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猫又と俺の願いを縫う不思議な工房  作者: ありぽん


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46話 ピヨ太、ピヨ助、ピヨ吉の俺たちの時代が来たぜ!!5

「ママ、ぼく、ここちゅける」


「分かったわ。じゃあ、ノリをちょんちょん付けて貼りましょうね」


「うん!! ちょんちょん!! ……ママ、べちょう」


「そんなに勢いよく付けるからよ。そっとそっと、こうやって付けるのよ。でも、どうしましょう、先に手をどうにかしないと、他にノリがついちゃうわ」


「あ、これを使ってください、濡れタオルです。タオルがダメになったら、次のタオルをお渡ししますので」


「ありがとうございます。さ、手を拭いて、また貼りましょうね」


「お、ここの星マークがカッコいいね!」


「うん!! のにょねぇ、おほちしゃまは、かっこいいのマークなの!! だから、おかおのまんなか!!」


「そっか! じゃあもっとカッコよくしないとな!」


「うん!!」


「あの、すみません!」


「はい!! それじゃあ失礼します。何かあったら呼んでくださいね」


「はい、ありがとうございます」


 呼ばれた人の所へ急ぐ。


「どうしましたか?」


「あの、このハート型をもう少しいただいても良いですか? あのふわふわ姿の写真を見て、ハートであれをやりたいと」


「大丈夫ですよ。はい、どうぞ」


「ありがとう!!」


「わぁ、すごく可愛いね」


「この子はハートのすずちゃん。すずまるじゃないの。えっとね、すずまるの彼女。もっともっと可愛くするんだ」


「そうなんだ。可愛くなって、すずまるももっとこの子のことが好きになるね」


「うん!!」


「すみません!!」


「はい!! もし他にも足りない物があったら、声をかけてください」


「ありがとうございます」


 また急ぎ、呼ばれた人の元へ急ぐ。


「はい、どうかしましたか?」


「すまない、この子がもっとリボンを付けたいと言うんだが。最初にもらったリボン以外にも貰えるのか?」


『もちろんじゃ、それ』


「ん? 今どこからリボンが?」


「て、手品なんですよ。どうですか? これで足りますか?」


「ありがとう。……今のが手品?」


「パパー、るいくん、リボンいっぱい」


「あ、ああ、そうだな。じゃあパパといっぱいリボンを結ぼうな」


 ついにイベント当日。俺たちの『すずまるのぬいぐるみ作り体験』は、朝から大盛況で。予約のお客さん以外にも、たくさんのお客さんが来てくれていて、少しの休憩をする時間もないほどだ。


 さっき実行委員会の人が来て、断トツで1番の人が集まっていると教えてくれた。子供たちが喜んでくれるなら、良かったよ。ただ……。

 順番待ちの列ができちゃって、急遽警備員さんにお願いして、列の整理をしてもらうことに。そこは考えが甘かった。


「晴翔、少しで良い、休憩をしておいで」


 呼ばれるのが止まったところで、じいちゃんが俺を呼んだよ。


「でも、じいちゃんと神谷さんだけじゃ大変だよう」


「正樹が手伝いに来てくれる。向こうが落ち着いたらしくての。だから今のうちに休憩に行ってきなさい」


「そうだぞ晴翔、休憩できるうちにしてこい。またいつ抜けられるか分からないからな」


「分かった。じゃあ休憩してくるよ」


 じいちゃん達に言われて、俺はシロタマと結灯を連れて、ブースの裏へ移動した。そうして誰もいないのを確認すると、結灯に注意したよ。


「結灯、いきなりお客さんの前でリボンを出すな。もしもそれで、結灯の何かに気づかれたらどうするんだ。ああいう時のために、多めにリボンを出しておいてくれたんじゃないか」


「あの子供の気持ちが流れてきての、大層我のリボンを気に入ってくれているようで、嬉しくてつい出してしもうた」


「はぁ、本当に気をつけてくれよ。ただでさえ、そのままの格好でで出るんだから」


 そう結灯は、あやかし姿のまま人前に出ているんだ。洋服を貸すって言ったんだけど、シロタマたちの変身のように、洋服を変えられると言われ。

 それならせめて、みんなと同じような服装に変えてくれと言ったんだ。でも何故かそのままの姿で出ちゃってさ。本当最初はどうしようかと思ったよ。


 ただ、それに気づいた結城さんが、結城さんを手伝ってくれている、リンと白火もそのままの姿でお店に出してくて。他の人たちはコスプレと思われていて、誰もなにも不思議に思わずにいてくれているんだ。


「いいか。本当にまずいと思ったら、もうお店に出さないぞ」


『むう、それは困るの。気をつけよう』


「はぁ。本当、せっかくみんな楽しんでくれてるんだから、結灯にも最後まで楽しんでもらいたいんだよ。だから本当に気をつけてくれよ」


『分かった』


『それにしても。皆、個性的なすずまるを作っていて面白いな』


 シロタマが、ジュースをがぶ飲みしながら言ってきた。そう、参加してくれてる子たちは、みんなそれぞれ、自分で作りたいすずまるを、楽しそうに作ってくれている。


 さっきの子たちは。最初の子はおでこと胸の部分に、星型をくっつけて、カッコいいすずまるを作っているし。

 次の女の子は、ピヨ太達たちの全身羽だらけを見て、全身ハートだらけの可愛いすずまるの彼女を作っていた。


 その次の子は、リボンだらけのすずまるを作っている。ポイントは、尾の小さな可愛いリボンらしい。こんな風にみんな、自分だけのすずまるを作ってくれているぞ。


 ただ、その中でも1番多く作られているのは、ピヨ太とピヨ助とピヨ吉似のすずまるかな。

 

