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小説『オンチェーンFinance』15

作者:三澤賢司
最新エピソード掲載日:2026/10/12
東京・大手町、日本国オンチェーン金融中央統括センター。最上階のホログラムドームに、地球を覆う光の網目と、その接点で激しく明滅する巨大建築物の群れが映し出されていた。
「これこそが、現代社会とAI文明の心臓――データセンターです」
立花葵の声が、静まり返ったホールに響く。
2020年代後半、生成AIとクラウドの急速な普及により、世界は「データセンター・電力枯渇危機」に突入していた。マイクロソフト、グーグル、アマゾンなどのハイパースケーラーは、数兆円規模のデータセンター建設を競い合っている。
黒輝大介が煙草の煙を燻らせ、画面を見上げる。
「天野。第14章の再投資ポートフォリオで、Layer 2(実物・インフラ投資)の核にお前が選んだのが、これか。だがデータセンターは、不動産でありながらサーバー、冷却装置、電力網を抱えるハイブリッド資産だ。本当に『安全資産』として還流プールに組み込めるのか?」
神田主計局長も頷く。
「技術的陳腐化、電力枯渇、事業者の解約リスクがある。単体では、ミドルリスク・高リターン資産にすぎないのではないか?」
天野修一は静かに微笑み、スクリーンの中心へ歩み出た。
「おっしゃる通り、データセンター単体は無リスクの安全資産ではありません。しかし、シーソー補完機構にデータセンターのセキュリティ・トークン(ST)を接続したとき、それは堅牢で高利回りな『次世代・補完型インフラ安全資産』へと昇華します」
白板に、「データセンターABS(資産担保証券)のオンチェーンST化」のアーキテクチャが描き出されていく。
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