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猫又と俺の願いを縫う不思議な工房  作者: ありぽん


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35話 土に中かのエールともう1度芽が出る日4

「……本当にこれで良いのか?」


『完璧もぐよ! そうもぐよね、みんな?』


『完璧っす!!』


『イケてる!!』


『最高!!』


『完璧って思ってた僕たちのぬいぐるみ、もっと完璧のなったよ。ねぇ!』


『『『ねぇ!!』』』


『ねぇ、もぐ』


 根応のぬいぐるみを修復し始めてから5日。根応の仲間も手伝いに来てくれて。思っていたよりも早く、ぬいぐるみの修復を終えることができ。今はお披露目会をしているところだ。


 今回の修復で、1番大変だったのは泥を落とす作業だった。やはりというか何というか、最初チェックした時にも、土と泥の汚れが酷いと思っていたけど。洗い始めると、汚れが取れない取れない。何だったら3日間の作業で2日間は、ほぼ洗う作業だった。


 でも、まぁ。頑張った甲斐があるというか。汚れをほぼ完璧に落とすことができ、綺麗に縫い合わせれば、元の根応のぬいぐるみに修復することができた。そうできたんだけど……。

 

 その後のことで、元のぬいぐるみの雰囲気ではなくなってしまったんだ。まぁ、ぬいぐるみの縫い方を変えたとか、こう足や手の角度を変えたとか、老夫婦が作った、ぬいぐるみの原型を完璧に変えてしまったって事じゃないから、そこは問題ないし。


 本人たちは大満足で、さっきの反応だから良いには良いんだけど。


 これまでの根応のぬいぐるみは、洋服も着ておらず、本当にそのままのぬいぐるみだった。それが今は……。


 サングラスをかけ、金ピカの腕輪にネックレを付けて、ハワイアンなシャツを着ている。見た目だけなら超陽キャな根応のぬいぐるみになっていた。


 全ての小物を、根応たちが見つけてきていて、ぬいぐるみの修復終わりと共に持ってきたんだよ。そしてその小物で根応のぬいぐるみを飾った後の反応が、最初の反応だったんだ。


 よくこんな、ぬいぐるみピッタリサイズの小物を見つけてきたよな。まぁ、サングラスや腕輪やネックレスはどうにかあるかもしれないけど。ぬいぐるみサイズのハワイアンシャツなんて、俺初めて見たよ。


「本当にこれで良いんだな?」


『完璧もぐ!!』


「……そうか。ちょっと聞きたいんだけど、何でこの姿なんだ?」


『テレビで見たもぐよ。たくさんの人間が集まって、ヒャッホーってしてたもぐ。それがとってもカッコよくて、ぬいぐるみもあのヒャッホーな人間たちみたいにしたいって、みんなで話してたもぐ。それでみんなで一生懸命探したもぐよ。見つかって良かったもぐ』


 えっへんと胸を張る根応たち。


「……テレビは良いけど、どんな番組見たんだよ。なぁ、シロタマ、本当にこれで良いのか?」


 喜んでいる根応たちの横で、俺はこそっとシロタマに聞いてみた。


『本人たちが喜んでいるんだから問題はない。それにぬいぐるみにいろいろするあやかしは、けっこういるぞ』


「そうなのか? じゃあ、本当にこれで良いんだな」


『ああ、大丈夫だ』


 何とも言えない気持ちになりながらも、シロタマは大丈夫だって言うし、根応たちも完璧と言っているから、もうこれ以上は何も言わない事にした。


 と、その時。じいちゃんが俺を呼んだんだ。


「晴翔! お客さんだぞ! 結城さんじゃ!!」


「分かった! すぐに行くよ! みんな先に窓から出ててくれ。根応、そのぬいぐるみは最後にちょっとやることがあるから、向こうまで俺が持っていくな」


『分かったもぐ!!』


 俺たちはこれから、結城さんと約束をしていた。何故か根応のぬいぐるみを修復していた時、何度か根応たちを訪ねて来ていた結城さん。しかも代表の根応と時々出かけて。


 そして昨日、今日のぬいぐるみお披露目会が終わった頃迎えにくるから、みんなで行きたい場所があるって言ってきたんだ。


 別に修復が終われば、何も用事はなかったからな。そのまま約束をして、今結城さんが迎えにきてくれたんだ。


 すぐに玄関に向かい、じいちゃんに出かけることを伝えてから外に出た。


「じいちゃん!! 行ってくるね!!」


「気をつけて行ってくるんじゃぞ!!」

 

「うん!! 結城さん、お待たせしました」


「ぬいぐるみは修復できたか?」


「はい。根応たちも喜んでくれました」


「そうか。それじゃあ行こう」


 結城さんの車が置いてある、人気の少ない駐車場まで移動。そして気をつけながらみんなで車に乗り込むと、すぐに出発する。


「どこへ行くんですか?」


「根応たちの話しを聞いて、俺たちにとっても、根応たちにとっても、良いことを思いついてな。その良いことをやるための場所へ、これから行くんだよ」


「良いことですか?」


「ああ。ただそれをやるには、まだいろいろとやる事があるんだ。だからすぐに良い事ができるわけじゃないんだが、まずは話しと、場所を見せておこうと思ってな」


 よく分からないまま進んでいく車。そうして20分ほどで着いたのは、草がぼうぼうの、今は使われていない畑だった。

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