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無機物の終わり 有機物の始まり

意識が飛びそうだ。

地面に倒れこみ、胸に穴が開き、血だらけの自分がいる。

走馬灯のように生きてきた証が、一瞬の間に駆け巡る。


生まれてからの記憶、知らない風景、知らない顔。

死ぬ前で混乱しているのかと思った。

すぐに現実に引き戻され、気づく、一緒にいた友人はどうなった?なぜ俺はまだ死んでいない?

彼は言い争っているようだった。普通に考えれば俺のことなんて見捨てて逃げればいい。

なのに、彼は俺のために怒り、相手の男たちの様な力もないくせに立ち向かおうとしている。

知っていた。

彼はそういう人間だった、口癖のように弱気を守り、強気を挫くと言い行動してきた。

動かない体を感じながら首だけを彼の元へと向ける。

もうどうしようもないこの状況で彼には生きてほしいとなぜか思った。


だがしかし、現実はいつも非情で

男の一人が彼の首を掴み、軽々と持ち上げた。

もう一人の男はそれを見ながらニヤニヤと汚い笑みを浮かべ動画を撮っている。

信じがたく、許しがたい光景が今、目の前で起こっていることを認識したく無いとまで思った。

目の前で彼は助けを求めるようにこちらを見て、灰となった。

許せなかった、自分自身の弱さも救えなかった事実も、そしてこの状況を作った世界すらも

だが、涙は出なかった。

心ではこの状況はごく当たり前の現実だと受け入れている。

男たちがこちらに歩んでくる光景を最後に意識を失った。

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