこの剣見ます?」

「ひ、ひぃぃいいっ、よ、寄るな寄るなぁっ!!」

  

 アムリルは鼻をつまみながら、あたふたと手足をばたつかせる。

 さんざんバカ笑いしていた魔族たちの声が、いきなり悲鳴に変わった。

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