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瞳の奥が見つめる先は  作者: 文嵐
1/1

余命1ヶ月のぼく

初投稿

〝ぼく〟編です



ぼくの愛しい人は笑わない


いや 笑うんだけど いつも目だけはどこか遠くを見ている


そういえば 彼女がぼくに仕事以外のことで 話しかけてきたことは一度もない

嫌われているのかな


それでもぼくは そんなきみが愛しい


人をこんなに愛したのは初めてだ

今まで こんな感情を抱いたことはなかった

このまま独りで死んでも良いと思ってた


だって ぼくは




  





残り1ヶ月の命だから








きみがぼくの家に召し使いとしてやってきてから

ぼくの人生はかわった


彼女は3ヶ月前にうちにきた

召し使いなんていらないと思っていたけど

彼女の白い肌  人形のように細くていまにも折れてしまいそうな綺麗な指 そしてあの瞳

そのすべてに ぼくの心はあっという間にもっていかれた


神様は残酷だ


よく小説なんかでこんな言葉を目にするけれど

本当にその通りだった

あと1ヶ月しか生きれないのに

ぼくに恋をさせた

人を愛すること を与えてきた


でも  好きだと伝えても彼女を困らせるだけだ

もうじき死ぬヤツからの告白なんて迷惑だろう


 

死ぬ前に 一つだけ叶えたいことがある



彼女の笑顔をみること



それだけだ


ただ残念なことにぼくの命はあと9日

たんたんと死を待つぼくはロボットなんじゃないかなんて思ったりもする ありえないけど

なにもしないまま月日だけが流れていく


ぼくの命が静かに終わっていく


だから勇気を出して聞いてみた




どうして笑わないの?




ストレートに言い過ぎただろうか ちょっと後悔する






あなたが困るからです






彼女はそう言った

いまいちよくわからなかったが その目はやっぱり遠くを見ていた


・・・



あと7日


振り返ってみると今までろくなことなかったなあ






今になってもっと生きたいと思う 


きっと彼女が現れたからだ




生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい






今更自分が人間らしく生きてるように感じる




...

誰かがこっちを見ている




彼女だ


みっともないとこみられちゃったな



・・・



今日の夜 ぼくは死ぬ



ちょうど31日目

ほんとうに今日死ぬんだろうか

やっぱりロボットなのかな   アホなことを考えて1人で笑ってしまう



カチカチカチ



時計の音がいつもより大きく聞こえる

あと何時間 何分 何秒でぼくは死ぬんだろう 

ついに数えれるくらいまで減ってしまったぼくの時間

今になって怖くなる でも確実に迫っているのだ 

必ずこの世から消えてしまう


ただ 彼女の記憶の中からは消さないでくれ


・・・



23時29分

あと30分か


彼女はもう寝てしまっただろうか


所詮雇い主の死に際 興味なんてないか



・・・



23時54分


息が苦しくなってきた 

いよいよか



...ガチャ



誰だ?        彼女だ



そっとぼくのそばに座る




彼女が泣いてる




ぼくの手を握る  



こんな急展開ありえるのか?  ドラマとか漫画の世界だけだと思ってた

夢みたいだ もう死んだのか?なんて思う



雪のように冷たい手だ



お願いだから泣かないで ぼくは笑った顔が見たいんだ








ありがとう 僕の愛しい人








彼女の口元が笑った






その目は     ぼくだけをみつめていた







 〈ぼく目線 終〉

次回〝わたし編〟です

このままで終わっても良いのですが

彼女の秘密 気になる人は 是非お読み下さい


ちなみに作者名は 文嵐(ぶんらん)と言います

これからよろしくお願いします

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