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神スキルストア


「ようこそ天界へ。ミシマトウジ。残念ながらおまえは死んだ」

 

 どうやら、というかやっぱり俺は死んだらしい。


 コンビニの夜勤中に、いきなり刃物を持った強盗が入ってきたので、僕アルバイトォォ! しようとしたら容赦なく刺された。


 今度こそはと一念発起してヒキニートを脱出した矢先にこれだ。

 社会の壁のなんと厚いことか。


「わたしはニホンのトーホクを担当している神ムツノなのである」


 俺がぼうぜんと立ちつくす前で、赤いハンテンを着た金髪碧眼幼女が、腕組みしながらこちらを見下ろしていた。


 ぼそぼそと平坦な口調で、自らを神などとのたまっている。


 見た目は神というかまるで天使のようなかわいらしさだが、野暮ったい格好の上にやたらえらそうな態度だ。


 しかし不思議な場所だ。

 座敷があって、コタツがあって、テレビがあって、一見普通の居間だ。


 かと思えば、一面だけ壁が抜けていて、辺りはどこまでも真っ白な空間が続く。


 まるでコントかなにかのセットのよう。

 俺はその外側の一段低いところに立って、畳の上でふんぞり返る幼女を見上げていた。

 

「……ええと、俺はなんでここに?」

「おまえ、死んだというに、おもいのほか冷静だな。ひまつぶしに下界の様子を見てたら、たまたま死んだから、呼んでみたのだ。生き返らせてやろうと思ってな」

 

 生き返らせる……? 

 もしやと思ったがこれは……転生フラグ?


 俺はこの状況をすぐに飲み込んでいた。


 ネットとつくものにはおよそ精通している俺は、もちろんネット小説なんかもたしなんでいるし、書いて小説サイトに投稿したことだってある。


「……なんで生き返らせてくれるんすかね?」

「すこしおまえのことを見ていて、まあまあ見込みがあると思ったからかな」


 見込み、ねえ……。

 なにをどう見ていたのか知らないが、俺の日常のどこを切り取っても、見られたらマズイ場面しかないわけだが。

 

 まあ現世にあまり未練がないという意味では都合がいいのかな。

 友達も皆無で、彼女いない暦イコール年齢の実家暮らし。


 家族とも折り合いがつかず、深夜のコンビニバイトとか、まさに底辺オブ底辺である。

 ヤケクソで僕アルバイトォォ! の一つもしたくなるってもんだ。


 かといって新卒で入った会社を早々に退社して、だらだらヒキニートとフリーターを繰り返したら、ろくな仕事につけない。

 

 かりに運よく就職できたとして、俺のスペックではサビ残パワハラ当たり前のブラックだった前職より格が落ちそうな気がする。


 そもそもが最低でも週五の八時間労働が長いよ、働きすぎだよ日本人。

 正社員とやらにしがみついて過労死するぐらいなら、俺は余裕でニートを選ぶね。


 俺がニートになったとたん、昔からの友達も疎遠になった。

 みんな見下されまいと必死で、なんか大変そうだな~といろいろどうでもよくなった。


 代わりにその頃サービスが始まったネトゲに大ハマリした、というのもあるが。

 まあ、もういいけどね、終わったことは。だって俺死んだみたいだし。


「転生か~。でもなぁ、赤ちゃんからやり直すのはめんどくさいなぁ」

「ふぅん、おまえみたいなのは胎児からやり直したほうがいいのに」


 ……なんだろう、このネットで即レスで論破された時のような既視感は。

 ひどい言われようだ。


 でも大丈夫。


 相手は幼女だし、いざとなったら強めにビンタすれば一気に逆転できるさ。

 

「だが残念ながらおまえはこのまま生き返る。そして他にわたしが担当している、今激アツのファンタジー世界に転生するのだ」

「ファンタジー世界? それってチート三食ハーレムつきで?」

「まああわてるな。その汚いケータイを見てみろ」

 

 俺はTシャツGパンという死ぬ直前の格好だった。


 その上にコンビニの制服を着ていたが見たくもないので、さっさと脱ぎ捨てる。


 携帯は、幸いいつでもバックレられるようにケツポケットに入れてあった。

 

 電源を入れてみて驚いた。

 無課金でセコセコ進めていたモンプロが消えている。

 というか入っていたアプリ全部消えてる。

 代わりに、見たことのないアイコンが一つだけ。


 神スキルストア日本語版。


「それ、立ち上げてみろ」


 言われるがままアイコンをタップして起動すると、検索窓と、新着おすすめスキル? の一覧が表示された。


 どこかで見たようなインターフェース。

 だがなにが違うような……。


「なんだこれ……?」

「それが神スキルストアだ。古今東西のあらゆる神々が作った、いろんなスキルが手に入るのだ」

「いろんなスキル?」

「そう。たとえば……いましてみたいことで検索してみろ」


 検索? 

 検索か……。

  

『二次ロリ エロ 画像』


 おっといけない。いつものクセで妙な単語を入力してしまった。

 うーん、今したいことか……。


『幼女 裸 見る』


 よしこれでいこう。

 検索。

 すると、赤文字で警告が出てきた。

 

『あなたは18歳以上ですか?』


 →はい いいえ

 

 すると、検索にひっかかったスキル一覧が表示される。

 ……なんじゃこりゃ?


 完全に悪ふざけのつもりだったが、驚いたことに『幼女の服が透けちゃいます><』とかいう完全アウトなスキルが一番上に表示された。


 マジか? マジなのか? 

 だがこのストレートな感じ、嫌いじゃないぜ。

 タップして詳細を開くと、下に画面をスクロールさせていく。


 ―――――――――――――――――――――


 スキル名 幼女の服が透けちゃいます>< Ver1.5

 作成者 幼女研究所

 

 概要

 幼女をさらに愛でるための紳士による紳士のためのスキル


 500GP

 

 アクティブスキル

 クールタイム30分

 プレミアム版有り

 

 対象 単体

 

 注意!

 このスキルは、決して幼女の裸をこっそりのぞき見るためのものではありません。


 ご理解いただけた方のみ、同意するを押してお進みください。


 同意する

 

 ―――――――――――――――――――――


 はいはい同意同意。

 堂々と見るからなんの問題もないな。

 

 俺はさっさと同意ボタンを押して先に進んだ。

 するとダウンロード中の文字が表示される。

 

「ダウンロード中になってるけど、これ待ってればいいの?」

「そう。それからスキルのラーニングが始まる。……なんのスキル落とした?」

「非常に紳士なスキルを落としました」


 バレないようにこっそりスマホを見る。

 ちょうどラーニング完了のポップアップが出てきていた。


 ―――――――――――――――――――――


 初回特典


 初回のみ、クールタイムなしで発動できます

 今すぐスキルをセットして発動しますか?


 ―――――――――――――――――――――


 色々出てきてよくわからないが、とにかくOKを連打。

 スキルを使用した。

この話はあくまでコメディになります。

GPなどの数値は断りなく変更することがあります。ご了承ください。

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