02 ここで私の前世をおさらいしてみましょう。
私は、確か≪春見 千歌≫という女子高生だった。
大学生になったら家をでて
バイトして、部屋借りて、自立するって決めてた。
でも、小さい頃から一緒にいた犬、≪アキラ≫をおいていくのはどうしても嫌だったから。
一緒に連れていきたいなぁなんて夢見たりなんかして。
アキラはずる賢くて、優しくて、
でも自分が大好きで、人間味あふれた犬だった。
友達がいないぼっちのさみしさなんて全く感じなかったくらいね!
近所の子供にはよく
「おおかみだっ!かっけー!」って言われてたっけ。
それが嬉しそうで、胸張って歩いてる姿が可愛かったなぁ。
でも、散歩中にアキラがふいに道路へ飛び出して。
「止めて!とまって___!!」
そう叫んだ私も道路に飛び出し、アキラを抱えた。
車のフロントガラスには、頭にネクタイを巻いたすっかり出来上がってたおっさん。
お前も大概だな!
なんてのんきにツッコミつつ、
ドンっ!!!
自分の体が吹っ飛んで、どこかに落ちたときの感覚は覚えてる。
アキラは無事かなぁ・・・。
きっとアキラなら自分だけでも生きてけそうだな。
なんて思いながら多分、死んだんだ。
だって、もう痛くなかったから。