表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

一人

作者: 東雲 凪
掲載日:2026/02/17

超短編。

他の作品とは全く関係ないです。





「悪魔」



人は俺をそう呼んだ。

なぜかって?

それは…

俺が


“世界を壊したから“



 途切れ途切れに浮かぶ雲の下を、神秘的な深い青が覆い尽くす。


大地を失った世界には、もう海と空しか残っていない。


その二つを区別する境目さえ曖昧で、世界は一つになったかのようだった。


遥か遠く、太陽が顔を覗かせている。


心細げな顔で、少年がこちらを見つめた。


足にぐるぐると巻かれた包帯が痛々しい。


今にも消えてしまいそうなほど頼りないその影は、太陽の光を背にぼんやりと佇んでいた。


少年は、まだこの現実を理解できていないようだった。


なんせ、俺は少年にとって殺すべきはずの相手であるというのに、まるで助けを求めるようにこちらを見上げているのだから。


この世界にいる人間は少年と俺、だだ2人だけ。



    




          ―だけど、()()()()は…



空と海が地響きのような音を立てて動き始めた。


脳みそが覚醒し、身体中の血が沸き立つ。


遥か遠くで太陽が俺たちを照らす。


ジリジリと真っ赤な光は肌を焼きつ尽くすように燃えていた。


 その時、光に目を奪われた少年がふらふらと前に歩き始めた。


 足元では、光を反射してきらきらと輝く水面が

パシャリパシャリ と音を立てて揺れている。




 目の前のことしか考えられないタイプなのだろうか?それとも忘れっぽいのか。


どちらにせよ、もはやこちらのことなど頭にはないらしい。


やっぱりあいつはダメだな。



呆れて笑いさえ込み上げてくる。






そろそろお別れの時間だ。こんな世界、さっさと終わらせてやろう。




じゃあな。



空と海がどろどろと溶け出す。


青と青は混ざり合って、黒みがかった濃い青色へと変容していく。


太陽の光が少年を包み込み、少年の影は霞んで薄くなっていった。


投げかけた言葉はついぞ少年のもとには届かなかった。





ーーー




 その日、彼の心から一人の人格が消えた。


 もう彼の心に二つの人格が存在する必要がなくなったからだ。


 

 この日を境に、人々は彼のことをこう言うようになった。



 「いつまでも少年のような心を持っている、天使のように愛らしい人だ」と。



 

 もう世界に残っているのは一人だけ。



 消えたのは…。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