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猫又と俺の願いを縫う不思議な工房  作者: ありぽん


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44話 ピヨ太、ピヨ助、ピヨ吉の俺たちの時代が来たぜ!!3

「それで、どれくらい準備は進んでるんだ?」


「本体はもうすぐ終わりますね。後は羽やくちばしとか、小物ですかね。制限はしないので、たくさん用意しないと。でも今回、思っていたよりも注文できたんで良かったです」


 ご飯を食べ終わり、結城さんに車で家まで送ってもらう。


 やろうとしているのは、すずまるのぬいぐるみ作りだけど。小さい子たちは裁縫なんてできないだろう? だからすずまるの胴体部分までは、俺とじいちゃんと神谷さんで作っておいて。後のことを、みんなにやってもらうんだ。


 嘴や目といったプラスチック部分は、すでに注文してあるから大丈夫なんだけど。他の翼や尾の部分は、フェルトで作ってもらう予定なんだ。それと他に、飾り用にハートや星型といった、いろいろなパーツも、同じくフェルトで用意する。


 小さい子たちには、そのパーツを布用ボンドで胴体に貼ってもらうんだ。針を使わずに、ただ貼るだけだから安心だし、それぞれが好きなように、すずまるを作れるだろ?


 飾り用のいろいろなパーツをたくさん作るのは、俺たちだけだと難しいから、さっきの手芸屋さんで注文できるものは全部頼んできた。思ったより多くの材料を注文できたから助かったよ。これで他の作業にも集中できるだろう。


「きっと、子共たちは喜ぶぞ」


「自分だけのすずまるですからね」


『あ、おい! ちょっと止めてくれ!』


 と、話している最中だった。急にシロタマがそう言ってきて、結城さんが路肩に車を停める。


「シロタマ、急にどうしたんだよ」


『あいつは何でこんな所にいるんだ。俺がいつでも話しに行けるよう、いつもの場所にいろと言っておいたのに。手を貸したいと言っているあやかしがいると、さっき話しただろう? そいつがあの家の屋根にいる』


「え?」


 俺はシロタマに言われた方を見てみる。だが、どこにもあやかしらしき姿は見えない。


『ああ、人間には姿が見えないようにしているのか。お前は分かるだろう?』


「確かにいる」


 さすが力を持っている結城さんだ。結城さんにはあやかしが見えているらしい。


『ちょうど良いから、ここで話していけば良い。いちいち家に帰って呼んでを、繰り返したくないからな』


 シロタマがヒョイっと車から降りて、ちょっと向こうの家の屋根まで走って行く。そして屋根に上ると、5分ほどその場に止まり、その後俺のことを手招きしてきた。


「よし、行こう」


 結城さんと一緒に家まで歩いていくと、屋根からシロタマが降りてきて、そのまま向こうの茂みの中へ消えていった。それに続く俺たち。


 そうして茂みを抜けるとそこには、綺麗な女性のあやかしが立っていた。


『晴翔、このあやかしは結灯と言って、人やあやかしの願いや思いを守るあやかしだ』


 結灯。着物を纏い、髪や装いにはいつも何本かのリボンが結ばれていて、そのリボンがゆらゆらと揺れてとても綺麗だった。


 そして力は、誰かの願いを感じ取ると、そっとその者のもとへ現れ、願いが逃げてしまわぬよう、リボンに力を込めて結びつけてくれるんだ。

 また、もしもほどけてしまいそうな、あるいは解けてしまった想いがあったら、結び直してもくれる。そんな優しいあやかしらしい。


『初めましてじゃの。我は結灯という。よろしくのう』


「初めまして、晴翔です」


『結城だ。お主を知っておるぞ。あやかしのための場所を作ったとか? 今度、遊びに行ってもよいかのう


「ああ、ぜひ来てくれ」


『うむ! よし、挨拶はこれでよかろう。お主、晴翔には話したのかえ?』


『ああ、簡単にはな』


『そうか、ならば。面白うそうな話しを聞いての。我も仲間に入れてもらおうと思ったのじゃ。見ておれ……』


 そう言うと、結灯が扇子を取り出して、フッとひと振りした。するとハラハラハラと、何本かのリボンが現れ、地面にヒラヒラと落ちていった。

 

 俺はそれを慌てて拾う。これがサッと見ただけなのに、とても素晴らしいリボンでさ。なるべく早く拾わなくちゃと思ったんだよ。


 そうして拾ったリボンを、じっくり見てみれば、デザインや色が全て違う、やはり素晴らしいリボンで。しかも微かにだけど、光っているようにも見えた。


「あの、これは?」


『どうじゃ? すずまるのぬいぐるみには、リボンが結ばれておるじゃろう? リボンはまだ用意していないと聞いたのでな。後で他にもたくさん、お主の家で出してやろう』


「まさか……。こんな素晴らしいリボン、いただくわけには!」


『せっかく子供たちが作るのだ。ならば普通のリボンではなく、我の特別なリボンを使うが良い。そうすればただぬいぐるみを作るだけではな、きっといつか、子供たちの夢が叶う、手伝いができるじゃろうて。我は子供たちの幸せを願っておるのじゃ』


「ですが……」


『うむ。我の願いじゃて、別に我は構わんのじゃが。……そうじゃの、もしも気になると言うのならば、今度我のために、晴翔がすずまるのぬいぐるみを作ってくれるかの? 我はあれが大好きなのじゃ。お主はあやかしたちに人気じゃからの。お主のぬいぐるみが欲しい』


 みんなが俺を見てくる。本当に、こんな素晴らしいリボンを、俺のぬいぐるみだけで貰っても良いのか? 俺はシロタマと結城さんを見た。


『問題がなければ受け取っておけ。こいつの願いだからな』


「そうだな。それが良いだろう。彼女にはこれが幸せなことなんだ」


 今度は結灯を見る。俺をジッと見てくる結灯。


「……分かりました。では、リボンはありがたくいただきます。そして全てが終わったら、すずまるのぬいぐるみを届けます」


 そう言うと、結灯が微笑み、嬉しかったのかその場でリボンを出し始めて、慌てて止める事になった。

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