後日談
数日後、学校で隆弘が疲れた様子でテオとノハに話し掛けていた。
「……おい、リゾートホテルのプレオープンいかねぇか」
テオがあからさまに眉を顰め、口角をひきつらせた。
「お前の、両親がいくべきなんじゃないのか」
隆弘が深いため息を吐く。
「……お袋は、傷心の比奈子さんと一緒に世界一周旅行にいっちまった。親父は、1人だけ置いていかれたショックで寝込んだ」
テオがその場から逃走しようとして隆弘に捕まえられていた。いつもなら襟首を掴むのだが、今はどちらかというと縋り付いているように見える。
「頼む! 後生だ! 一緒にいってくれ!」
「断る! ファッションショーと雪山の別荘で2回目だぞ! お前関係の場所で殺人事件に巻き込まれたの!」
「3度目の正直っていうじゃねぇか!」
「2度あることは3度あるともいうぞ!」
「頼む! 1人で殺人事件なんかにまきこまれてたまるか!」
「やっぱりそれが本音か! 絶対に嫌だぁあああああっ!」
今まで黙って話を聞いていたノハが目を瞬かせる。
「ねえ、そこにいったら楽しい?」
途端、隆弘がテオにしがみついたまま顔を輝かせる。
「あ、ああ! 楽しいぞ!」
ガタイの良い195cmがやると不気味なくらいの構図だった。
テオが顔をしかめる傍らでノハは首を傾げている。
「観覧車乗れる?」
「近くに遊園地がある! 行ってくれるか!?」
ノハが首を傾げたまま口を開いた。
「だ が 断 る」
「チクショォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
隆弘がテオにしがみついたまま机に頭を打ち付けた。
「これテオに教えて貰って……隆弘、どうしたの?」
ノハが不思議そうな顔をする。
テオが隆弘にしがみつかれたまま悲鳴を上げた。
「離せ隆弘ぉおおおおぉおぉっ!」
ただし願いが聞き届けられることはなく、結局彼らは三週間後、リゾートホテルのプレオープンに出席することになったのだった。




