38話 継縁子と修復の間2
片付ける俺の横を、幼いあやかしたちが出して遊んでいたぬいぐるみを、片付けてくれていたシロタマ。そのシロタマの姿が凄かった。
猫又の姿のまま、2本足で立ち上がったシロタマは。頭の上に、縦1列に5体のぬいぐるみを乗せ。2本のしっぽにも、左右それぞれ縦1列に5体ずつ。さらに両手にも同じようにして。計25体のぬいぐるみを乗せて、平然と歩いていたんだ。
「……お前は大道芸人か。え? 猫ってそんな姿勢ができるのか? いや、立つのは普通か? じゃなくて、どうやってぬいぐるみをそれぞれ5個ずつ乗せたんだ? 何でそんな危なげなく、ピシッとぬいぐるみが乗ってる?」
『まぁ、普通の猫にはできないだろうが、俺は猫又だからな、それに人の姿に化ける事ができて、2本足歩行は慣れてるんだ。だからこれくらいの動きは普通にできる。ぬいぐるみを乗せるのは、暇な時にいろいろ乗せて遊んでいて、できるようになった』
遊びで出来るようになるものなのか?
「今は他の格好を考えているところだ」
……本当にプロの大道芸人になるんじゃないだろうな?
その後も、ぬいぐるみだけじゃなく、道具や小物、いろいろな物をその格好で運んでくれたシロタマ。とっても助かったけど、まだ生まれたばかりのあやかしたちが、シロタマのその姿を見て、練習を始めてしまった。
『今度遊びに来る時までに出来るかな?』
『ボク、がんばりゅ!!』
『俺が1番最初に、できるようになるんだぞ!!』
『頑張って練習して、みんなで発表会しよっか!』
『『『するぅ~!!』』』
そんなに真剣にやる事なのか? まぁ、本人たちが楽しいならそれで良いけどさ。
『シロタマ先生! 教えてください!!』
『『『教えてください!!』』』
『しゃい!!』
『そうかそうか! よし、明日から練習をするぞ。皆、しっかり俺の言う事を聞くようにな』
『『『はい!!』』』
俺はもう何も言わずに、そのまま片付けを続けたよ。
そうしてなんだかんだと、大体の片付けは終わり。カエンたちはまだ糸のことで揉めながら、他のあやかしたちと一緒に、自分たちの寝床へ帰って行ったんだ。
残りは、俺が掃除機がけをすれば終わりだ。俺はじいちゃんの部屋から掃除機を持ってきて、部屋の端から掃除機をかけていく。
今日は1日中、カエンだけでぬいぐるみの糸を解く作業をしていたせいか、いつもよりも床に落ちている糸屑が多いい気がする。でも最初の頃に比べたら。
最初の頃なんて、取ったぞ!! と言っておいて、半分取っていなかったり、糸切りバサミで細かく切っちゃって、逆に取れにくくしちゃったり。大変だったからな。
もちろん上手になったのは、カエンだけじゃない。他のみんなも、ぬいぐるみ修復作業がとっても上手になった。気をつけないと、そのうち俺よりも上手になりそうなくらいにな。
でも、1人で作業するのが、今までは当たり前だったから。今はシロタマがいつも一緒にいてくれて、他のみんなも一緒に作業してくれて、とても楽しいし嬉しい。じいちゃんの家に来られて、良かったと思う。もしもそのまま家に残っていたら……。
『どうしたんだ? ニヤニヤして』
「いや、なんでもないよ」
『そうか? これはこっちで良いか?』
「ああ」
……いつか俺の話しを、シロタマにできる日が来るのか。俺はこれからどうするのか。考えることはいっぱいだけど、今はただ、この楽しい時間が少しでも続けば良いなと思う。
『よし、こっち掃除機やって良いぞ』
「ありがとう!」
そのまま掃除機がけを続ける俺。シロタマが今、荷物を動かしてくれた押入れの方へ行く。と、そこであることに気づいた。
押入れは引き戸の押入れなんだけど、そのしまっている所に、まとまった糸屑が挟まっていたんだ。
ぬいぐるみの修復練習や修復をした後は、必ず端から端まで、掃除をしているけど、もしかしてちゃんと掃除できていなかったか? それともカエンの今回に糸屑か? でも今日は押入れを開けてないよな?
不思議に思いながら、押入れの戸を開ける俺。するとまさかの、押入れの中にの至る所に糸屑が落ちていたんだ。
「何だこれ?」
『どうした?』
「いや、押入れの中に、やたら糸屑が落ちてるんだよ。ツムギとユイトかな? でも2人は必ず片付けてくれるし、綺麗に押入れを使ってくれてるし」
『うむ……。帰ってきたら聞いてみよう』
ツムギとユイトは今、新しい商品が出たとかで。その商品の見学に、商店街にある手芸屋さんに行ってるんだ。
「だな、そうしよう。そのうち帰ってくるだろう」
不思議に思いながらも、ツムギとユイトが何か知っているだろうと、もしかしたら2人がわざと、こうしたのかもしれないしと。俺は押入れはそのままに、他の場所の掃除機をかけ、片付けを終わらせた。
だけど、なぜか深夜になってもツムギとユイトは帰って来ず。その日の深夜、その糸関係で、俺とシロタマにある出来事が起きたんだ。




