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11話

この投稿を最後に、しばらくお休みを頂きます。すいません!


ボス『鉄の騎士』が、たっぷり20秒程かけて無数の光の粒へと姿を変えた時、やっとアナウンス(この場合全プレイヤーに向けたもの)が流れた。



ユニークボス『鉄の騎士』は、ハルナ、アイナ、ユウキパーティによって討伐されました。



「本当、助かりました。ありがとうございました」

「気にしないの気にしないの」


いつの間にかパーティーになっているのは隅にどけよう。


『鉄の騎士』が消え、その場に残ったのは、ドロップ品である『刀』。地面に刺さった刀は、(つば)がなく、柄が黒い木でできている。どこか武骨な刀だった。


それが目に入り、ふと、謝らなくてはならないことがあるのを思い出す。


「あ、あの、ハルナさん。すいません…私、せっかく頂いた剣、無くしてしまって…」


剣が落ちていったマグマ溜まりに目を向ける。ああなってしまったら、もう取り戻せない。

タダで貰ったものだが、使い心地的に結構良い物だと思う。


そんなものを無くしてしまったとなれば、てっきり怒られるかと思ったのだが……


「別に良いよ?」


あっさり許してもらってしまった。


「あ、もしかしてタダであげたから責任感じちゃってる? それなら気にしなくて良いよ。あれただの在庫処分だしね」

「え?」


あれが在庫処分? あの剣、NPCの武器屋の一番高いのより凄い性能なんだけど。



改良ロングソード+3

攻撃力120


切れ味消耗無効



その一番高いのが攻撃力90で、特集効果無し。というのを考えると、初心者に持たせるにはやや過剰性能な気がするのは仕方がないと思う。


あの剣が『改良』で済んでいるのは、この際気にしないことにしよう。


「と、とりあえず、ありがとうございます」

「気にしなくて良いって言ってるのに……まぁ、どういたしまして!」


ハルナさんが満面の笑みで返してくる。

本当、笑顔が似合う人だ。


「でも、剣が無いと色々不便だよねぇ。PKも心配だし」

「剣なら、別に大丈夫ですよ。ちゃんと『身の丈』に合ったもの買うんで」

「うーん…でもねぇ………あっ」


まるで悪戯を思い付いたような、幼くともあくどい笑みに、ちょっぴり寒気を感じてしまう。


「じゃあ、『鉄の騎士』がドロップした、『(あれ)』あげようか? なんならフレンドわりび……」

「ちょっと待った」


地面に突き刺さっている刀を指差し、とんでもないことを言い出したハルナさんの話を慌て遮る。


「いらないの? あの武器、攻略組でも持ってるかわからないくらいのレア度なのに」

「それがいけないんですよ。攻略組でも持ってるかわからない武器を、初心者の私が持ってたらおかしいじゃないですか」

「いや、私たちが討伐したってバレてるんだから今更だよ」

「なら、ハルナさんの店に置くとか……」

「もう三本位あるし」

「…………」


負けた。


「はぁ、わかりました。ですが、またタダで頂くわけにはいきませんよ?」

「……」


私がそう言うと、ハルナさんはその形の良い顎に手をあて考え始める。


流石に、ボスドロップの武器を頂くわけにはいかない。

また同じような事があったときの保険と言われてはそれまでだが、それ以前にこれ以上借りを作りたくない。


少しして、ハルナさんが顔をあげた。浮かべるのは、優しげな微笑。


「やっぱ、要んない」

「え?」


疑問符を浮かべる私に対し、さも当然のように話すハルナさん。


「だって、お金あんまり必要ないし」

「いや、そう言うことじゃなくて……」

「借りを作りたくない?」

「っ!」


核心を突かれてしまい、あからさまに動揺してしまう。


「い、いや……」

「いいよ。なら、こうしよ」


先程とは打って変わった真剣な表情。


「お代は、君からの信用が欲しい」

「……」


私は、ハルナさんのその言葉に、返事を返すことが出来なかった。





次回、アイナの過去に触れる? かな?

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