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お風呂でショタっ子

「クソがっ」


 俺は肩までお湯につかりながら、一人ブツブツと悪態をついていた。


 異世界でもまともにこうしてお湯につかれるのはありがたい。

 岩で囲まれた、露天風呂っぽくなっているのも素晴らしい。

 

 が、しかし。


 こういうとき普通混浴だろうが!

 なにが悲しくて、男のケツが湯船を出入りするのを見なければならないのか。


 なのでスキルストアの検索欄に、『女風呂 のぞく』 

 などという単語が打ち込まれてしまうのもいたしかたない。


 ただ誤解しないで欲しいのは、あくまで検索するだけだ。

 興味本位でね。


 そもそもレナから感謝されて得たGPで、エロスキルを落とすということは、

 感謝してるならおっぱい揉ませろ、と言っているのと同じことだ。


 だから俺は、魔物を倒して得た9000GP内で探すことにした。

 これぞ紳士。


 さっき気づいたのだが、スキルは必要GPの指定で検索絞込みができる。

 これは地味に役に立つ。

 

 あまりGPを使いたくないときは上限を、逆に下限を設定すればゴミスキルは排除できる。

 

たぶん。

 

 というのは、必要GPが高いイコール強力、とも言い切れない部分があるからだ。


「ちっ、ろくなもんがない……」  


 エロ系は総じて要求GPが高い。

 9000程度では、一時的に湯気が消えるとかお湯が透き通って見えるとかそんなレベルだ。

 完全に足元見てやがる。


 業を煮やした俺は、絞込み上限を解除して再び検索をかけた。

 だいたい得たGPでなにしようと俺の勝手だろう常識的に考えて。


 ―――――――――――――――――――――

 

 スキル名 お風呂でショタっ子

 作成者  夢追い神ドリーマー

 

 概要

 女風呂に入っても、周りからはセーフな年齢に見えるようになります。

 ただし、人に体を触れる、もしくは触られると正体がバレます。

 

 60000GP


 アクティブスキル

 使用場所限定有

 

 ―――――――――――――――――――――


 そうそう、こういうの探してたんだよ。

 

 高いけど、夢あるなあ……。

 うわぁ頑張ろう。頑張って魔物倒そう。


 

 そんな調子で俺がさらなる夢いっぱいのスキルを検索していると、

 二人組の若い男がやってきて、すぐ近くに腰を沈めてきた。

 

「……あのエデンティラ王が、めっちゃ可愛がっているっていう?」

「そうそう。それがものっすごい美少女らしいんだわ」


 二人は話に夢中で俺の存在などどうでもいい様子。


 なんでこんな広いのに俺の近くに入ってくんだよ。

 ホモかこいつら。


 内心苛立ちながらも、無視してスキル探しに集中する。


「年齢的にも、そろそろプリンセスナイトを探す時期なんじゃねえか、っていうウワサでさ。けどずっと王宮で箱入りで育てられてきたから、街の人間は誰も見たことがないっていう」

「じゃあすれ違ってもわからねえってこと?」

「ま、そういうオチだ」


 うるさいなぁ。

 意識的に会話を聞き流すようにするが、どうも画面に集中できない。

 

 まるで夜のおかず探しを見られているようでなんとなく嫌だ。

 他人にはウィンドウは見えないとわかっていても、どうも落ち着かない。

 俺は一旦ウィンドウを閉じた。


「でも一応、俺らにもチャンスはあるわけだろ? そんな子のナイトなんかになれたらもう最高だな」

「や~どうかねえ。実際めんどくせえんじゃねえの? そういう子って」

「バッカお前、王女、美少女、箱入りってもう最強じゃん。清楚でおしとやかで、きっと手が触れたぐらいで真っ赤になっちゃうんだろうなぁ」

「いやそれは幻想抱きすぎだろ。きっつい性格してるかも知れないぜ? わがまま、自己中、男嫌い、それに女だらけで生活してきたってことは、そっちのケもあるかも知れんし。まったく、これだから処女厨はキモい」

「最後の一言余計だろオイ! なんだコラ、やんのか」

「ああ? 事実を言ったまでだろ?」


 ざばざばっとお湯が波立つ。

 何か不穏な空気になってきたので、とばっちりを食わないようこそこそと隅っこに移動する。

 やだやだ、血の気の多いこと多いこと。

 

 しかし、ふ~ん、箱入りの美少女王女サマねえ……。


 この世界の女性は、軒並み顔面レベルが高そうだ。

 ここに来るまでにちょっとすれ違っただけでも、なかなかに美人ぞろいだった。

 

 俺としてはレナだけでも正直お腹おっぱい……あ、いやお腹いっぱいだ。

 田舎の貴族の娘(予想では)ですらあれとなると、王女ってどんだけなんだ、という好奇心はある。

 まあ王とか王女とか、俺には縁のない話だろうけど。

 


 なにやら周りが騒がしくなってきたので、俺は早々に風呂から上がった。

 部屋から持ってきた、備え付けのローブに着替える。

 

 周りがバラエティに富んだ格好をしているので、元のTシャツGパンでもそれほど浮くことはなかった。

 無防備にケツポケットに入れたままだったスマホを確認すると、うんともすんとも反応しなくなっていた。

 

 落ちた衝撃で一気に寿命が来たのか、単純に電池が切れたのか。

 これで完全に、スキルの管理はマジックウィンドウ頼みになった。


 となると、親指を隠す、というウィンドウの起動条件が少し不安だな。

 あまり考えたくはないが、指とか手を切り落とされでもしたら、二度と起動できなくなる。

 

 条件を変更するか、もしくは別のスキルを探すか……。

 

 

 あれこれと考えをめぐらせながら、部屋に戻る。

 かなり早く風呂を上がってせいか、レナの姿はなかった。


 ちょうどいい、やっと落ち着いて一人になれたことだし、色々と確認しておくか。

 あまり役に立つとは思えないが、まずは一応……。

 

 俺はウィンドウを呼び出すと、異世界転生の手引きスキルを起動した。

 

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