読書/酒見賢一『後宮小説』 ノート20170317
酒見賢一『後宮小説』新潮社1989年
1989年日本ファンタジーノベル大賞受賞作だ。
恐らくは中国・明朝がモデルであろう素乾王朝崩壊期の物語。この国は科挙で官僚や武人が選出されるように、後宮の妃たちも、試験でランキングが決定された。田舎娘の銀河は三食昼寝付きである上に、学問までできるという、宣伝にやってきた宦官の言葉に乗って、宮廷にあがり、妃候補生となった。ところが、若い皇帝の権力基盤は脆弱で、継母が自分と愛人との密通でできた子供を帝位に就けようと、宮中内に刺客を放って皇帝をつけ狙わせていた。このため、皇帝は宮中内をこそこそ逃げ回る日々であった。他方、地方では反乱軍が帝都を目指して襲い掛かってきた。皇帝と姉はそれによって命を落とす。だが後宮だけは、皇后になった銀河以下才智にたけた妃たちが、宦官たちと協力して落ちない。そして総攻撃となる直前、反乱にうんざりした軍師が寝返ってきて、その計略により、女たちは包囲された敵の突破に成功する。
銀河は、敵の情けで、捕らわれた皇帝と一度だけ交わった。このことにより跡継ぎを得た。この子供が長じて王朝を再興することになる。
ノート20170317




