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10話

年末に…間に合わなかっただとぉっ!


でもそんなの関係ねぇ!いってやらぁ!(キャラ崩壊)


皆様一年間お疲れ様でしたぁぁぁあ!(キャラ崩壊)

そして明けましておめでとうございまぁぁぁぁす!(キャラ崩壊)


これからもこの小説をよろしくおねがいしまぁぁぁぁぁぁすぅぅぅぅぅ!(キャラ大崩壊)

「これは、ないでしょ」


私が、突然の『鉄の騎士』の登場に冷や汗を流していると、視界の中に、警告が表示される。


『鉄の騎士』の討伐適正レベルに達していません。

逃げることをお薦めします。


そんなこと分かってる。レベル1が適正のボスモンスターなんて居るわけない。

というか、逃げようにも帰還アイテムを持ってないから逃げられない。


……結局、戦うしかないね。


そう結論付けた瞬間、もう待ちきれないといった様子で、『鉄の騎士』が剣で空を斬りながら迫ってきた。まるで台風の如く風を巻き込みながら剣が振るわれる。


それを間一髪避けた私の頬には、新たな汗が一筋、流れていた。


速い。あの図体だからといって、のろまな訳じゃない。


私は直ぐに反撃に出た。狙うは首元。あそこなら、きっと防御も薄い。


私の振るった剣が、『鉄の騎士』の首に吸い込まれていく。


が。


ガチンッ!


金属質の音と共に、あえなく弾かれてしまった。右手に強烈な痺れが走り、危うく剣を落としそうになる。


まさか、中身まで硬いの!?


もしそうなら、一体どうやって戦えば良いのか。

そうこう考えているうちに、『鉄の騎士』が今度は矢のような突きを放って来る。


それを体を無理矢理捻って避けると、本当に空気を斬ってしまったような、ピウッという音が聞こえた。


幾らステータスが秀でていても、防具は初期装備未強化。この闇竜人も、決して打たれ強い訳じゃない。


一撃でももらった瞬間、終わりだ。


それでも『鉄の騎士』の、洗練された、それでいて殺気の込められた剣技を避け、受けていると、本当に、本当に少しだが慣れてきた。



防御スキル 『回避術』を習得しました。



なるほど、これのお陰か。これで何とか考える余裕が……


……一瞬、騎士の紅い目が怪しく光を増した気がした。

動こうとする私の意思に反し、体が硬直してしまう。


瞬間、正に嵐のような連撃が私を襲った。

上段、切り上げ、凪ぎ払いと、流れるような、しかし一つ一つが絶大な攻撃力を持つ攻撃に、私は逃げ回ることしかできない。


しかし、そんなことが長く続く訳もなく、遂に避けきれずに剣で受けてしまう。


「あっ」


強烈な衝撃に耐えられず、私の手から剣が離れてしまった。剣は、くるくると回りながら、近くのマグマ溜まりに落ちていった。


剣を無くし、衝撃で硬直してしまった私の隙を、『鉄の騎士』が見逃す訳もなく、紅い目を細めながら攻撃の予備動作に入る。


間に合わないとは思いつつも、その場から飛び退くと、一瞬遅れて鎌鼬(かまいたち)のような斬撃が、私の胴を浅く切り裂いた。


「いづっっ!」


余りの痛みに、思わず声が漏れる。頭上のHPゲージを確認すると、かすっただけだというのに、3割近くも減っていた。


勝てるわけがない。

防御は完璧、攻撃も隙がない上に高威力。

そうでなくとも、ゲームを始めて半日の私に、本当のではないとはいえボスを倒すなど無理な話だ。


いい加減諦めて、死に戻ろうかと思った時、どこかから声が聞こえてきた。


声がする方向に目を向けると、そこには、見たことのある青髪の女性と、優しそうな、しかしどこか冴えない顔の男性が走ってきていた。

いつの間にか、野次馬がいっぱいいる。


「アイナちゃーん」

「え、ハルナさん? と…誰?」

「まぁ、それは後でね。そんなことよりさ、何とか隙を作れないかな。そしたら私が変わるからさ」

「え? でも」


ハルナさんは商人。そう言おうとした瞬間、しびれを切らした『鉄の騎士』が、巨剣を掲げながら突進してきた。


落雷のごとき降り下ろしを横っ跳びで何とか避け、私は思考を巡らせた。


隙を作る? 無理に決まってる。全身金属でできてるみたいな防御力と強靭さのあれに?

剣も無しに、あいつをどうにかできるのか?



…いや、あった。通用するかはわからないけど。というかこんな技、もう二度と使いたくないんだけど、しょうがない。


しかし、この作戦を実行するには、『鉄の騎士』の攻撃を最低一発食らわなきゃいけない。すると、高い防御力が必要。


よって、あれを……使うしかない。


私はメニューを呼び出し、『装備変更』を選択する。

装備するものを選択し終え、メニューを閉じてから、ハルナさんの方を見た。


「っっ……くっ」


腹を抱えて笑っていた。

隣の男性は、だらしなく口を開けて呆けている。



この会奈の様子を見た名無しのキャメラマンは、後にこう語っている。


「神が降臨した」





そんなことは露知らず、アイナは気合いを入れて突貫していった。


頭に猫耳をつけながら、アイナはスキルを発動させる。


「『体当たり』」


黄色いソニックウェーブのようなエフェクトと共に、急加速を始めた。


周りの景色が高速で通り過ぎていき、逆に黒い甲冑にどんどん近づいていく。

幸い、『鉄の騎士』は私が自暴自棄になったと見たのか、余裕を持った様子で佇んでいた。


当たる瞬間、全身に力を込め、身を固める。


「うっ」


まるで、コンクリートの壁にタックルしたような感覚と同時に、私は後ろへ弾き飛ばされた。


駄目か。


私は、来るはずの反撃に目を閉じ、その時を待った。

しかし、私が感じたのは、誰かに頭を撫でられる感覚と、気の抜けた声だった。


「お疲れさん。後はお姉さんに任しときなさい。すぐに終わるから」


耳元で、土を蹴る音と共に聞こえた金属音。そして、何かがゴトンと落ちた音で、私は目を開けた。


「え」


そこにあったのは、首の落ちた『鉄の騎士』と、身の丈の三倍以上の『特大剣』を肩に背負ったハルナさんだった。


こちらの視線に気づいたのか、ハルナさんは、おそらく口を開けてだらしない顔をしているだろう私に向け、ウインクをした。


「ね? すぐ終わったでしょ?」

おまけ


ハルナ「にしても、『鉄の騎士』によく粘れたねぇ。頑張ったよ」


アイナ「いえ、そんなこと…それに」


ハルナ「どうしたの?」


アイナ「きっと、作者は『シリアスになってもうたー』とか叫んでると思いますよ」


ハルナ「え?」


とある四畳半


作者「シリアスになってもうたぁぁぁぁぁぁぁあ!」


ハルナ「今なんか聞こえたよーな」


アイナ「幻聴です。忘れてください」

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