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神スキルストアで楽々異世界ニート生活 ?  作者: 荒三水
一章

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26/87

魔族


 先に進むと、森の中に少し開かれた場所が見えてきた。

 それと同時に、何者かの話し声と気配がする。


 俺たちは息をひそめて、生い茂る木々の隙間から、広場をのぞき込む。

 するとそこには、大小二つの人影があった。

 

 やや露出の高い、黒い衣をまとった小さい女の子と、タキシードのような正装に身を包んだ、長身のやせた男。

 そいつらがただの人間でないことは、一目でわかった。


 少女のほうは、銀色の長髪に、頭から突き出た二本の小さな角と、背中から生えた小ぶりの黒い羽。

 男はやたら血色の悪い顔に、不気味に光る赤い目、そしてこちらも羽を生やしている。


 その二人が、地面に無造作に転がった、一振りの剣をまじまじと眺めている。

 なるほど、あれが魔族か。


「これがウワサに聞く聖剣……うわくっさ、くっさいの~」


 しきりに手であおぎながら、ちびっ子魔族が鼻をつまんでしかめ面をしている。

 どうやらあれが聖剣で間違いないようだが……臭いのか?

 

 特にこれといった匂いはしない。

 こっそりレナに尋ねる。


「……どういうこと? なんか匂う?」

「聖剣は魔族にとっては、とっても嫌なにおいがするらしいの」

「へえ……。臭い聖剣とかなんか嫌だな」


 魔族たちは聖剣にばかり気を取られていて、こちらに気づく気配はない。


 さてどうすっかな。

 なんかやたら強いらしいし、一度確認してみるか。


 俺は丸安印の魔物鑑定をセットし、発動する。

 今度はわざわざスマホを向けなくても、目の前に大きなウィンドウがあるのでかなり楽だった。


 そのまま小さい女の魔族にターゲットする。

 

 ―――――――――――――――――――――


 ?????


 レベル??

 HP ????? 

 MP 9999999/9999999

 

 ―――――――――――――――――――――


 なんだよこれ、ろくに見えないじゃないか。 

 相手は魔物じゃないってことかな。

 それかこのスキルじゃ、鑑定することができないってことなのか。


 しかしMPがよくあるチート小説の主人公みたくなってるがバグか?

 これが本当だとしたら、見かけによらず相当ヤバイ相手ということになるな。

 

 まあそれがわかっただけでも十分か。

 ここらでゴブリン殺しならぬ、魔族殺し的な神スキルを探して、奇襲をかけるという手もある。

 なんにせよ、このまま考えなしに出て行くのは危険だ。


『魔族 倒す』


 とりあえず検索をかけてみるが、どうも効果がはっきりしない物が多い。


 また中二っぽい名前の技が出てきたが、もうエターナルフォースブリザー度はマジでカンベンだからな……。

 

 ウィンドウで検索をかけながら、ひとまず相手の出方を見守る。


「アムリル様。邪魔なニンゲンどもは追い払いましたし、さっそく聖剣を持ち帰りましょう! しかしこの剣、なんと禍々しい……」


 ノッポの魔族が、腰をかがめて聖剣の柄に腕を伸ばす。

 だがぐっと手を握ったとたん、接触部分からじゅうううっと肉が焼けるような音がした。


「あちゃーっ!!」

「バカモノ! 聖剣を素手で触るアホがおるか!」


 慌てて剣から手を離す魔族。

 手からドライアイスのように、シュワシュワと煙が出ている。


「ひーっ、ひー……、ひどい目に合った……。ですがアムリル様、まともに触れないとなると、どうやって持ち帰るんで?」

「ふっ、ぬかりはないわ」

 

 アムリルと呼ばれたチビ魔族は、ふところから、手袋のようなものを取り出した。


「これぞマジックアイテム、聖剣づかみじゃ。これがあれば、魔族でもラクラク聖剣を触ることができるのじゃ!」

「おおっ、さすがアムリル様!」


 ただの百均で売ってそうな鍋つかみにしか見えない。

 チビ魔族は鍋つかみを手に装着すると、おそるおそる聖剣に腕を伸ばし、勢いよく持ち上げた。


「しゃーっ、聖剣獲ったどーーー!」

「いよぉっ、魔界一!」

 

 うるさい。

 どんなテンションだよこいつら。

 強そうなのにやたらバカっぽい。

 

「ではさっそく、持ち帰りましょうか!」

「うむ。これで父上も、わらわの小遣いをあげざるを得ないじゃろ!」


 聖剣を入手した魔族たちは、ホクホク顔でこの場を立ち去ろうとする。

 するとずっとその一部始終を眺めていたレナが、くいくいと俺の腕を引いてくる。


「まずいよトウジ! このまま聖剣を魔族に奪われたら……」

「うーん……つってもあいつら強そうだしなぁ。髪と服をチリチリにされたらたまらんし」


 手持ちのGPじゃ、これといったスキルが見当たらない。

 それっぽいのはあるが、一撃で倒しきれなかったら終わるし。


「だいじょうぶ、聖剣さえあればきっと……」

「いやだから、それをどうやって取り返すのかって言ってるのに……」

「あ、ほら、取り返したよ」

「は?」


 一度ウィンドウからレナのほうに目線を移すと、レナの手元にはなぜか聖剣があった。

 俺が驚くより先に、向こうからも悲鳴が聞こえてくる。


「あぎゃああ!? 聖剣が消えたぁぁああ!?」

「なんとぉおおお!?」


 うるっさい。

 

 しかし一体なにが……?

 ふと視線を感じて、振り返る。

 

 すると、いつの間に現れたのか、すぐ傍でイズナがドヤ顔でこちらを見上げていた。

 

 もしかして、こいつがかっぱらって来たのか?

 まさに目にも止まらぬ早業……。

 

「お前、実は有能だな……」

「にゃははは! そうだろそうだろー! もっとほめろほめろー!」

「あっ、バカ……」


 いきなりイズナがバシバシと俺の肩を叩きながら、バカでかい声で笑いだした。

 

 当然、すぐに魔族たちがこちらに気づく。


「ぬぅうう! そこなニンゲン! お前らか、聖剣をひったくったのは!」


 見つかってしまった。

 ちびっ子魔族がえらい剣幕で草をかき分け、こちらにやってくる。


 一方下手人であるイズナは、身を縮こまらせて素早く俺の背後に隠れた。

 ……おいお前。

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