読書/城山三郎『百戦百勝』 ノート20180312
城山三郎『百戦百勝 働き一両・考え五両』 角川文庫、1979年
昔、上海にいたころ、知人が、ぜひ読むようにと言って貸してくれたので読んだ。帰国してから仕事の都合で、久しく群馬県に滞在していた都合で、山種証券の創業者・山崎種二(1893 - 1983)をモデルにした小説だと知った。山崎種二といえば群馬県吉井町の人で、故郷の人達からの要請があり、吉井町に町立図書館を建てた。さらに平成大合併で吉井町が高崎市に合併されると、この人の後継者が、高崎駅前に山種美術館を移転開設したので、何度か観に行ったことがある。
主人公豆二は、戦前の長野県の自営農家の生まれだ。両親と弟妹がおり、ある程度成長すると、東京の店に丁稚にやられる。正式な学問は受けていないのだけれども、頭の回転は速く、聞いたことは全て憶えてしまう。商魂たくましい倹約家の少女、そして、父親の相場師仲間の男と出会い、生涯の友となる。この男の影響で株に興味を持った豆二は、貯めた金で株を買い、次々と当てていく。良家の娘を嫁に貰い、子をもうけて平穏な家庭を築きつつも、大正大震災、世界恐慌、第二次世界大戦と、次々と襲い掛かる時代の荒波が襲い掛かるのだが、サーファーのように、巧みに乗り越えてしまう。そして最後は、東京で小財閥を築くほどまでにのし上がるのだった。
読むと元気になるオジサン向けの小説だ。
ノート20180312




