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猫又と俺の願いを縫う不思議な工房  作者: ありぽん


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33/52

33話 土に中かのエールともう1度芽が出る日2

「お、そうか? じゃあ明日にでも仕入れに行くか」


「あ、もしかしてシロタマたちが、よくお店に来るからですか? ここのところ誰かしらここに来ているから。すみません」


「ああ、違う違う。新しい場所に引っ越してきて、仕入れ先を変えたもんだから、どうにも勝手が違ってな。今までのクセで、まだ材料は大丈夫だろうって思ってると、時々足りなくなるんだよ。こいつらが、食べ過ぎて飲み過ぎってんじゃないから気にするな」


「それなら良いんですけど」


『ねぇ、結城』


「ん? 何だ?」


『ここではお野菜育てない? リン、畑でお野菜育てたい。影嗅も遊びたいって言ってた』


「ああ、それな。それも今、ちょっと考えてることがあってな。もう少しだけ待ってくれるか」


「リン、野菜育てるの好きなんだ」


『うん! リン大好き!! 影嗅は穴掘るの大好き!! それに虫もいっぱいになるから、それも好き。だけど白火は汚れるから、あんまり好きじゃない。お野菜収穫の時も摘む』


 リンがカブの葉っぱを摘んで持ち上げる。


『白火はこうやって引っ張る。他も同じ』


 ……野菜って摘んで引っこ抜けるのか? あやかしだから、力が強くて引っこ抜けつとか?


『何であんなに汚れる事が好きなのか、理解できん』


「そう言うな白火。2人は大好きなんだから。前に住んでいた所で、庭に小さな畑を作って、そこで野菜を育ててたんだよな」


『うん!! だからここでもやりたい。結城待つって言った。だからリン、待ってる。影嗅も』


『ああ、待ってる』


 どうやら本当に好きらしい。


 そんな話しを聞きながら、その後も結城さんの料理を味わった俺。シロタマたちは途中から、べろんべろんに酔っ払い、その場で寝初めてしまい、俺はまたシロタマ達を怒る羽目に。まったくお店で寝るなんて。


「ほら、もう解散するぞ。みんな家に帰れ。いいか、商店街に行って、また飲むんじゃないぞ」


『まだ、飲めるぞい』


『だよなぁ、ネズじぃ』


『そうだぞ、まだ飲める』


「飲みすぎ寝てるのはどこの誰だよ。小さなあやかしに示しがつかないだろう」


『小さくたって、生まれたばかりだと言ったって、あやかしはあやかし。お酒はそんなに問題にならないから大丈夫だ』


「大丈夫じゃない! まったく」


「ハハハッ。まぁ、今は他の客も帰ったし、今日は貸切にするから、そのまま少し酔いを覚ましてから帰らせろ。そのまま商店街で、面倒を起こされてもな」


「すみません」


 そう俺が謝った時だった。ガララとドアが開いて、小さなあやかしが中へ入ってきた。お客さんだと思い、俺はシロタマ達を起こそうとする。貸切にって結城さんは言ってくれたけど、お客さんが来たなら別だ。


「今、シロタマたちをどかすよ。ちょっと待ってくれ」


「ああ、ここに座ってもらうから大丈夫だ。初めてのやつだな。ほら、こっちに座れ」


『あ、あのもぐ。今ここに、晴翔っていう人間が来てるって聞いたもぐ。おいら、晴翔にお願いがあってきたもぐよ』


「晴翔に?」


 結城さんたちが俺の方を見る。するとあやかしも俺の方を見てきて、俺の前にちょこちょこ歩いてきた。そして。


『初めましてもぐ。晴翔もぐか?』


「ああ、俺が晴翔だ。俺を訪ねてきたってことは、俺にぬいぐるみの相談か?」


『良かったもぐ!! 晴翔に会えたもぐ!! そうもぐ、おいら大切なぬいぐるみを治してほしくて、今度晴翔のお家に行こうと思ってたもぐよ!!』


「そうか! じゃあ、話しを聞くからちょっと待っててくれ。今、この邪魔な連中を退かすから。ほら、酔っ払いは退いた退いた」


 俺はシロタマたちをグイグイ押して、その場を開ける。


「ほら、仕事の話しをするんだから、向こうに行けって」


『……ん? なんだ根応か』


 すると動かして起きたシロタマが、あやかしをチラッと見てそう言ってきた。


「根応?」


「簡単に言うと、モグラのあやかしだ。自然の花々や畑を耕す人々、野菜たちにそっと寄り添い、静かに応援してくれる。その応援の力は根っこへと伝わり、植物たちに元気を与えるんだ。もちろん、人間にも元気を分けてくれるぞ」


 へぇ、そんなあやかしもいるのか。


『おいらの応援で、みんな元気元気もぐ!! でも……、今はちょっとダメもぐよ』


「そうなのか。よし、しっかり話しを聞いて、ぬいぐるみを修復できるか確認しよう」


『ありがとうもぐ!!』

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