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猫又と俺の願いを縫う不思議な工房  作者: ありぽん


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9話 10年ぶりのシロタマとの生活

「先生、これはどうしましょうか?」


「ああ、それね。そうね、さすがに新しい物に変えましょうか。きちんと洗濯には出しているし、数年前には修復もしていただいたけれど。新しい場所へ行くのだから、新しい生活を始めるという意味で、それも新しい物にしましょう」


「確か高橋さんに修復していただいたんですよね」


「ええ、それはもう新品のように修復ていただいたわ」


「子供たちもお気に入りですから、また頼む事はできないでしょうか?」


「今、とても忙しいようなのよ。それに、この子達も、そろそろおやすみする時期がきていると思うの。今まで子供達の夢に寄り添ってくれて。今度はこの子達がゆっくりする番じゃないかしら」


「子供たちは寂しがるでしょうね」


「……そうね。新しい物については、後で考えるわ。さぁ、準備を続けましょう」


「「「はい!!」」」


 パタパタパタ……。


『……行かなければ。子供たちの夢を見守るために』




         ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆




『なぁ、なんか他につまみないか?』


『おい、ここはお前たちの、酒呑みの家じゃないんだぞ』


『良いじゃねぇか。お前だって一緒に飲んでんだから』


『うむ、このポテチは美味しいいのぉ』


『ああ、それは新発売のやつで、なかなか店に置いてないんだ。またトラックの隅や、人間が運ぶ時に落として、そのままにしてるのがあれば拾ってくるぜ』


『なんじゃ、買って貰えんのか?』


『今回は別のお菓子を買ってきたんだよ。俺たちあやかしは、そう簡単に金を稼げねぇのは、お前も分かってるだろう。それに他の貰ったお菓子は俺のだ。お前たちにはヤラねぇよ』


『良いではないか、出してくれても』


『ダメだ』


「ほら、みんな静かにしてくれよ。今、最後の仕上げをしてるんだから。それにネズじいちゃんも、今度俺が買ってくるからさ。カエンの貰ったお菓子は、カエンの大切な人から貰った物だから、無理やり貰おうとしちゃダメだよ」


『むぅ、それはのう。分かったわい』


「それからカエン、今日はもう、つまみはないよ。3つまでだって約束だろう。それ以上は自分たちで用意すること」


『へぇへぇ、分かってるよ』


「まったく」


『ぴっ? ぴぴぴっ?


「ん? 何かな? シロタマ、なんて?」


『大丈夫か? それから、もうすぐ終わる? と聞いている』


「ああ! 大丈夫、もうすぐ終わるから、もう少し待っててくれ。邪魔が入らないと、もう少し早く終わるんだけど?」


 俺は昼間っから、俺の部屋で宴会をしている面々を見る。そんな俺の真似をして、一緒にみんなをジト目のような感じで見るぴよ太。そっと横を向く面々。


 俺は今、自分俺部屋で、ピヨ太に修復してくれと頼まれた、ひよこのぬいぐるみを修復している最中だ。そしてそんな俺の横では、真っ昼間から宴会が行われている。誰が昼間から? しかも俺の部屋でって? それは……。


 俺がシロタマと嬉しい再開をしたのは、今から2週間前。あの日、寝落ちしてしまった俺は、朝起きてこない俺を起こしにきたじいちゃんの声で目を覚ました。


 それで急いで起きて隣を確認したら、シロタマはちゃんと俺の隣で寝ていたよ。もし再会が夢だったら? って慌てたんだ。でもそこにシロタマがいたから、夢じゃなかったことにホッとした。


 が、今度はお酒の缶をそのまま放置していたことを思い出して、別の意味で慌てる羽目に。そうして急いで片付けを済ませると、俺はシロタマを起こし、これからのことについて話しをしたんだ。


 するとシロタマは、俺がここにいる間は一緒に暮らしたい。もしも家に帰る日が来たら、じいちゃんには、俺が連れて帰ることにしておいて、自分は山に帰ればいい、と言ってきた。


 だから俺は、だったら本当に一緒に来れば良いじゃないか、と返したんだ。するとシロタマは、それもそうかと言ったんけど。ここが気に入ってるから、どうするかとも。


 まぁ、俺の方も、まだこれからどうするか決めていなかったからな。今はとりあえず、シロタマが最初に言った通り一緒に暮らせるよう、じいちゃん達の許可をもおうってことになって。後の話しは、いったん保留にした。


 じいちゃんにシロタマを見せたら、


「お前さん、昔遊びに来ていたシロタマにそっくりじゃのう」


 と言ったもんだから、俺もシロタマもドキッとしたよ。バレたか!? って。


 その時シロタマは、ちゃんと普通のネコの姿に化けていて、しっぽも一本に見せていたけど、模様までは変えられなかったからさ。


 だけどまぁ、それ以上じいちゃんが追及してくることはなくて。自分でちゃんと世話をすること、帰る時はちゃんと連れて帰ること、この二つを約束して。シロタマと暮らすことを許してもらえたんだ。


 こうして10年ぶりに始まった、シロタマとの生活。じいちゃんにはまた同じ名前にしたのか、って言われたけど。まぁ、シロタマだし

 

 そして一緒に暮らすようになってからは、じいちゃんはなんだかんだシロタマに、いろいろな物を買ってきてくれて。疲れている時はシロタマで癒されると、一緒に昼寝をしている。


 神谷さんは神谷さんで、良い酒飲み友達ができたって、時々シロタマが晩酌に付き合って、神谷さんは喜んでるよ。もちろんその時は、シロタマはお酒は飲まないぞ。


 こんな感じでみんな、シロタマとの生活を楽しんでいる。そう、楽しんでいるんだ。だけど……。


 1つ問題が起きた。いやまぁ、別に、命に関わるような問題ではないんだけど。時々面倒な問題というか、周りに気をつけなくちゃいけない問題というか。


 俺とシロタマに、あるお客さん達が訪ねてくるようになったんだ。それもかなりの人数の。

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