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猫又と俺の願いを縫う不思議な工房  作者: ありぽん


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24話 新たな出会いと危険なあやかし3

「2時か。シロタマたちはどうしたかな? 様子を確認したら、すぐに帰ってくるって言ってたけど。これだけ帰ってこないって事は、居酒屋に何か問題があって、それの対処をしているか、それともお酒を飲んでるかのどっちかか?」


 俺は今、居間からじいちゃんたちの工房を見張っている。時刻は深夜2時。じいちゃんも神谷さんも眠っている時間だ。


 今日は、シロタマの時以来の夜の見張りをしているんだ。なにせ最近、町や周辺の民家から、ぬいぐるみが次々と姿を消しているからな。


 まだ誰かが、盗んだって決まったわけじゃないけど。みんながみんな、ぬいぐるみを置いた場所を忘れるなんて考えにくいし。隣に置いてあった物までなくなっているんだ。

 本当に人間か、あるいはあやかしの泥棒がいるんだとしたら、まったく困った連中だよ。みんなの大切なぬいぐるみを奪うなんてさ。


 そして……、本当にぬいぐるみが狙われているんだとしたら。修復のためにたくさんのぬいぐるみが送られてきている、じいちゃんの家だって、狙われる可能性は高いって事で。


 今日はシロタマもカエンも、居酒屋の件でいないからな。だから今夜は、俺がひとりで工房を見張ることにしたんだ。


 ちなみに、シロタマのぬいぐるみは、シロタマ自身がどこかに隠してきたから大丈夫だって言ってた。だから問題はないだろう。


「なるべく来てほしくないんだけどな。もちろん、他の人やあやかしの所にも。みんなそれぞれ、ぬいぐるみのことを大事にしてるんだから。それに、もしか犯人が分かったとしても、何か証拠は必要だし。本当困るよなぁ」


 そんな事を考えながら、見張りを続けた俺。


 時間はされに進み、時刻は午後3時に。そろそろ糖分補給でもするかって。見張りのお供といえばあんぱんだよな、と用意しておいたあんぱんに手を伸ばしかける。と、その時だった。


「え?」


 ちょうど庭が視界の端に入る位置で、あんぱんを取ろうとしていたんだけど。その横目に、何か黒いものが動いたような気がして、俺は急いでそっちを見た。すると、なんと作業小屋の屋根の上に、黒い人型のような何かが立っていたんだ。


 しかもその直後だった。誰も触れていないはずなのに、工房の窓がひとりでに開き。その開いた窓から、さっきの黒い人型の何かが、するりと工房の中へと入って行ってしまった。


 慌てて用意しておいた、防衛と攻撃のための野球バットを手に、俺は工房へと向かう。そして中の誰かに気づかれないように、入る前にそっとドアに耳を当てて、中の様子をうかがった。


 すると中からガサゴソという、何かを探しているような音が聞こえて。中に誰かがいる。それは俺の見間違いじゃなかった。


 一旦そっと小屋から離れ、俺は急いで110番通報をする。相手が人間でもあやかしでも、とりあえず警察は呼んでおかないと。人間なら、うまくいけばそのまま警察が捕まえてくれるかもしれない。あやかしの場合は……、まぁ、その時考えよう。


 そうして通報を終えた俺は、再び小屋へと向かった。すぐに警察は来てくれと。その間に俺は、今度は窓の方からそっと中を覗き込んで、誰がいるか確認する事に。そこには……。


 ……はぁ。やっぱり人間じゃなかったか。人間のほうがまだ対処しやすいのに、と思った俺。

 工房の中には、マネキンのような無機質な頭に、ひらひらとした布が揺れる、まるで昔の人が着ていたような洋服をまとった、人型のあやかしがいたんだ。


 さて、ここからはどうするか。警察は来てくれるけど、俺はあやかしを相手にできるのか? 相手がどんな力を使うかも分からないんだぞ? バットで何とかできれば良いけど。


 というか、たぶんこのあやかしは、人に姿を見られたくないはず。だったら、少しでも警察の気配がすれば、すぐに逃げてしまうかもしれない。まぁ、俺には気付いていないけど。


 なんて、いろいろ考える。が、それはすぐに中断された。あやかしが1つのぬいぐるみを手に取り、それを洋服の中に入れたんだ。


「あっ!! おい!! それはダメだ!!」


 俺はまだ何も決まっていなかったのに、工房の中に入る。


「おい!! それはばあちゃんの大事なぬいぐるみなんだ!! 返してもらうぞ!!」


『カタカタカタカタッ』


「……」


 向こうはジッと俺を見たまま、首をカタカタ揺らし始め、少しだけ後ろに下がった。それから何か棒のような物を洋服から取り出す。


 その棒で俺の相手をするってか? 良いだろう、臨むところだ!! 絶対にぬいぐるみ入る返してもらうぞ!!


 お互いを見たまま動かず、相手の出方をうかがう。と、先ほどまであやかしが、ガタガタと動かしたぬいぐるみの1体が、ころりと床に転がった。その瞬間だった。


 ついにあやかしが動き、俺の方へ棒を振ってきたんだ。すると、棒には何も付いていなかったはずなのに、いつのまにかムチのような蔓がついていて。俺の足に蔓を巻き付かせ、俺を空中に上げたんだ。そのままの勢いで、天井にぶつけられる俺。


「ぐっ!!」


 衝撃に一瞬息が止まる。しかし俺はすぐに、バット以外に持ってきていた、野球のボールをあやかしに向けて投げ、ついでに蔓を掴んだ。


 野球のボールを避けて、今度は俺を壁にぶつけるあやかし。痛みはあるが、ここで逃げるわけにはいかない。というか、どうせ蔓で逃げられない。


 俺はそのままそのまま立ち上がり、片足が捕まえられている状態だったが、そのままあやかしに突っ込んでいきバットで応戦する。が、バットは交わされ、また、壁に叩きつけられそうになった。その時。


『晴翔に何をする!!』


 シロタマが窓から中に飛び込んできて、引っ掻き攻撃をして蔓を切ってくれると、どこからか入ってきたカエンが、落ちそうになる俺を受け止めてくれた。


 下がるあやかし。そんなあやかしに、すぐに何かが叩きつけられ。ゴンッと音がして、その叩きつけられた物が落ちた。見ると何とフライパンだったよ。


「フライパン?」


 フライパンに気を取られていると、その隙にあやかしが窓から外へ逃げてしまった。


「あ、おい! 待て!!」


 急いで追いかけようとする俺。そんな俺を、知らない声が止めた。


「急がなくても大丈夫だ。やるの居場所は俺が探してやる」

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