読書/クリスティー『ねじれた家』 ノート20180313
アガサ・クリスティー『ねじれた家』
登場人物
チャールズ・ヘイワード……………外交官(語り手)
ソフィア・レオ二デス………………チャールズの恋人。フィリップの長女
アリスタイド・レオニデス…………ソフィアの祖父。大富豪
ブレンダ………………………………アリスタイドの後妻
ロジャー………………………………アリスタイドの長男
クレメンシイ…………………………ロジャーの妻
フィリップ……………………………アリスタイドの次男でソフィアの父
マグダ…………………………………フィリップの妻
ユースティス…………………………フィリップの長男
ジョセフィン…………………………フィリップの次女。探偵小説マニア。未就学児童。真犯人。
エディス・デ・ハヴィランド………アリスタイドの義姉
ローレンス・ブラウン………………家庭教師
シャネット・ロウ……………………レオニデスの使用人
ゲイツキル……………………………弁護士
タヴァナー……………………………主任警部
ヘイワード……………………………チャールズの父。ロンドン警視庁の副総裁
本作品は、全26章300頁弱で構成されている。
外交官チャールズ・ヘイワートは、交際相手の才色兼備な女性ソフィアと婚約するため、彼女の実家である富豪レオニデス家に赴く。病床にある当主一族アリスタイドのところへ挨拶へ行くやいなや、その当主が殺されてしまった。ラストの全容解明場面で、子供であるジョセフィンが、祖父の常備薬をいじって殺害したのだ。
チャールズの父親ヘイワード警視庁副総裁の部下であたるタヴァナー主任警部が派遣され、一族や使用人が容疑者になった。捜査は遺産がらみの問題だという仮説のもとに進められる。
トリックスターとして、物語のミスリードをするのは、美貌によってアリスタイドの後妻に収まったブレンダとその密かな恋人である家庭教師ローレンスで、物語の後半、二人の交わした恋文が証拠だとなって、タヴァナー警部に逮捕されてしまう。そのあたりは強引ではないかと突っ込みを入れるのがゲイツキルである。
次に、ソフィアの妹ジョセフィンが襲われる。この子はサイコパスだ。家系のすべての美質を備えたソフィアに対して、ジョセフィンは醜悪な遺伝子すべてを受け継いでいた。ジョセフィンは、自分で自分を殴って負傷し、あたかも真犯人に襲われたかのように偽装する。それから、好意を寄せていたアリスタイドやローレンスが逮捕されると、今度は毒入りの飲み物をわざと残し、彼女付の家庭教師女性が、もったいないから飲むと思うようにしむけた。この策が見事に当たって毒死してしまう。
物語の結末は富豪の息子フィリップが、ジョセフィンを車に乗せて無理心中をし、真相を置手紙したことと、ジョセフィンの日記で明らかとなる。ジョセフィンの異常な性格については、ヒロインの祖父である富豪がジョセフィンがサイコパスであることを見抜き、防犯の意味で学校に上げず手元に置いた。富豪祖父が危惧したように、孫娘ジョセフィンは、悪戯の感覚で彼を殺害。物語の終盤で、ジョセフィンが、彼女の女性家庭教師を殺害した動機や経過などが記されたものだった。遺産絡みではなく、探偵小説マニアなサイコパス童女による猟奇的殺人だったのだ。
物語は、語り手チャールズが、事件の顛末を警視庁副総監である自分の父親に報告したところで終わる。
個人的な意見。変人シャーロックホームズも、一歩足を踏み外すと末路はこうなる。
ノート20180313




