プロローグ
開いてくださりありがとうございます。
低い文能力で、頑張らせていただきます。
体勢を限界まで低くし、森を全速力で駆ける。
人間ではあり得ない加速で、一気にトップスピードへ。
「グギャァァア!」
標的である緑の小人、ゴブリンが棍棒を構えて臨戦態勢に入る。
まだ、扱うことに違和感が強い刀を鞘から抜くと、心臓が、ドクンと大きく脈打つのがわかった。
生物を斬る心理的抵抗をねじ伏せ、走る勢いそのままに刀を下から振り上げる。
(うっ…)
肉を裂く僅かな抵抗と共に、ゴブリンの胴体に赤い線が走った。
頭上に存在するHPゲージが、赤く砕け散る。ワンアタックキルのエフェクトだ。
「ギャァァァア!」
耳をつんざく、甲高い断末魔をあげ、体を粒子に変えていくゴブリン。
手には、肉を断った時の抵抗が、まだ残っている。
「はぁ、はぁ……ふぅ」
息を整える。ゴブリンが消え、残ったドロップ品である、『ゴブリンの腰布』を拾う。
そんな私を労うように、緑を含んだ風が吹く。空を見上げると、夏の青空の中に入道雲と、『2つの太陽』が目に入った。
ここは最新型VRMMOゲーム、『avil・anel』によって創られた仮想世界。
魔物が存在し、武器や魔法も存在するこの世界は、機械のように冷たく無機質な、私の心を溶かしてくれた。
楽しい。
だけど、足りない。このゲームは、まだまだ序盤なんだ。
私の知らない世界があるはずなんだ。
ねぇ、幼い頃から娯楽を禁じられてきた私の心を、もっと楽しませて。
「…よしっ」
高鳴る胸を押さえながら、私は森の奥へと走り出した。
『無限に広がる世界』へ。
後3話投稿しますが、2つは設定を書いていく感じなんで、宜しくお願いします。