23話
最初で最後のダンジョン攻略なせいで、ちょっと説明文っぽくなってしまいました。
2月7日 一部描写が抜けていたため修正しました。
ダンジョン攻略は順調だ。
あのあと『深緑の草獣』、『合成獣』、『桜花の狂姫』という三体の中ボスと戦い、私のレベルは5、ミミルさんは12、鈴崎君は30上がったそう。
人間って、レベルが上がりやすいみたいだ。
人間といえば、『桜花の狂姫』って人型だったなぁ。体に桜の花びらを常に纏っていて、触れると大ダメージという迷惑能力だった。
あれかな。綺麗な薔薇にはトゲがあるとかいうやつかな。
名前に反して、凄く和服が似合う大和撫子だったし。
ハルナさんにも見習ってほしいおしとやかさだった。
カウンタータイプだったみたいで、あっちからは攻撃しないでずっとおとなしい笑みを浮かべてるだけだったし。
対してこっちは……
特大剣を背中に背負うハルナさんに目を向ける。
「今日の晩御飯何にしよっかなー♪」
……脳筋残念っ子。
「……アイナちゃん、なんか言った?」
「なにもいってません空耳です気にしないでください」
「? 何で棒読み?」
なんとか誤魔化せたことに、内心でホッとする。
脳筋残念っ子なのに、変なとこ鋭いなぁ。
因みに今、私たちはダンジョンの内のちょっとした平野に居た。周りには何もなく、敵も涌いてこない。
それは当たり前だ。何故なら……
「ここ、ホントに中ボス前なんですか?」
「うん。そだよ」
そう、ここはボス前のセーフゾーンなのだ。
証拠に、不自然などでかい扉が平野の中にポツンとある。あれが中ボスの扉なんだろう。
基本的にダンジョンの中ボス、または迷宮主前はセーフゾーンとなっていて、そこで道具整理などをする。
鬼畜な仕様のフォローのつもりなんだろうか。
「準備終わったら、声かけてね」
「僕は特にすることがないので」
「わ、私も……です」
「同じくです」
どうやら、皆やることが無いようだ。
普通のパーティでは付与魔術師が居て、武器防具、身体に『付与魔法』をしたり、『調薬師』なんかがポーションを補給したりするのだけど、このパーティには居ない。
メンバーを追加したら良いのだろうが、パーティにコミュ障が居たらそれもままならないのだ。
「ホントに良いのね? やっぱタンマ、とかないよね?」
「やめてください。決心が揺らぐんで。マジで」
「じゃあ、行くよ!」
そう言って、ハルナさんがは扉に触れる。
一瞬扉がまばゆい光を放つと共に、石臼を回したような音を発しながら扉が開き始めた。
「レッツゴゥ!」
その先には……
次話か、次話の次話でゲーム編は終わりです。