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神スキルストアで楽々異世界ニート生活 ?  作者: 荒三水
一章

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12/87

ラクチン通貨製造

 レナが意気揚々と歩き出したので、てっきり隠れ家的な宿に案内していくれるのかと思いきや、

 町に入ってすぐの、やたら目立つギンギラの大きな建物に連れて行かれただけだった。


「……130アルムでは、案内できる部屋はありません」


 しかも金がなかった。

 宿代は私が出すから! 今日のお礼!

 と勇んで先陣を切ったまではいいが……。

  

「お、お金が足りない?」

「足りません」


 宿のフロントの男性に、呆れ顔で返されるレナ。

 小袋からじゃらじゃら、とカウンターにぶちまけた銅貨をつき返される。


「……あの、レナさん?」


 これはどういうことでしょうか? 

 後ろから声をかけると、レナはビクっと肩をすくめた。


「ち、ちょっと、足りなかったみたい」


 ちょっと、ねえ……。

 料金表を見ると、最低ランクの部屋でも300アルム、と書いてある。

 代わりに出してやろうにも俺は全くの無一文だった。


 しかし弱ったな。野宿は嫌だし……ここはスキルでどうにかならないかな。

 俺がウィンドウを開こうとした矢先、横からすっと手が伸びてきて、コインがカウンターの上に置かれた。


 手の元をたどると、先ほどのイズナという女忍者がドヤ顔でこちらを見上げていた。

 続けてイズナはレナにアイコンタクトを送ってうなずいてみせると、シャっと入り口から出て行った。

 やたらすばしっこい。


「ありがとうイズナ……。じゃ、これで――」 

「いや、これでも全然足りませんけど」


 よくよく見れば、銅貨が一枚増えただけだった。

 なにしに来たんだあいつ……。

 

 これじゃ大恥かいただけだ。

 なんだこいつら揃って文無しかよ、と言わんばかりに男の顔色が険しくなっていくと、

 焦ったレナが手招きをする。


「ち、ちょっと、こっちにいい? トウジはあそこの椅子に座って待ってて」

 

 レナは店番をカウンターから引っ張り出して、奥の通路へと消えていった。

 いきなり放置プレイをくらった俺は、言われたとおりに椅子に座り、スキルストアを開く。

 

 相当に使い勝手のよくなった画面。

 まあ、何もないところでしきりに手を動かしている様は、

 周りから見れば、奇妙に映るかもしれないが……。


 例によってダメもとで、検索。

 

『お金 楽々 入手』


 

 ―――――――――――――――――――――


 スキル名 ラクチン通貨製造

 作成者  不正の神アウトロウ

 

 概要

 95%ホンモノ! 脅威の再現率!

 スキル発動で、

 ランダムで一枚アルムスタッド通貨が排出されます!

 排出率は以下の通り。

 

 金貨  1% 

 軽金貨 4%

 銀貨  25%

 銅貨  70%

 


 5000GP


 アクティブスキル

 発動ごとに要500GP

 


 注意 通貨の偽造は重罪です。

    万が一牢にぶちこまれても当方は一切責任を負いません。

 

 ―――――――――――――――――――――


 いきなりダーティなのが出てきた。

 95%ホンモノって要するに偽物じゃねーかよ。

 これはやめたほうがいいな。

 

 そうこうしているうちに、レナが店番とともに戻ってきた。

 終始不機嫌顔だった男性は、すっかりニコニコになっていた。


「こちらがお部屋の鍵でございます。ごゆっくりどうぞ~」

 

 そしてこの態度の豹変ぶり……。

 一体なにがあったんだ?

 まさか体で払いますしたんじゃないだろうな。


 俺が訝しげな視線を送ると、レナは目を泳がせながら、腕を取ってきた。

 

「ど、どうしたのトウジ、は、早く行こっ?」


 あやしい……。

 

 

 

 この宿、相当大きな建物らしい。

 部屋は階段を上って、廊下をしばらく進んだ角部屋だった。

 俺は扉を開ける寸前で、ふと立ち止まる。


「え? レナも同じ部屋に泊まるの?」

「あれっ、なんか違った?」

「あ、いや、そっちがいいなら、いいんだけどさ……」


 まあお金もないわけだし、狭い部屋で男女同室になってしまってもしょうがない。

 万が一エロハプニングが起こってしまってもしょうがないな。

 

 だが俺の期待を裏切るかのように、部屋はムダに広かった。

 高そうな絨毯に、イスやテーブルなどの家具もいかにもお値打ち物といった感じ。

 ベッドもご丁寧に二つ。

 

 ……これ、かなりいい部屋なんじゃないか?

 

「これって……お金はどうしたわけ?」

「えっと、それは……あ、後払いにしてもらったから」


 後払いか……。

 金を用意するアテはあるってことか? 

 正真正銘の文無しってわけではないのか。

 

 にしても、レナって一体何者なんだろう。

 ここまで来て、まだわかっていないというのもすごい。

 

 この街は詳しいと言いながらも、

 やたらきょろきょろしていたり、金が足りなかったり、どうも不慣れな感じがするし。

 

 やっぱここらでいい加減、はっきりさせておこう。

 

「ところでさ、レナって、何してる人なの?」

「わ、私? 私はただの、ぼ、ボウケンシャですケド? ギルドで登録もしてあるし、ライセンスだって、ホラ」


 懐から取りだしたカード状のものを見せてきた。

 ちょうど俺が持っているスマホと同じぐらいの大きさだ。

 へえ、やっぱギルドとかもあるんだ。


「それ、ちょっと見せてよ」

「あっ、ダメっ!」


 手を伸ばすと、レナはさっ、とカードを隠してしまった。

 なんか個人情報的なアレで、他人には見せないものなのかね。

 

「あ、あぁ~、今日は疲れたなぁ~」

 

 レナがわざとらしく伸びをする。

 なんか思いっきり話を逸らそうとしてるな。


「あの、トウジ? これ、脱ぐの手伝ってくれる?」

「はい喜んで」


 いや、やっぱここらで一度、逸らしましょう。

 そうしましょう。


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