闇に覆われた世界
メルターは気付けば深淵の宇宙に漂っていた。
その目の前にあるのは1つの惑星。
「これは......イルメグか?......エリディアンの惑星が何故.......?」
彼が思わず呟いたその時、何処からともなく声が聞こえてくる。
「ここは遠い未来......我ら......いや、宇宙の全ての種族が辿り着いた結末の一つ......と言った所か......エリディアンやその他の種族は協力して神に対抗すること無く、骨肉の争いを続け、尚且つ我らが作った神が死亡もしくは最初から存在しなかった結末だ」
「その声はオロニアルか?それでこの星が何だと言うのだ?」
「まぁ、見ていてくれ」
しばらくするとイルメグ星はどこからともなく現れた黒い霧の様な存在に覆われはじめた。
「何だ......あの黒くうごめく......霧のような......もやの様な存在は......」
「あの......黒い存在のひとつひとつが我らスヴァールクスだ......いや、スヴァールクスだった物......というべきか」
「どういう意味だ?」
「我ら......スヴァールクスは、復活したマルドゥークの奴隷に堕ちたのだ。その命令にただ従い......敵を屠る存在にな......」
メルターの問いにオロニアルは答えた。
やがて星を覆う黒い霧の中に一筋の光が現れ、それは黒い霧に飲み込まれまいと必死に抗っている様に見えた。
「あれは.......あの光は......?」
「もう少し近づけば分かるだろう」
メルターは星の地表近くまで降りた。
やがて見えてきたその光は生き残ったエリディアン達であり、彼らは堕ちたスヴァールクスの群れと死闘を繰り広げていた。
「戦士達よ!今やこの宇宙において奴らに対抗できるのは我らのみよ!必ずや未来をこの手に掴むのだ!」
大声で檄を飛ばしながらエリディアンの指揮をとるのはアラデスクだった。
やがてメルターは馴染み深い存在をスヴァールクスの群れの中に見つけた。
「あ...あれは......私......なのか!?」
堕ちたスヴァールクスの群れの中には、自らと同じ姿をした存在を見つけたメルターは驚嘆した。
しかし、その身体は赤黒いモヤに覆われた異様な姿であり、周りのスヴァールクス達も同様の姿だった。
「これは......こんな事が......」
「エリディアンは......奴らは......この闇に覆われた世界で......最後の戦いを挑んだ。精兵を集め......あらゆる兵器を駆使して......死をも恐れず勇敢に戦った。しかし......その甲斐も無く、彼らは1人残らず殺された」
オロニアルは淡々と結末を語る。
オロニアルの言葉通り、無限とも思える膨大な数の敵に飲み込まれ、エリディアンの戦士達は1人、また1人と倒れていき、やがて指揮をしていたアラデスクとその周りにいる数人の戦士だけになった。
その時、禍々しい気配と共に神の声が響いた。
「忌々しきエリディアンよ......最期にお前達の敗因を教えてやろう......お前達は敵を見誤ったのだ......」
「なんだと?」
その声にアラデスクが答える。
「お前達が内輪で争い続け......我に対抗できる唯一の存在をも敵と見誤った。居ただろう?
人間の身でありながら、神へと至ったあの少女が。
お前達はそれを恐れ、排除し、殺した。
唯一我に届き得た存在をな」
「シオの事......か......」
アラデスクが呟くと共に、スヴァールクス達は容赦なく彼らに襲いかかった。
「がはっ......奴らは......あまりにも多すぎる......」
まず命を落としたのはリッテンだった。
「帰ろう......宇宙の虚無へ......魂ごと......」
それに続いてシタデレも倒れる。
「力及ばずか......殿下......申し訳ありません......」
同じくカラシコフも力尽き、
「私たちは......一体何処で......道を誤ったのでしょうか.......?」
最後にルインが倒れアラデスクは1人となると即座にスヴァールクス達は彼に襲いかかった。
「シオ......スヴァールクス......如何にして......我らが手を組めたと言うのか.......?」
アラデスクは目を瞑り、静かに呟くと黒き群れの中へ消えていった。
そして、エリディアンという種族は宇宙から消滅した。




