読書/西村京太郎『越後・会津殺人ルート』 ノート20151013
西村京太郎『越後・会津殺人ルート』
西村京太郎『越後・会津殺人ルート』光文社2007(講談社ノベルズ1992)
全300頁(原稿用紙:推定300-450枚)
【第1部(100)事件の発生】
第1章 甘い罠(50)
壱 オープニング
001
第1節(6)……第01項・前 01場面 起
●東京。第1の殺人・井之頭公園殺人事件。被害者・原田みゆき。(*真犯人・元刑事部長・浦辺。黒幕・財界人の仙堂)
第2節(6)……第01項・後 02場面 起
●東京。井之頭公園殺人事件の被害者遺留品
002
第3節(6)……第02項・前 03場面 床
●東京。遺留品に十津川警部が刷らせた名刺200枚のうちの1枚
第4節(6)……第02項・後 04場面 床
●東京。タイトルと同じ殺人ルートの罠に乗る十津川
弐 事件の概要
003
第5節(6)……第03項・前 05場面 転
●東京。容疑者・田中祐介が捜査線上に。原田みゆきと旅行の予約
第6節(6)……第03項・後 06場面 転
●東京。被害者・原田みゆき関係者聞き込み。勤務先は水商売の店。ママの証言
004
第7節(6)……第04項・前 07場面 結
●容疑者・田中を訪ねる
第8節(6)……第04項・後 08場面 結
●仮説1。十津川の作戦――犯人は十津川を会津若松におびき寄せるため、餌として原田みゆきを殺したのではないか。自分が動けば犯人は自分に襲い掛かってくる。そこで捕まえられるだろう。――作戦1。
第2章 磐越西線の女(50)
参 リミットの設定
005
第1節(6)……第05項・前 09場面 起
●仮説・2。十津川、会津若松にむかって列車に乗る。――犯人は自分を罠にかけるため無関係な女を殺したのか? 誰かに恨まれているのだろうか?
第2節(6)……第05項・後 10場面 起
●東山温泉。仮説・3.原田みゆきは十津川を陥れるためのルートとなる鉄道切符をもたされていた。
●別働隊・亀、容疑者田中身辺調査
006
第3節(6)……第06項・前 11場面 床
●喜多方のラーメン屋。カメラマン・渡辺ひろみの接近。(*前科者・小原実の刑務所仲間が十津川に変装し被害者を殺害。渡辺は独自に調査。万が一に備えて友人にその旨を話す)
第4節(6)……第06項・後 12場面 床
●第1の仮説4・十津川は渡辺ひろみが刺客だと考える。
肆 捜査
007
第5節(6)……第07項・前 13場面 転
●十津川・渡辺ひろみを乗せた列車、新潟着。岩室温泉へ。渡辺ひろみが殺される。――第2の殺人。
第6節(6)……第07項・後 14場面 転
●新潟県警刑事によって岩室温泉に監禁される戸津川。十津川のバックに(戸津川が第3の殺人事件を起こしている様子を写した)フィルムが入っている。
008
第7節(6)……第08項・前 15場面 結
●十津川、亀井に、携帯電話で、真犯人に濡れ衣を着せられ新潟県警に監禁された現状を説明。そして渡辺ひろみの身辺を洗うよう指示。
第8節(6)……第08項・後 16場面 結
●新潟県の温泉宿。新潟県警の広田・坂口が、十津川を訊問。ハメられている、という十津川だが、相手は疑念を深める。
【第2部 捜査(100)】
第3章 女の肖像(50)
伍 仮説
009
第1節(6)……第09項・前 17場面 起
●東京・亀井の捜査。新井由加の証言。親友・渡辺ひろみ殺害直前電話やりとりした。――真犯人、メイクした偽物に殺人させる。十津川はハメられた。
第2節(6)……第09項・後 18場面 起
