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幼女の服が透けちゃいます><


「……おおっ!?」


 見える。

 見えるぞ。

 私にも幼女が見える。

 服が透けて、絵柄のついたパンツが……。

 

「ぶっ、くまさんパンツ……」

「……む?」


 ムツノがぴくっと眉をひそめる。

 ……しまった、気づかれたか? 

 思わず吹きだした口元を押さえる。


 このダウナー系幼女は、常にジト目なので思考がいまいち読めない。


 これは通報か? 通報なのか? 


 びくびくしていると、ムツノはにたりと不敵な笑みを浮かべた。


「くっくっく……。ダウンロードありがとうございます」

「え??」

「ふっ、まったくの予想通り。なにをかくそう、そのスキルはわたしが作ったのだ。おまえのGPは、今わたしのふところに入った。一攫千金めざして、私もせっせとスキルを作っているのだ。たまったポイントで、次はゴマゾンでFPS用のヘッドホンを買うのだ」


 うわ、ハメられた。

 なんかよくわからんがハメられた感がすごい。


 スキルの効果時間が終わったのか、あっという間に服は透けなくなった。


 にしても、どうして俺がこんなゲスいスキルを検索すると……? 

 

「ちょ、ちょっと待て、これあんたが作ったって?」

「いやー釣れた釣れた。やはりわたしの人を見る目はスバラシイ」

「こっ、これは誤解だ、陰謀だ。というか、服は全部透けなかったぞ。詐欺だ、詐欺スキルだ!」

「プレミアム版のご利用をおまちしております」


 プレミアム版?

 もう一度スマホの画面で、スキルの詳細を確認する。



 プレミアム版(10000GPの課金)ではさらに透けます。

 入手はコチラ→



 ……なんだこれ。

 どうやらナゾの課金が必要らしいが……。

 

「このGPって?」

「天界や神スキルストアでつかえるポイント。ゴードルポイント、通称GP」

「ゴードル? 俺アッ○ル派なんだけど」

「知るか」

「ていうか俺のGP、残り420ってなってるけど、このポイントって、どうなってんの?」

「GPは現世でよく働き、善行、すなわち徳を積んだ人間ほど、初期ポイントが多くもらえる。おまえの初期GPは920だ」

「は? 今ので半分以上減ってるじゃねーか!」

「おまえの初期ポイントはビックリするぐらい低かったのだ」


 ……それは何か? 

 

 俺の半生で積んだ徳では、せいぜい幼女のパンツをちら見するぐらいが関の山だっていうのか?


 たまに風呂掃除とか、ゴミ捨てとか行ったりしてたんだけど。


「安心しろ。これから異世界ではたらいて善行をつめば、どんどんポイントが入って、いろいろスキルを落とせるようになるのだ」

「えー、なんだよそれ。もう普通に現地人がドン引きするようなチートくれよ」

「それはムリだ。最近のチートはもっぱら神スキルストアの利用権を与えるだけ、ということに取り決めで決まったのだ。転生者にただでチートをやると、欲望のおもむくままに好き勝手やりだすのが多いからと、わたしの上の上ぐらいのえらい神が考えたのだ。チートしたければせいぜい、はたらいて善行に励みたまえ」


 なんだかややこしいことになってるなぁ。

 

 異世界で楽々チートできるのかと思ったらそうでもなさそうだし。

 

 ゲームとかもできないだろうし、また底辺労働させられるぐらいならこのまま死んでもいいかなぁ。

 

「じゃあ、やっぱいいっす」

「は?」

「なんかめんどくさそうだからいいっす。もうこのまま逝かせてください」

「えっ、こ、困る。それは困るぞ」


 ふんぞり返っていたムツノが、急にうろたえだした。


「ここに呼ぶために、もうおまえに神スキルを使ってしまったのだ。大枚はたいて買った、神専用の死人を異世界転生させるスキルだ。このスキルを使えば、おまえがこれから異世界で獲得するGPの三割が、わたしのふところに入るのだ。だから行くのだ」


「なんじゃそりゃ!? 搾取する気満点じゃねえか! 余計行きたくなくなってきた!」

「ま、待て待て! おまえがこれから行くのは、いわゆるゲーム的なファンタジー世界なのだぞ? ゲームは好きだろう? 詳しいだろう? おまえに見込みがあるといったのは、そういう意味もこめてなのだ」

「って言ってもチートがないならヤダ」

「ば、バカをいえ、その神スキルストアがつかえるだけでも、十分過ぎるほどチートなのだぞ」

「じゃあそのGPもっとくれよ。残り420ポイントって、少なすぎる。ろくに使えないじゃん」

「う、うむむ……。まあ、すぐに死なれても困るからな……では特別に、今10000ポイント、わけてやるから。ほら、これでいいだろう?」


 ムツノはふところから取り出したスマホらしき端末を、ポチポチと操作した。


 すると、俺のスマホに表示されているGPの数値が増えた。10420ポイント。

 

「たったの10000か~。ちょっとこれだとなぁ~すぐ死んじゃうかもなぁ~」

「ぐ、ぐぬぬ……。な、ならば、もう10000で手を打とう」


 プルプルと手を震わせながら、ムツノは再び端末をいじくる。

 これで20420ポイント。

 

「20420か~、ちょっとキリが悪いような気がするなぁ」

「こっ、これ以上はダメだダメだ、わたしだって必死こいてGPを貯めてるのだ。ゴマゾンでほしいものが腐るほどあるのだ」


 GPで物が買えるのか? 

 天界のア○ゾン的なものか。

 

 よく見るとこの部屋、でかいテレビにゲーム機に、パソコンに、冷蔵庫に、エアコン、空気洗浄機と、快適なニート生活に必要なものが一通りそろっている。


 これ以上なにが欲しいのかというぐらいに、俺の自宅のニート部屋よりもはるかに充実してやがるぞ。


 神って本当に働いてるのだろうか。

 食っちゃ寝してゲームやってるだけじゃないのか?

 きっとそうに違いない。


 なぜならこの幼女、なんとなく俺と同類の匂いがする。


 このいつでも眠れるような格好をしている所とか、やたらと物がごちゃごちゃしているところとか。


「まったく、そんな物欲丸出しでなにが神だよ。このニート幼女が」

「うっ、うるさいだまれ! おまえだけには言われたくないぞ!」


 いまので確信した。

 このニートという単語にやたら過敏な反応を見せる所……絶対クロだわ。


「と、とにかくだ。おまえが行くのはアルムスタッドという世界なのだ。わたしは親切だから、検索をアルムスタッドのローカル検索にしておいてやったぞ。向こうについたら、まずは異世界転生の手引き(アルムスタッド編)というスキルを入手するといい。わたしが投資した分はしっかり働くのだぞ」


 一方的にそれだけ言うと、ムツノは再び手元の機械をいじくる。


 すると突然、目の前の空間にビシっと亀裂が入った。


 そしてぐわっと広がった黒い裂け目の中に、俺の体は吸い込まれていった。

 

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