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第3話 現世へ蘇った私は

今までで一番長く書いた気がします。

でもこれくらいでは長くないと思われる方もいるかも?

私は話数の管理が正直下手なので、1話毎に長くなったり短くなったりするかもしれません。

不定期ですがたまに見てくれると嬉しいです♪


 うぅ……。


 私は、目の前が真っ暗な状態で意識を取り戻した。

 ちゃんと、現世に戻って来れたかな?

 先ずは、自分の体に何らかの不調がないかと、体を動かそうとする。

 ……あれっ? なんか動かせないんだけど。

 

 ・・・まぁ、それはさておき。

 私の記憶って大丈夫なの?

 色々なことが有りすぎて、全然頭が落ち着かない。

 ――よしっ! これまでの事を一旦整理しよう。


 私の名前は、雨宮香織。年齢は16歳で、誕生日は6月19日。

 息抜きに出掛けた公園で、トラックに轢かれる寸前の少年を突き飛ばして、その変わりに自分が死んでしまった。


 そのあと私は、謎の真っ白い空間で、ミーナさん(女神様)に出会ったの。

 ミーナさんに会うまで、私に才能があるなんて考えることを辞めて、もう諦めてた……。

 だけど! 私にも才能があるんだって分かった時は、思わず泣いてしまうほどに嬉しかった……!

 それから私は、一日半程度の余命とやらを貰って現世へ戻れることになる。

 私は、目の前を覆うような眩い光を最後に意識を失い。そして、今に至るわけだ。

 

 私が、記憶を振り返っていると。

 ちょっとずつだけど、徐々に身体中に感覚が戻り始めていくのを感じる。

 未だに目は開けれないから、視界は暗いままだけどね。


 ……おっ?

 今、少しだけど何か聞こえたかも。


 たぶん、今私が居るのはとある病院の病室。

 そこで私の家族と。私が助けたあの少年が、自分の家族を連れて私に会いに来ているという。

 きっと、みんな。これが最後の別れになると涙を流しているはずだ。……流してるよね?

 うーん。・・・あ、姉が絶対号泣してるのは容易く想像できた。

 うん、まぁ。そんな事どうでもいいよね。


 ――――ッ!?


 ……いやいやいや、まさかぁ。なんとな~く嫌な予感がしたんだけどさ。

 もしかして、これが直感だったり? 

 ええっと。もしも本当にこれが直感ならさ、地味過ぎないかな? これ。

 よくよく思い返せば、生前でこれと似たような感覚を、何数回くらいは体験した覚えが普通にあるし。

 けど!! これを才能だって気づくのには、流石に無理があるでしょうがぁぁぁぁ!


 ……はぁ、はぁ。私の地味で目立たない才能よ。

 気づかない私も駄目だと思う、けどさ。

 せめて私が生きている時に、もうちょっとくらい、頑張ってほしかったなぁ。

 ガクッ。

 そんな感じで落ち込む私。

 ……しかたないかな。うん、死んだ後にあーだこーだ言うのはもう無し!!

 ふぅ、よし。気を取り直して! 

 とりあえず私は、耳を澄ましてみる。



「香織ちゃん」


 ん?


「香織ちゃん、香織ちゃん」


 んん?


「香織ちゃん、香織ちゃん、香織ちゃん」


 んんん?


「香織ちゃん、香織ちゃん、香織ちゃん、香織ちゃん」


 えっ? ま、まさか!!

 私は聞き慣れた声と同時に思い出す。


 あれは、まだ。私が小学校6年生だった少し昔。

 いつもとなんら変わらないような日常の中で、学校からの帰り道、私は事故にあった。

 幸い、事故と言っても、大した怪我は無かったと思う。

 余所見運転をしていた青年の自転車が、私に突っ込んだというだけの話だ。

 それだけならば、姉は私を危険に晒した青年に怒り、暴れるだけだったはずだ。

 しかし、当時の私は非常に体調が悪かった。

 その状態で学校にも通い続けていた。

 その上、家族やクラスメイトに先生にまで隠して。


 ……そして遂に私に限界が訪れた。

 実はあの時、私にぶつかった青年が、余所見運転をしていたのは合っている。

 でも。あの時の私は、流石に我慢の限界で。フラフラな私は回りがよく見えていなかった。

 恐らくは。当時フラフラだった私が、青年の自転車の前に飛び出てしまったからぶつかったのだ。

 まぁ、その時に私は気を失い、限界が訪れて悲鳴を上げる体と39度越えの高熱を出して倒れた。

 近場の病院で何週間かずっと眠り続けて、やっと起きた私が最初に目にしたのは、姉の姿。それは……。

 そして。記憶が、甦る。


「香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん香織ちゃん」




 ……ははは。

 そうだったね、これは聞き慣れた姉の声だ。

 そして、あの時に目にしてから、久し振りに姉のスーパー過保護タイム――ネーミングセンス? そんなものはない!――。


 説明しよう!(笑) 姉のスーパー過保護タイムとは? 私の姉である雨宮玲奈(あまみやれいな)は。私が窮地に陥ると途端に豹変して、過保護なほどに私に構いだし。最後にはこうして私の名前を連呼するだけの生物(変態)になってしまうのだ!!


