表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫又と俺の願いを縫う不思議な工房  作者: ありぽん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/52

8話 ぬいぐるみと今までとこれから

 いやぁ、シロタマと再会できて、しかも話までできて、楽しいなんてもんじゃなかった。本当に、話が尽きなかったよ。


 でも、3時間も静かにだけど、飲んで食べてしゃべり続けてたら、さすがにテンションが上がりすぎた俺たちは疲れてきて、その場に寝転びながら話を続けることに。今シロタマは、修復したネコのぬいぐるみに、アゴを乗せて寝ているよ。


「……そのぬいぐるみ、ずっと持っててくれたんだな。ありがとう」


『当たり前だろう。お前がくれた、大切な俺のぬいぐるみだぞ。ただ、かなりボロボロになってたからな。だからお前のじいちゃんに直してもらおうと思ったんだよ。だけど、じいちゃんが昔の事とはいえ、今もこのぬいぐるみのことを覚えていたら、ちょっとまずいか? と思ってな』


「まぁ、それはな」


 俺だって、違和感が確信に変わってからは、俺が作ったぬいぐるみだって、じいちゃんにバレないように行動してたし。ほら、サインとか気づかれないようにさ。


『で、困ってたら、じいちゃんが電話で、お前がここで暮らすって話しているのを聞いてな。なら、お前に直してもらうかって。一か八かで玄関先に置いてみた。お前がこれに気づいて、直してくれるかもしれないし。ま、拾ってもらえなかったら、また何回でも置けば良いってな』


「おいおい、それでもしも捨てられてたら、どうするつもりだったんだ?」


『そんなのすぐに助れば良いじゃないか。大体じいちゃんや神谷のあんちゃんが、調べもせずに捨てるわけないし、お前だって、そうだろう? まぁ、成長したお前がぬいぐるみを嫌いになってたら、もしかしたら捨てられたかもしれないがな。ハハハハハッ!』


「お前なぁ」


『しかし、ここまで元の状態に戻すなんて、お前が今もぬいぐるみを作ってくれてて良かったぜ』


「そうだ、そのぬいぐるみさ、新しいの作ろうか? なにしろ俺の初めて1人で作ったぬいぐるみだろう? 古いし歪過ぎるし、今ならもっとちゃんとしたぬいぐるみを、作ってあげられるよ?」


『俺はこれが良いんだ。お前だって分かってるだろう? じいちゃんたちと仕事をしていて、お前もまだぬいぐるみを作っている。だからこのぬいぐるみが俺にとって、どれだけ大切な物かってな』


「う~ん、なんかなぁ。分かってるよ。分かってるけどさ、あまりの出来栄えで……。酷いっって意味でさ。何とも言えないし、作った俺としては恥ずかしいんだよ」


『俺はこれが良いんだ』


「はいはい、分かったよ。……ありがとう」


 俺は起き上がり、最後のジュースを飲み干した。


『そういえば、俺の話はしたけど、お前の方はどうなんだ?』


 さっき、俺が引っ越してからのシロタマのことを聞いたんだ。……うん、いろいろやらかしてたよ。それについては、まぁ、そのうちに。


『引っ越してからも相変わらず、もじもじよ、なよなしてたんじゃないか? ちゃんと友達は作ったか? 俺はお前が引っ越し先でもちゃんとやってけてるか、心配してたんだぜ』


「お前は俺の父さんか母さんか」


『俺としては、お前の両親みたいなもんだと思ってるからな! 息子のことは心配なんだよ』


「誰が息子だ!」


『で、どうなんだよ』


「……それなりに元気にやってたよ」


『ぬいぐるみばっかり作って、友達を作らなかったなんてないだろうな』


「……ふっ、どうだろうな? まぁ、俺はこれといって何事もなく、ごく普通に生活してたよ」


『本当かぁ?』


「本当だって」


『……まあ、お前がそう言うならな』


 シロタマが俺の腕に、ふたつのしっぽをそっと絡ませてきた。もしかしたら、何か気づいたのかもしれない。子供の頃も、俺が何も言わなくても、気持ちをわかってるようなところがあった。


 でも、本当のことはまだ言えないんだ。大切なお前には、心配をかけたくないから。俺はシロタマの頭を、そっと撫でた。


『それで、これからずっとここで暮らすのか?』


「いや、まだ決まってなくてさ。一応1年はいる予定だよ。その後はちょっと分からない」


『そうか、せっかくだから、もうここで暮らせば良いじゃないか』


「いろいろ考えてから決めるよ」


『俺はずっとお前がいてくれたら嬉しいけどな!』


「ありがとう」


『でも、そうか。1年は一緒にいられるんだな。……うーん、じゃあ大丈夫か。いや、でも俺との時間が減るのは……』


「ん? 最後の方、なんて言ったか聞こえなかったけど?」


『あ、ああ! これから楽しい日が続くなって言ったんだ!』


「そうか?」


 こうして、そのまま話しを続けた俺たちだったけど、いつの間にかそのままの格好で寝てしまっていたよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