●東京・亀井の捜査。渡辺の紹介をする新井。そこからの紹介で、渡辺ひろみの知己・小酒井めぐみへ聞き込み。めぐみの分不相応な豪奢な暮らしぶりからパトロンがいる(――黒幕・仙道へと結びつく)
010
第3節(6)……第10項・前 19場面 床
●小酒井めぐみ――十津川が直接手を下したことになっている。真犯人はめんどくさい方法で、十津川を殺人犯にしようとしている。(*全容解明のときめぐみの線から謎が解けたという十津川)
第4節(6)……第10項・後 20場面 床
●新聞記者がかぎつける。24時間以内に無実が証明されないと、十津川は逮捕される。――第1タイムリミット設定。
陸 裏動機
011
第5節(6)……第11項・前 21場面 転
●東京の亀井、小酒井めぐみの資金ルートを調査。
第6節(6)……第11項・後 22場面 転
012
第7節(6)……第12項・前 23場面 結
●小酒井めぐみから、木暮明にリンク。木暮は(*ホモの)芸能人。――黒幕・仙堂につながってゆく。
第8節(6)……第12項・後 24場面 結
●実をいうと木暮は仙堂のお気に入り。有力証言者になりうる木暮が、夫ある元女優のマネージャーと自動車・排気ガス自殺にみせかけた殺害に。――十津川は新潟県警に監禁されているので、真犯人が十津川ではないと亀井は確信。しかし上役はまだウラどりが甘いと指摘。
第4章 釈放への道(50)
質 仮説の崩壊
013
第1節(6)……第13項・前 25場面 起
●警視庁。亀井、本多一課長とかけあって、十津川を釈放するよう新潟県警に圧力して欲しいと頼む。課長は部長にかけあうと約束。
第2節(6)……第13項・後 26場面 起
●八王子署。心中したとされる木暮明の妹がきた。大学生である木暮には心中する理由がない。中世的美男子(――ゲイである黒幕・仙堂の好み)
014
第3節(6)……第14項・前 27場面 床
●東京都区内。城南ポンプ――弟を政治家にもつ大企業社長仙堂肇。優秀な弁護士陣がそろっている。下手に噛みつくと逆に噛まれると課長、亀井に釘を刺す。亀井・西本、仙堂にききこみをする。殺害された被害者たちの名前を挙げる。木暮明のときはとぼけ、小酒井めぐみのときは慌てる。黒幕の表情の変化を見逃さない亀井。
第4節(6)……第14項・後 28場面 床
●亀井、部下である部下の刑事たちの仮説をきく。日下の説、「仙堂が十津川をまったく知らないというのは嘘だ。仙堂は小酒井めぐみを口封じに殺せばよかった」補足して、清水刑事の説。「まったく接点のない仙堂が、十津川を恨むとすれば、愛する者(美青年)を十津川によって検挙された報復だ」と断定する。亀井は、部下二人の話をまとめ、「仙堂には妻子がいない。とすれば十津川に検挙されたのは美青年のタレントということになる」と仮説を結論付ける。
【第3部 事件の解決(100)】
第5章 対決(50)
玖 インスピレーション
017
第1節(6)……第17項・前 34場面 起
●浦辺元刑事がかつて取り扱った20件からなる調書に目を通す十津川。自白主体の強引な手法によるものだった。(*静岡の自白専科である〝名刑事〟がモデルと考えられる)
第2節(6)……第17項・後 35場面 起
●十津川、部下の亀井チームを呼んで、浦辺を罠にかける方法の相談をする。
018
第3節(6)……第18項・前 36場面 床
●十津川は、「黒幕仙堂は安全圏にいて、犯罪遂行は浦辺に一任している」と判断。部下たちに浦辺を尾行し、意図的にまかせる。失敗することで、捜査陣側が型どおりの捜査パターンをしていると相手に印象づける策を始める。他方、十津川は黒幕仙堂に会いにゆく。
第4節(6)……第18項・後 37場面 床
