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魔女と雪  作者: なぎのき
6/7

侑花とリシアと雪だるま その1

 雪が止んだ。

 四十センチの積雪。

 街では、あらゆる交通機関がマヒしていた。

「やっと止んだわ」

 ……来るわよ。

「そんなの、お母さんが叩きつぶすって」

 ……見えないのだよ。

「は?」

 雪蟲は普通の人間には見えない。気付きもしない。その上あっちも見向きもしない。

「なーっ! にーっ! 聞いてないぞーっ!」

 さぁ、侑花。闘いが始まるよ。

「そんな、私に何が出来るってのよっ!」

 スコップ持ってる。

 

 侑花はスノーウェアに身を包み、右手に園芸用のスコップを持っていた。

 完全武装だ。


「こんなスコップ何の役に立つのよっ! 良いからあんたの箒貸しなさいっ!」

 いや、だから、あたし以外の命令は聞かないって……

「聞 か せ な さ い !」

 

 一歩も譲らない。侑花は強烈な意思を持って交渉にあたった。


 ……ちょっと体替わって。

「何すんのよ」

 箒を説得する。

「なんだーやれば出来るんじゃない」

 フィフティフィフティ。

「え?」

 箒が素直に侑花に使われる事を納得するかどうか。はぁー……。気が重い。


 なぜか自分の道具に気を遣うリシアだった。


「何だか大変そうねー」

 実際大変なのだよー。

「頑張ってねー」

 むー……。


 侑花の瞳の色が蒼く変化した。


「さて……箒さん」


 ポン、と音がして、箒が現れた。


「ちょっとお願いがあるのだよ」


 箒は、全てを察したかのように、床に転がった。全否定。一切要求は受け付けない。そんな姿勢に見えた。


「そう言わないで。ね? 後で柄を新しくしてあげるから」


 箒はピクリとも動かない。


「うー。分かった。これならどうだ。柄を竹じゃなくて、檜にする!」


 箒は、即座にぴしっと直立した。


「……ちゃんと真っ直ぐに削るのがどんなに大変か……」


 リシアは、こっそりとため息をついた。

 そして、体を侑花に戻した。


「話はついたのね」


 侑花は、なぜかすり寄ってくる箒を邪険に振り払いながら言った。


 まぁ、なんとかね。——と、来た、かな?

「雪だるまが?」

 そう。


 窓から下を見ると、道幅一杯の大きな雪だるまが、のっしのっしと歩いていた。

 侑花は目を疑った。

 まさに絵に描いたような雪だるまだった。その大きさを除けば。


「……呆れて物も言えない……」

 見た目のラブリーさに騙されてはダメなのだよ。かつての魔女達が、どれだけ騙されたか……。

「どこがラブリーなのか理解出来ない。魔女ってみんなバカなの?」

 ……。


 何も言い返せないリシアだった。

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