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Space Liberator  作者: ツインタニア
銀氷のアリゲーター

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気まぐれな現人神

「現在、放送を見聞きしているぅ......全ての親愛なるドルゴヌの臣民達よ!そして恥も外聞も知らずに電波を盗み見ている宇宙政府の人間どもよぉ!ドルゴヌ首長、ウルキル・シュタイナーである!」


放送が始まると、首長であるウルキルが椅子から立ち上がって高らかに挨拶をしていた。しかし、目は血走っており歩き出した足も覚束なく明らかに異様だった。


「私は宣言する!今、この時より宇宙政府......そしてその他の我らに友好的ではない、全ての生命体に対して勝利すると!」


首長は手を大きく広げて宣言した。


「それは何故か?説明しよう。我らは神の寵愛を得た。その神は紅蓮の業火で我らに仇なす、ありとあらゆる存在を焼き尽くすのだ!それは奇怪なる足跡の様に!そう!それは奇怪なるアシアトノヨウニ!ソレハキカイナルアシアトノヨウニ......」


首長は突然地面に倒れ込んで、同じ言葉をうわ言の様に繰り返し続け、やがて映像は砂嵐で見れなくなった。


「......受信した放送は以上です......これ以降は再び一切の電波発信を観測できません......」


映像を見終えたリュウキ達はその不気味さに圧倒され沈黙した。


「なんだこれ......」


リュウキは静寂を静かに破って呟いた。


「気持ち悪りぃな......神って事は......結局間に合わなかったって事か......?」


ロドメルはエマを助けられなかったと悟り、俯いた。


「......1つ気になる情報が入っておりまして、放送直前から、プラキオ星に移送されたプライマリークリスタルのエネルギーが非常に強くなっているという観測結果が入っています」


リッテンは追加で情報を共有した。


「プライマリークリスタルは非常に謎が多い存在です。これが何かしらの影響を与えている物と推察しています」


「......エマの事が心配であるが、作戦を止める訳にはいかん。お前達は、また特別な遊撃隊として動いてほしい。私は宇宙政府軍と共闘する指揮をとって地上の制圧を進める。その間にドルゴヌの首長ら政府高官の身柄を捕らえてほしいのだ。頼めるか?」


「任せてくれ。誰も逃しはしない」


アラデスクはリュウキ達に政府高官の捕縛という任務を与え、リュウキはエマの為、そしてドルゴヌの人々の為に静かに、しかし力強く返答をした。


ドルゴヌとの戦いも間もなく終わりを迎えようとしていた。しかしながら、もう一つの存在......気まぐれな現人神が争いに加わろうとしていた。


ーー


スヴァールクス本拠地 ソラリス星


「これは......この感覚は.......?この波長は.......?」


シオを作った存在であるスヴァールクスの支配者オロニアル、彼は遥か遠くのプラキオ星から放たれるプライマリークリスタルのエネルギーをその鋭い嗅覚で感じ取っていた。



「......シオよ......お前も感じるだろう?このエネルギーさえ抑えれば......もはや、我らに対抗する手立ては完全に無くなる......我らスヴァールクスが宇宙の支配者となるのだ!さぁ、愚かにもクリスタルを所有している人間共を殺し尽くして、奪い取ってこい!」


「......めんどくさいなぁ......また行かせる気?」


「なんだと.......?お前を作ったのは誰だと思っている!?私はお前の母親に等しい存在だ!私の命令に逆らうと言うのか!?」


オロニアルは自らの命令に不満の意思を示したシオに苛立った。


「母親......ねぇ......知ってる?コマチグモっていう生物が地球に居るらしいんだ......その生物はね......」


「なんだ.......?いきなり......コマチ.......?グモ.......?」


背を向けたまま突然クモの話を始めたシオにオロニアルは困惑した。


「うん。その生物は子供が産まれるとね、その子供に自らの身体を栄養として食べさせるんだってさ......昔、それを図鑑で見た時ちょっとビックリしたよね......でも、それって年老いて弱った自分よりも未来を生きる......子孫の繁栄を優先して身を捧げるって事だよね」


シオはオロニアルの方に振り返って続ける。


「凄いよね......子供の......種族の為なら......自らの命だって差し出す......親の鑑だよね......貴方が、親を名乗るならそこまでの気概はあるの?」


「いきなりなんだ.......!?あまりふざけるなよ!我が兵士達よ!こいつを捕えろ!」


オロニアルの号令に周りのスヴァールクス達は一切応えずに沈黙を貫いた。


「なっ.......!お、おい!お前達!?何故動かん!ゼータヘッグ!お前は我に忠誠を誓ったのでは無かったのか!?」


オロニアルは必死で呼びかけるが、誰も動くことはなかった。


「......貴方が私を作ったのはスヴァールクスを解放する為だもんね。でも、大丈夫スヴァールクスだけじゃない......貴方の言った人間もエリディアンも全てを飲み込むっていうのは実現してあげるからさ。貴方はコマチグモになっちゃいなよ......」


シオはオロニアルの身体をかかとで回し蹴りして両断した。


「がはっ......」


「貴方の物は全て貰うね......貴方の兵士も......ソラリスも......死した屍も......その魂も......でも、先にやる事はいっぱいあるからなぁ......」


「ふ......ふふふ......」


オロニアルは上半身のみで地面に這いずりながら突然笑い出した。


「どうしたの.......?まだ、何か小細工があったの.......?」


シオはそれを不思議に思って質問した。


「どっちみち......私が死ぬ事は変わりない......ならば......コマチグモとして......死んでやろうではないか......」


「あら?随分素直ね。それじゃあお望み通り殺してあげる」


シオはオロニアルの顔面を足で踏み潰し、今度こそ絶命させた。




「オロニアルが母なら、貴方は私の父って感じかなぁ.......?次は貴方がコマチグモになる番だよ.......マルドゥーク......」


シオはオロニアルの死体の上に立って宇宙に輝く1つの星を見つめながら呟いた。

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