「玲奈」


 あっ、止まった。

 姉の暴走を止めた、この声は。

 あぁ、私のお父さんだ。


「香織はこれから先、一生目を覚まさない。トラックに跳ねられた時に、香織は死んでしまったんだよ」


「嘘よ! 香織ちゃんが死んだなんて嘘よ……」


 姉ー、私一応人間ですからー、普通に死にますからー。


「玲奈! ……香織は死んだんだ。心臓は止まり、血液のほとんどは流れ、更には脳を強く打ち付けられている。お医者様が言うには、能の損傷も激しくて、たとえ運よく生き残ったとしても、記憶喪失だった可能性が高いらしい」


 えっ、私の体そんな感じなんだ。それに記憶喪失は、ダメでしょ。

 幸い記憶は失ってないようだけど……。これって絶対、ミーナさんのお陰だよね。

 ありがとう、ミーナさん。

 いや、お礼を言うならこっちの方かな?

 ありがとう、ミーナちゃん♪

 

『ふふ、どういたしまして♪』


 あれ? 今、ミーナさんの声が聞こえたような?

 ……私の思いが、ミーナさんに届いたのかも。

 ま、私の心の声に返事するなんて、女神様くらいなら朝飯前だよね。


「そう、ね。いい玲奈、こんなにも簡単に、人は死んでしまうのよ。なのに香織ちゃんは、自分よりも祐介くんを助ける為に、自らトラックへ飛び込んで、そして命を落としてしまったわ。お母さんも香織ちゃんが死んで凄く悲しい。……でもね、それと同時に私はあの娘のことを、とても誇らしいとも思うわ……」


 お母さんっ! ――ありがとう、それとごめんね。


「どうしてなのよ! どうして香織ちゃんが、死ななくちゃいけないのよぉぉぉぉ……」


 お父さんとお母さんは、姉を落ち着かせようとしたようだけど、姉には逆効果で、より一層姉は嘆いている。

 戻り始めている感覚に、姉が私の体にしがみつく感覚が、正直に言ってうざい。


「お姉ちゃん……」


「いいか祐介、このお姉ちゃんはお前のことを、自分の命を懸けて助けてくれたんだ。もうお前の命は自分だけのものじゃない。これからはこのお姉ちゃんの分も背負って生きるんだ」


「うん」


 あー、この私が助けた少年――祐介くんと言う名前らしい――は、私の分の命も背負って生きてくれるらしい。

 はぁ……。祐介くんにはこの先の人生、私のことで立ち止まってほしくない。

 そ・れ・に♪ 私、ちょっとだけイラッてきちゃいました。

 起きたらしっかりと、言わせてもらいますね。


「あぁ、香織ちゃん。どうして逝ってしまったの。お姉ちゃんは、これから香織ちゃんといっしょの、楽しい楽しい高校生活を楽しみにしてたのに……」


 えっ!? 冗談だよね!?

 姉はそれがどうゆう意味か分かって、言ってるのだろうか。

 ミーナさん、やはりこの姉にはガツンと言ってやらないとダメみたいです。


 ふぅ。

 さ~て。そろそろ体の感覚も大分戻ってきたし、起きてみますか!


 私は、顔を私の体に押し付けて嘆く姉を、思いっきり手で退かしてやった。


「えいっ」


 私は、目を開けて姉の姿を見てみる。相変わらず綺麗な茶髪のロングヘアが、窓から入ってくる光を浴びて、キラキラと輝いているように見えて幻想的だ。

 ……その間抜けな顔をしてなければ完璧だったけどね。


「えっ?」


 姉が間抜けな顔しながらも、声を上げる。

 それと同時に、その場にいた全員が私に顔を向いてくる。


「「「「「「………………」」」」」」






 いや、黙んないでよ。

 私の目に映るのは、私のお母さんとお父さん。私が助けた少年に、少年のお母さんとお父さんと思われる二人。あとついでに間抜けな顔をした姉だ。

 全員がポカーンとした顔で私を見ている、そりゃそうだ。

 どう考えても死んだと思われてたからね、私。……実際あってるし。


「か、香織ちゃん?」


 おお、姉が真っ先に声を掛けてきた。流石姉だ。


「どうした、姉」


 瞬間、目の前の姉がいきなり号泣する、あとこっちにくるな。


「がぼりぢゃぁぁぁん!!」


 私は無言で、姉に向かってビンタする。それでも向かって来る姉には何回もおみまいしてあげる。

 後は、姉がボロボロになったところでの、最強の言葉。


「姉、嫌い」


 ガーン、そんな効果音が聞こえてきた笑。

 姉が撃沈していると、私のお母さんとお父さんが声を掛けてきた。


「香織なのか?」

「香織ちゃんよね?」


「うん。お母さん、お父さん」


 あっ泣いちゃったよ。

 姉もさらに泣くなし。

 少年と少年の家族も、笑いながら涙を流していた。


「がおりぢゃん! 良がっだぁじななぐでぇ、……ぐすん」


 あー、普通はそう思うよね。ごめんね姉。

 伝えてあげないとダメ、だよね?


「姉、私普通に死んだから」


「へっ?」


 姉が固まり、お母さんとお父さんも固まる。

 少年たちも、不安な空気に困惑している。


「ま、またまたぁ……。香織ちゃんってば、おかしなこと言わないでよ」


 姉はそう言ってるけど、明らかに動揺している。

 はぁ……。みんなにちゃんと教えてあげなきゃ。


「……姉さん(・・・)とみんな、よく聞いてね。私はそこの少年を庇ってトラックに跳ねられたの。もう私の人生は既に終わったの。私が再びこの現世に戻って来たのは、皆さんにお別れの挨拶をするためです」


「ええっ! そんなっ!? 嘘って言ってよ香織ちゃん!」


 姉の顔が驚愕と悲しみに染まる。

 みんなも、私がなにを言ってるのか理解したくないようだ。


「嘘じゃないよ、私はもう死んだの、私に与えられた時間は残り一日半ちょっと……。私はみんなにお別れと言いたいことがあって戻って来ました」


 さぁ、私の思いを伝えようか。






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