読書/羽山信樹『流され者』 ノート20180317
羽山信樹『流され者』 角川書店1984‐1985年
本書は全六巻からなっている。明治維新が起ころうとするころの話だ。江戸幕府旗本・壬生宗十郎は、家の後を継ぐ前まで任侠と交わり、後を継ぐと出世コースを捨てて、なぜか、流刑地・八丈島の島役人となって赴任する。この主人公の本性はマッド・サイエンティストにしてヤクザである。島が密室であるのをいいことに、宗十郎は恐怖政治を敷き、やりたい放題だ。流人をつかって井戸・新田開発をやったのだが、島民・流民を豊かにするためではなく私服を肥やし・悦楽にふけるためだった。そして、蘭学に通じた頭脳をもって、西洋式溶鉱炉を築き、軍艦や銃砲をつくり、島を奪いに来たスペインの軍艦を返り討ちにしてしまう。壬生の目的は、ヤクザと組んでの日本征服だ。だが、その直前になって、良識ある政治犯系の流人たちが、反乱を起こし、このアンチヒーローの野望を打ち砕く。
悪逆非道の壬生だが、惚れた女性蘭学医・つばきに対しては純情で、義兄弟になった仲間たちには忠実である。そこが読者の萌えポイントである。
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