 この前準備している時、ピヨ太たちが俺にお願いをしてきただろう? そのピヨ太たちのお願いは、自分たちの写真を撮って、イベントの時に飾って欲しいだった。


 さすがにピヨ太達も、あの姿のまま人前に出るのはと考えたらしい。


『本当はみんなの前に、この格好で出たいんだけど、でもね』


『人間たちはさ、スズメがこんな格好してたら、ビックリしちゃうと思うんだよ』


『ぼくたちは、カッコいいから、とっても気に入ってる。でも、人間は普通のスズメしか知らない。だからもし人前に出て、僕たちの姿を見たら、ビックリして近づいてくるかもしれない』


『それでもし、僕たちがただのスズメじゃないって気づいて、それからもしかしたら、あやかしってバレちゃうかもしれないでしょう? だからそうならないように、僕たちは人の前には出ないから。代わりに僕たちの写真を、みんなが見られる場所に置いて欲しいんだ』


『そうしたら何か聞かれても、晴翔が作ったぬいぐるみって言えば大丈夫だろう?』


 ピヨ太たちの言う通りだと思った。そしてとっても我慢しているんだろうとも。話していた時のピヨ太たちの様子が……。とても寂しそうだったんだよ。


 あれだけ気に入ってる格好だからな。本当はみんなに見せたいだろうに。それでもいろいろ考えて、自分たちからそう言ってきてくれて。


 だから俺は、ピヨ太達の話しを受け入れ、ピヨ太たちの写真を撮り、その写真は今、ブースに飾っている。同じ姿のぬいぐるみと共に。


 急遽ピヨ太達のぬいぐるみを作ったんだ。スズメ達が集めてくれた小物の中に、サングラスがまだあったし、他も揃っていたからさ。


 そのぬいぐるみを、こんな風に自分だけのすずまるを作りましょう、ってブースに飾ったんだ。そうしたら子供たちが、ピヨ太たちをとっても好きになってくれて。今回のぬいぐるみ作りで、1番作られているんだ。


 当の本人たちだけど、自分たちでイベントを開催するって言ってただろう? そっちで遊んでいるから、この事を知らないはずだ。もしかしたらこっちで遊んでいるスズメたちが、連絡しているかもしれないが。


 でも後でしっかりと、子供たちの様子を伝えないとな。きっとみんな喜ぶぞ。


『それにしてもじゃ、やはり手を貸してよかった』


「ん?」


『これほど、子供達がニコニコと笑っている姿を、そして心から楽しんでいる気持ちが伝わってくるのも、久しぶりじゃからの。それに我のリボンも、かなり気に入ってもらっているし。最近はゲームとやらばかりで、どうにもこういった子供たちの楽しむ姿を見ていなかった』


「まぁ、確かにそうか」


『我もあれは面白いと思うから仕方がない』


「面白い?」


『ああ、ちょっと夜中に、子供の物を借りてやってみたら楽しくての。今度は別のゲームに挑戦させてもらうつもりだえ』


「いやいや、子供のを勝手に遊ぶなよ。まったく、俺もゲームを持っているから。もしもゲームがしたくなったら俺の所に来い」


『そうか!! ならばゆっくりとゲームができるな!!』


 何してるんだよ。まさかゲームをしているとは思わなかった。勝手にクリアしたり、何かを変えたりしてないだろうな? いや、今は自動で保存されるからな。


 はぁ。みんなプレイした記憶がないのに、何でこんなことになってるんだ? って驚いただろうな。あやかしがごめんな。


『しかしじゃ、今日は下ばかり見ずに周りを見ながら、そして家族とたくさん話しながら、楽しそうに作業している。我はこの楽しそうな姿が好きだ』


「そうか」


 とても嬉しそうに結灯が笑う。


『のう、晴翔。次回も是非、これをやっておくれ。我もまたリボンを差し出すゆえ』


「あー、それは……」


 俺が話している時だった。


『ご飯ある、来て!!』


『あの者のご飯か。うむ、すぐに行くぞ!! 今日はこれも楽しみにしていたのだが!!』


 リンが、ご飯があるから食べに来いと言いに来てくれて。話しの最中なのに、さらに嬉しそうに笑うと、結灯はさっさと行ってしまった。


『晴翔、俺たちも行くぞ!! あいつに全部食べられかねん!!』


「あっ、おい待てよ!!」


 シロタマが走り出し、俺は急いで後を追う。


 次回……か。もう、俺は向こうに戻っているのか? それともまだここにいるのか……。最初の頃は、帰る予定でいたけど、最近は次回を約束してくるあやかしが多くなっている気がする。結灯の話しは、途中で止まったけど。


 もしも、もしもだ。俺がここに残ると決めたら? いや、まだ決められない。今は自分にとって楽しいことばかりだから、こっちに気持ちがよっているけれど。きちんといろいろな事にに向き合わないと。……決めるのはそれからだ。


『晴翔! 早くしろ!!』


「分かってるって!」


 ただ、これだけは言える。もう、シロタマと離れる事はないだろう。俺の大親友とは……。

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