●十津川、「東山温泉で女を殺した男のアシがついた」と黒幕・仙堂を揺さぶる。仙堂は渡辺をけしかけるはずだ。そこで尻尾をつかむ策。(十津川の策に動揺した仙堂は浦辺になんとかしろとせっついた様子)
拾 デスリミット
019
第5節(6)……第19項・前 38場面 転
●予定通り、十津川の部下たちは、浦辺にまかれた。浦辺は、逆襲にでるべく、捜査陣の様子を観察、パターンを計っている。攻守が完全に入れ替わり、浦辺は十津川の術中にはまった。そして浦辺は逆襲を計る。自分の息のかかった前科者たちに電話。十津川暗殺を企てる。
第6節(6)……第19項・後 39場面 転
●浦辺、トラックで道を遮るなどして、十津川を誘い出す策。策に乗る十津川。亀井運転で部下のパトカーが立ち往生している地点にゆく。(浦辺、十津川を袋小路採石場に追い込む策)
020
第7節(6)……第20項・前 40場面 結
●浦辺、袋小路の石切り場に十津川たちを追い込み、トラックで囲んでガソリンに火を点け、十津川と亀井を焼き殺す策。亀井の機転で待機させていた警察ヘリで脱出。亀井、そのまま、浦辺の手先となっていた元受刑者・小坂実を逮捕。口を割らせる。
第8節(6)……第20項・後 41場面 結
●浦辺、逃走を図りつつ、十津川に自分を見逃すための様々な条件をだし〝取引〟を求める。拒否する十津川。警察は浦辺が国外逃亡を計っていることを予想し、全国の港湾・空港に検問体制をとらせた。しかし浦辺はつかまらない。
第6章 再び越後・会津(50)
拾壱 真犯人の逮捕
021
第1節(7)……第21項・前 42場面 起
●空港・港湾をつかわず脱出する浦辺の策を推理する十津川たち。――黒幕・仙堂が所有する世界一周用の大型ヨット〝セント1世号〟に潜りこませる作戦だと見抜く。三宅島沖で巡視船が拿捕する。浦辺はさらに証拠隠滅のため、クルー二人を毒殺した。二人のうちの一人が、十津川に変装させた殺人実行犯・大野木だ。
第2節(7)……第21項・後 43場面 起
●大野木が死んだことで、十津川の殺人容疑がかかったまま解けない。やりとりしたテープが準備してあるから、釈放しろとなおも〝取引〟をもちかける実行犯指揮官・浦辺。昔の敏腕刑事だった浦辺の良心に訴えかける十津川だが拒否される。
022
第3節(7)……第22項・前 44場面 床
●改めて実行犯・浦辺身辺を洗い直す十津川と亀井。浦辺が警視庁を辞めるとき、カリスマ刑事・浦辺につきあって辞めた部下の刑事たちを調べ上げる。案外簡単に、浦辺の〝切り札〟になるカセットを久保田という興信所業をやる元刑事から押収する。
第4節(7)……第22項・後 45場面 床
●浦辺は完全に敗北。観念するがまだ自供はしない。「昔の名刑事が法廷で裁かれ黒幕がのうのうと豪奢な暮らしを続けるのは許せない」と叫ぶ十津川。昔の敏腕刑事だった浦辺の良心に訴えかける。(心を動かす浦辺)
拾弐 黒幕の逮捕・全容解明
023
第5節(7)……第23項・前 46場面 転
●黒幕仙堂を道連れにする自供内容を遺書にしたため、自殺。仙堂の別件での殺人をつかって逮捕しろと十津川にアドバイスまでしてあった。――自供の遺書は元刑事としての良心。
第6節(7)……第23項・後 47場面 転
●浦辺の〝切り札〟実行犯グループの自供テープ。自供の遺書。仙堂の別件の殺人をもって黒幕・仙堂は逮捕される。
024
第7節(7)……第24項・前 48場面 結
●エピローグ。大団円の後日談。四日間の休暇をもらって渡辺ひろみ殺害事件に巻き込まれた岩室温泉で、改めてくつろぐ十津川。しかし二日間の休暇とったところで新たな事件が発生したと、亀井が迎えにきた。
ノート20151013




